自粛?それならブツ撮りだ

首都圏等だけでなく他の地方でも緊急事態宣言下の外出自粛生活が続き、なかにはGWに予定していた撮影旅行を中止せざるを得なかった人もいるだろう。悲観的な話はしたくないが、新型コロナ肺炎の蔓延を防ぐ措置としての外出自粛要請はまだ先が長いと考えるべきだ。

これでは写真を撮影できないと塞ぎこむより、静物撮影をはじめよう、充実させようと発想を転換したほうがよいのではないだろうか。

どうしたら静物撮影、ブツ撮りをはじめられるのだろうか。

静物撮影は大きく二つに分けられるかもしれない。
1、撮影台を使い、撮影台の上に世界をつくったり、このスペースで完結させる撮影。
2、特に撮影台を用意せず室内等にある空間、スペースを使い、これら込みの世界を写し取る撮影。
この2つだ。

後者はテーブル上の世界を撮影するならテーブルフォトと呼ばれるジャンルであるし、古今東西の名写真家が自宅などの特定の場所を使って連作を撮影し続けることもあり、撮影台とライティングをバリバリに決めないと本格的ではないとする思い込みは捨ててよい。

気に入りの場所を探して様々なものを撮影するだけ、と言えばそれだけなので特に準備するものなくとっかかりは容易かもしれない。

の撮影で大切なのは、場所の選定とアイデアだ。実際に存在する空間、採光、家具や壁や窓、抜け、引き等を使い、これらを魅力的な舞台として使うのだからどの場所を使うか、どのようなアイデアで撮影するか問われる。

対しての撮影は自宅等をスタジオにして撮影台の上に世界をつくったり、白バックと被写体だけのような現実にはあり得ない写真的な世界観をつくるので、場所の選定は撮影台が設置できライティング機材が置けてカメラを設置できる部屋というだけ、ただし無から有を生むアイデアや脳内にある完成予想図に撮影結果をどこまでも近づけるねちっこさが要求されるだろう。

ざっくり話を進めて行く。

撮影台とは何か。

背景であり前景であり、被写体の置き場所が撮影台だ。撮影台を置く部屋がスタジオだが、撮影台そのものがスタジオと言える。市販品の撮影台があんがい使い勝手で悪いので、私は組み立てパイプ家具のパーツを使って自由な高さ、構造に組み立てられる(つまり分解してパイプの状態で持ち運べる)撮影台を使っている。

スチール(メタル)シェルフ、メタルラック、シェルフラックなどと呼ばれるもので、エレクターがブランドとして有名だが同じ趣向のものが他社からさまざまに販売されている。

本家エレクターなみの対荷重は必要ないだろうし、撮影台そのものを軽量化するなら他社製の安直な製品のほうが向いている。

上掲の画像はエレクターの代表的な棚板だが、枠だけのものなどある。ここに板を乗せて天板にしたり、枠だけのものなら乳白アクリル板を置いて下から光を透過させたりできる。

以下はあくまでも撮影台の説明のための模式図にすぎないが、両サイドにトレペ、左右いずれかに一灯、天に一灯を置いている。背景側のポールを高くしているのは、ここに板状のものを立てかけたり、背景紙を垂らしたり、張り巡らしたりするためだ。長辺側に高いポールを配置すれば間口が広い撮影台になるし、図と同じ方向から撮影する場合に片側側面にトレペ等を貼るのにも使える。

なお上図だけの構造では、対角線方向の力に対して弱く、がたつきもまた大きい。棚板を2枚使い天板の下側にもう一段追加すれば問題ないし、棚板に天板を強固に固定しても強度は問題なくなる。

いずれにしても工夫して自分好みにつくりあげられるのがメリットだ。

このような撮影台は6畳間相当の部屋に置けるのだが、それより大切なのが三脚を立ててカメラを置いて適切に引きが取れるか、ストロボ等の照明装置が置けるか、置けるなら配置の自由度がどれくらい確保できるかだ。

これは12畳くらいの室内であっても、撮影専用でないなら家具その他がありカメラ、ライティング機材が適切に配置できない場合だってあるのを意味している。

6畳間相当でも工夫次第でかなり凝った撮影ができるので、最初から諦めないほうがよい。というか四畳半では撮影したことはないけれど、6畳間相当ならちゃんといろいろできる。

レンズは中望遠マクロだけでほぼすべての撮影ができ、被写体そのものへのパースのつきかたを変えるなら標準マクロを使うことになる。

撮影台が用意できたら、ストロボや定常光の光源、ライトスタンド、拡散装置、三脚、カメラ、単体露出計があれば万全。後々、経験によって理解されるだろうが模造紙、厚紙、クリップ、テープ(パーマセル/シュアーテープと呼ばれる粘着力がありながら剥がしやすく接着剤が残らない撮影用テープ)などのほか、小さな鏡やアルミ箔等々の子供が工作に使いそうなものが必要になったりする。

さて拡散装置というとアンブレラやソフトボックスを思い浮かべる人が多いだろうが、6〜8畳程度の部屋に撮影台を置いてカメラの引きも取った場合はアンブレラやソフトボックスを使うスペースが足りなかったり、設置の自由度がほとんどないだろう。

で、どうするかというとトレペで拡散、レフで反射などしてアンブレラやソフトボックス(バンク)のような光をつくるだけだ。もともとレフに一旦反射させていたのを一つにまとめたのがアンブレラであるし、こうした仕組みにトレペをかけたり、ストロボをレフで囲って開口部にトレペを貼ったのがソフトボックスのはじまりなのだからなんら不思議なことはない。

商品撮影では小スペース内で光を組み立てたり、複数の光源を配置するなどアンブレラやソフトボックスを使っていては効率が悪かったり不可能だったりするし、こうした機材の特性に左右されず自由に光をつくるため前述のようにトレペで拡散、レフで反射などで拡散光を日常的につくっている。

あとはトライ & エラーを繰り返し、工作を繰り返して行くことになる。

とりあえず撮影台と撮影台を置く部屋があれば、なんとかなる人もいるだろう。冒頭に書いたテーブルフォト的なものなら、更に参入のハードルは低い。いちばん難しいのは、想定した通りの写真を写すための工夫だろう。

でも時間はいっぱいあるはずだ。

必要な機材、機材の選び方、使い方、ライティングについてなど当サイト内にたくさん記事があるので🔍からキーワード検索すれば何らかのアイデアが見つかるだろう。

© Fumihiro Kato.
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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なる人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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