GODOX AD360 IIを今更買い増しした話

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前回、リチウムイオンバッテリーストロボについて書き、GODOX AD360が先鞭をつけた持ち運べる安価な大型ストロボというジャンルについてや、一周回ってAD360的なものでよいのに案外選択肢がないという話をした。

GODOX AD360の国内発売が2013年、AD360 IIが2016年なので、矢継ぎ早に新製品を出しているGODOXとしては後継品AD360 IIもかなり古びた機種、枯れた機種と言える。いまどきGODOX製品からリチウムイオンバッテリーストロボを選ぶ人はAD200 Proなのだろうし、出力大きめならAD400さらに(AD360 IIと似通った出力の)AD300まである。まあAD360 IIは選ばないだろうな。

正直なところGODOX AD360 IIは特別すごい何ものもないというか、クリップオンストロボのような形をした360Wsのストロボとしてそれ以上でも以下でもない。信頼性についても、いまのところ割り切って使っている以上でも以下でもない。かつて充電器周りバッテリー周りの危険なトラブルが報告されていたのもあるけど、それよりアフターケアとか設定についてのインターフェイスが洗練されていないなどGODOXそのものの問題がある。あとは連続使用時やバッテリー残量が減ったときの色温度のぶれとか(これは他のストロボにも言えるが)。

これら前提の上で、この適当というか適度さが苦にならないし、ありふれたというか工夫のない発光部の構造をむしろ好ましく思っている。バッテリー持ちがよく、発光がパワフルというだけで十分である。

そしてGODOX AD360 IIを買い増しするに至った。

前回も書いたけれど、AD360 IIはカタログ落ちしていない(らしい)のだがコンスタントに製造していないのか市場に流通している量が少なく、各社カメラ対応機種に偏りがあり、一時期より価格がかなり高めになっている。具体的には、ニコン用は流通量が少なく価格が高く、キヤノン用は安価傾向だが流通量が多いとは言えない。

ただしAD360 IIのニコン用(AD360 II-N)、キヤノン用(AD360 II-C)の違いはカメラのホットシューに接続したときTTL調光に対応するところにあり、ストロボ側の接点が各社のホットシューの信号用接点に対応しているというだけだ。

ほとんどの人はカメラ側に発信機=トリガーをつけてシンクロさせるだろう。GODOXには数種類のトリガーがラインナップされていて、このうち3種類がマニュアルからTTL調光まで対応している。トリガーはカメラメーカーごと対応品があり、こちらさえ合わせておけばAD360 II側がNだろうとCだろうとTTL調光できる。TTL調光しないなら、ずぼらな話だけどどのメーカー用トリガーでもよい。

なのでカメラはニコンだけど価格がこなれているキヤノン用のAD360 IIを買った。私はAD360 IIをホットシューに取り付けてTTL調光で使わないからだ。仮にホットシューにつけて使いたくなったら、既にニコン用を所有しているから何も問題はない。

トリガーがニコン用でAD360 IIがキヤノン用のときでも、AD360 IIのディスプレイに[Nikon]と表示されもちろんトリガーからの操作で発光する。これはカメラ側からの信号がトリガーを通じてAD360 IIに伝送されているのではなく、トリガーそのものに[Nikon]用の識別子が含まれているからだ。

トリガーがニコン用でなくても(キヤノンやソニー等々)、AD360 II側がどのメーカー用であってもトリガー側のメーカー識別子に反応する。つまりホットシューに乗せてTTL調光させる気がないならAD360 II側はニコン用でもキヤノン用でどちらでもよい。AD200、300……といったホットシュー接続が前提ではない機種にニコン、キヤノン、ソニー用といった区別がないのと同じだ。

これをカメラ側から言えば、AD360 II側がニコン用だろうとキヤノン用であろうと、カメラメーカーを乗り換えたらトリガーを買い換えさえすればよいということになる。

以上がGODOXの通信システム/Xシステムを採用している製品の特徴だ。私が試したわけではないが、ソニー用のXシステムトリガーを使ってもAD360 IIをコントロールできるそうだ。ソニー製カメラからTTL調光の信号がホットシューを通じてトリガーに伝えられ、トリガーが発光を制御する信号をAD360 IIに送信するのだから何の不思議もない。

で、届いたAD360 IIのバッテリーは容量アップでUSBポートがついた例の新型だった(PROPAC PB960+BT5800)。新型が発売されたのは2019年だったろうか。旧製品が4500mAh(BT4500)、新型が5800mAh(BT5800)。BT5800はBT4500より1cmほど背が高い。PROPAC PB960+BT5800の価格は国内正規品で20,000円程度、他が13,000円程度からある。

(AD300 Pro用のバッテリーは2600mAhだ。しかもLEDモデリングランプ付なので使用時はバッテリー消費が激しい。機能、デザインなどで魅力があるとしても、PROPAC PB960+BT5800を使うAD360 IIのメリットがここにある)

故障や破損がないかぎり更にAD360 IIを買う必要性を感じないので個人的には打ち止めだが、いつ完全に供給が終わるか(または在庫が払底するか)わからない感じなので、今回購入分は最後期のロットになるだろうと思われる。バッテリー側はAD360 II専用ではなく各社クリップオンストロボへ給電する用途として販売されているものなのでしばらくなくなることはないだろう。

ちなみにアメリカのB&Hではニコン用とキヤノン用で価格差がなく499ドルといったところだが、在庫数が少ない様子は日本と変わりない。いまAD360 IIを必要としているなら早めに入手しておいたほうがよいかもしれない。既にAD300 Proがあるのだから、AD360 IIの後継機は発売されないだろうし。

なぜここまでバッテリーストロボでAD360 IIにこだわっているのかは既に書いた。案外あのかたちがよいし、単位Wsあたりの価格が安いし、パワフルかつバッテリーの持ちがよい。フル発光時のAD200との差はわずか(400Wsで1EVの差)なのだが、どちらかというと400Ws的な感覚で使える。

工夫もない変哲もない発光部がよいと言ってきたのは、工夫をまったく否定するわけではないけれど、工夫は特定の目標に向かってかたちづくられるものだから、なにも工夫しない状態や別方向の目的とは相性が悪い。ほんとうは各種機能もいらないから光るだけ、トリガーから光量を調節できるだけでよい。工夫、便利といったものは逆に面倒臭いだけなのだ。それとくだらない話かもしれないけれど、PROPAC PB960のおまけについてくるバッテリー用ストラップがカメラ用ストラップとして秀逸なのだ。

もし今更AD360 IIを買おうという人は、とりあえず2台買いましょう。ライトスタンドにAD360 IIを取り付けるためS型ブラケットを買いましょう。付属品のリフレクターは独自マウントですが、ボーエンズ マウント品でアタッチメントを揃えるほうがつぶしが利くのでS型ブラケットは重要です。とはいえ、独自マウントで乳白のお饅頭型をしたGodox AD-S17 広角ソフトフォーカスシェードはとりあえず買っておくとよいと思います。AD-S17を単体でしょっちゅう使うとは限りませんが、あると便利でしょう。PROPACバッテリーをライトスタンドに固定するGODOX Qタイプ多機能クリップは買っておきましょう。PROPACバッテリーの電源コネクター2口からAD360 IIに給電してチャージタイムを短くするGodox DB-02 ケーブル Yアダプターは必需品と言ってよいでしょう。

買ったら充電してテスト発光ですが、PROPAC PB960+BT5800のBT5800についているバッテリー残量インジケータはアバウトなので充電器側のランプを信じたほうがよいでしょう。BT5800は容量が増えたので充電時間もそれなりにかかると思ったほうがよいです。AD360 IIとトリガーの設定はこちら🔗で説明しています。

いまさらAD360 IIに魅力を感じる人はほとんどいないだろうけれど。

© Fumihiro Kato.
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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なる人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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