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スマートフォンのバッテリー残量がどんどん減る。電力をやたらに消費している原因がわからない。OSが悪いという話になりがちだし、もちろんOSが原因であるケースだってあるが、まず疑うべきはコレではないかという話をしたいと思う。
世の中にはわからないことがいっぱいある。説明されても理解できないわからなさも多いが、ほとんどは回答がなかったり見つからないわからなさだ。スマートフォンの電力消費について、なにがどうして、どうしたら、こうなるといった情報は増えたものの、OSのベンダー(つまりApple)からはっきりした答えがないままわからない状態はどうにかならないかと感じる。もしかしたらこれはAndroidにも言えることかもしれない。
もし私が行き着いたとりあえずの結論からしたら、iOSかAndroidかはまったく関係ないことになる。
iOSとiPhoneを使い続けてきて、最近とみに電力の消費(バッテリー残量の減り具合)が一様ではないと感じる。こうした事例について、OSをアップデートした直後はバックグラウンドで最適化処理がしばらく続くからという説がある。なるほど信じてよそうな気になる。しかしOSをアップデートしたタイミング以外で異様にバッテリー消費が多い日が続いたりする。私だけかと思ったら、他にも似た経験をした人がいた。
スマートフォンを使っていれば、さまざまな事情やさまざまな環境によってOSやアプリの挙動が変わり電力の消費の度合いが違うのを知るはずだ。確たる理由までわからなくても、XXXした日はバッテリーが長持ちした、あるいは逆にバッテリー消費が激しかったと。もちろんはっきりわからない場合も多いから困るのではあるが……。
こうした経験則には誤解や思い込みだって多い。だから誰かさんのアドバイスを信じても効果があがらない場合だってある。ベンダーなり開発者なりから正しい情報がほしいと思うのは、経験則では対応しきれないからだ。リチウムイオンバッテリーは充電と使用方法が寿命を左右するし、乾電池を交換するようには取り替えられないのだから電力の使い方はどうしても気になるのだった。
推測と経験則から、・通知を切る ・ダークモードを使わない など様々に言われている。通知するたび電力が消費されるだろう、だから通知機能をオフにすればいいだろうという推測や、こうやってみて消費が減った経験をした人がいるのは間違いないと言える。
私は・通知を切る ・ダークモードを使わないなどを実践してみたが「あんまり変わらない」と思った。決定的な差がないか同じだろうと。
Bluetoothが思いの外に電力を消費するのは皆が経験しているだろうし、それでも電力をあまり消費しないモードを使用するコロナ肺炎対策の接触通知のアレでバッテリーの充電量の減りを痛感している人もいるはずだ。つまり通信相手を探すとき、それなりに電力を消費している。
人間だって「もしもーし」と呼びかけ続けるのは疲れる。
これはWi-Fiにも言えそうだし、モバイル通信時の基地局とのやりとりにも言えそうな気がする。モバイル通信では移動するごとに直近の基地局とやりとりするのだから、これはたいそうな話ではないかと思う。(気がする、思う、と曖昧な話ばかりしているけれど、私たちはガスコンロのとろ火、中火、強火ごとガスの消費が違うのを知っていてもスマートフォンの通信ごとの電力消費について正しい情報を知らないではないか)
ところがモバイル通信がせわしく四六時中働いて次々と基地局が変わる自動車での移動と、屋外での活動時間が長い日は、たいして激しい電力の消費にならずバッテリーの充電量の減少はいつもどおりだったりする(もしくは言うほど目立って減らない)。また通信不要の際にWi-FiをOFFにしていても効果がないと感じられる(そういう場合もある)。
通信だけでなく、バックグランウンドの処理もあったりするから、こうした経験だけでとやかく言えない。OSの挙動を知り尽くしていないのだから、「こうすればいいよ」と誰もアドバイスなんてできないし、いろいろ教えてくれる物知りブログなどのアドバイスもどうなんだろうという話になるのは既に触れた。風邪をひいたらハチミツが効くよ、というのとほぼ変わらないのである。ハチミツが効くのは特定の場合だけかもしれないし、気のせいかもしれないし、そもそも病気は風邪ではないかもしれない。
それでも思うことがあるから、もう少し続けて説明したいと思う。
各種通信のOFF、機内モード、画面の明るさ等々をやりくりしてきて思うのは、アプリは起動していようがいまいが「なにかしようとしている奴」がいるということと、通信をOFFにしていても外部とやりとりを試みて電力をそれなりに消費しているのではないかということだ。見当違いだったらごめんなさいだが、そうとしか思えなくなった。この無駄な行い(または通信できる状況でのやりとり)が、けっこうバッテリー残量の損失に大きく影響しているのではないか。
そもそもバックグラウンドでの動作を許可しますか? とOSがアラートを出して注意してくるのだから起動していなくてもGPSで位置情報を取っていたり、サーバーとプッシュまたはプルしたりしているアプリがあるのは事実だ。「通知を切る」説は通知表示が余計な動作であるとする話だろうが、バックグラウンドでの動作をどうかしたい願望も含まれていそうだ(もちろん違うかもしれない)。
そしていろいろやってみて、いろいろ考えて模索が続くわけだ。OSでアプリごとのバッテリー消費率を見ても、いまいち実感がわかないのである。というのも、iOSのミュージック.appをまったく使用していないのにバッテリーをもっとも使ったと表示されていたことがある。そして、これから説明する経緯を経て現在バッテリー消費問題は解決はしていないもののひとまず落着しつつあるのだが原因解明にあまり役立たなかったのだ。
原因の切り分けが完璧にできないのだけど、アプリからの通知を切るのではなく根本的解決としてバックグラウンドでの処理とくに外部との通信や位置情報の取得をやめさせるのが最大効果を得られるのではないか。さらに言えば、外部とやりとりするある種のアプリをアンインストールする。
私は各種通信をOFFにするほか、深夜から朝までスマートフォンの電源を落とす実験を数日にわたって行った。次に同状態のままWi-Fiまたはモバイル通信をONのままにした。スマートフォンの電源を落としているのに電力の減りが目立つケースがあった。さらに、あるアプリをアンインストールしたら各種通信がONだろうと電源を入れっぱなし(つまり通常の使い方)でもバッテリー消費に目立った減少がないのだった。
私は人気のない海などで写真を撮影している。天候の変化や災害の発生にちょっと神経質にならざるを得ないので、災害発生を知らせたり天候の急変を予報する防災情報アプリをiPhoneにインストールしている。正確にはインストールしていた。
ゆれくるコール(現PREP)、Yahoo!防災速報だ。これらは防災情報アプリの性格上常に位置情報を取得し、かなり頻繁にサーバと通信している。ふと思い出したことがあった。ゆれくるコールがPREPと名称、アイコン、表示、機能と全面改良されたアップデート以後バッテリー消費が激しくなったのではなかったか、と。そこでゆれくるコール(現PREP)、Yahoo!防災速報をアンインストールした。
PREPとYahoo!防災速報をひとつずつアンインストールすればよかったけれど、結果としてバッテリー消費が格段に減ったし、緊急地震速報があるではないかという話で原因の切り分けをやめた。PREPがバカ食いしていたのだろう。
こうして思うのは、PREPに限らず位置情報の取得とサーバーとのやりとりをするアプリについて、セキュリティー・個人情報の観点以外に電力消費の面からもどうしても必要なもの以外はバックグラウンドでの動作そのものをOFFにすべきということだ。あたりまえと言えばあたりまえである。
何度でも書くが、OSやアプリのベンダー、こうした分野の電力消費に関する専門家が確たる情報を発信して対処を明確にしないかぎり、どれもこれも素人の経験則やおまじないの域を出ないアドバイスにしかならない。だから私がこうやってああやってこうなった事情もガセになるかもしれないおまじないくらいに思ってほしい。
でも確実に言えるのは、アプリを疑って損がない点だ。
新たに何かインストールしたか。アップデートはなかったか。そのアプリを起動させたか、使ったか関係なくバックグラウンドでの挙動は把握しておいたほうがよいと思うのだった。これもまたあたりまえすぎる結論だけど、スマートフォンが日常的な道具になってアプリが便利このうえないものだからこそ、気にしなくなったものごとが多い。私が防災情報を重視して必要と感じているだけに、無防備というか無頓着にアプリ任せにしていたのが(たぶん)電力消費問題の最大原因だったようにである。
たぶん、ぜったい、きっと半年から1年後に私はまた「バッテリーの減りが激しいなあ」と首をひねることになりそうだ。そしてまたOSを疑うかもしれない。ハードウエア、OS、アプリがブラックボックス化されて知らなくてよいことは便利になるが、もやもやもまた増えるのだった。スマートフォンの電源を落としているのに電力の減りが目立つケースって何なんだろう。どこにも答えは落ちていないのだ。
© Fumihiro Kato.
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