超広角使用時の円形フィルターの枠サイズとケラレ

ケンコー、マルミ、ニコン ARCREST(参考までにハクバ)のフィルターの枠サイズを比較しようと思う。

私は作品づくりの撮影を砂塵や潮風、波しぶきが飛ぶ波打ち際とレンズの大敵に襲われる場所で行う機会が多いため保護フィルターの選択は神経質にならざるを得ない。こうした場所で前述の汚れがレンズそのものに付着した場合、清掃が難しくなり撮影を中断または断念しなければならないのだから多少の画質劣化があったとしてもフィルターを使うほかないのだ。

フィルターの汚れならレンズより大胆に清掃できるし、なんだったらスペアを持ち込んで交換するだけで済む。(私はロケ車に水とアルコールを常備し、砂と塩分でフィルターがドロドロの場合は水で洗い流した上でアルコールで清掃している)

また超広角(15mmなど)を多用するので、フィルターによる画角のケラレにも気を遣う。最近の円形フィルターのほとんどが[薄枠]を標榜していて、おおよそ問題になるものはない。しかし、何らかの事情でフィルターのねじ込みが緩んだときちょっと怪しい写りになったりする。

ご存知ない方がいらっしゃるかもしれないが、サイズがφ95を超えるフィルターは同じブランドの小、中口径より枠が厚く(高く)、スクリュー部(オスネジ)のφに対して外径も大きくなる。外径が大きくなるのはネガティブな要素として純正フードと干渉するケースだが、枠の太さだけでなくガラスの開口直径が大きくなっていればケラレからの逃げになるのでボジティブな側面もある。問題は[薄枠]とされるフィルターであっても小、中口径より枠が厚く(高く)なる点だ。

またまた釈迦に説法だろうが、メーカーが[薄枠]と言っている枠の厚さはレンズにねじ込むスクリュー部(オスネジ)を含まない枠の厚さ(高さ)であって、フィルターを上面からみたときの枠の太さではない。

フィルターによるケラレを防ぐ手立てには、ステップアップリングをかまして1サイズ上の円形フィルターを使用する方法(開口直径を大きくする)や、いっそ大サイズの角形フィルターにして同様の効果を狙う方法が考えられる。1サイズ上の円形フィルターを用いる方法では純正フードと干渉することが多いだろうし、超広角で純正以外のフードを使う選択肢がほとんどまったくといってよいほどないのが問題になる。角形フィルターの場合も似た状況であり、また機材を持ち歩きながら撮影を続ける際になにかと角型フィルターは不便と面倒があるのもやっかいだ。

できるかぎり円形のねじ込みフィルターを素直に使ったほうが手間いらずで確実なのだ。

そこで円形フィルターの枠サイズにメーカーや製品間の違いがあるのか調べてみようと思い公式サイトを見てみたのだが、データが掲載されているのはニコンARCRESTだけだった。このためメーカーに直接話を聞いたり、計ってみたりしなければならなくなった。

なお以下に示す値は、いずれもプロテクトフィルターについてだ。

検証したメーカーとブランド

ケンコー / ZXプロテクター
ケンコー / PRO1Dロータスプロテクター
(いずれも[薄枠]と称されている製品)

マルミ / EXUS(メーカーから[薄枠]はすべて同一の枠を使用していると回答された)

ニコン / ARCREST

ハクバ / XC-PRO(メーカーからULTIMA、SMC-PROも同一の値であると回答された)
(ハクバは95mmサイズがないのであくまでも参考値として取り上げる)

(以下、すべて2018年7月現在のデータ基づく)
・ZXプロテクター
/ φ82[枠厚]4.0mm φ86[枠厚]5.1mm φ95[枠厚]5.1mm
・PRO1Dロータスプロテクター / φ82[枠厚]4.4mm φ86[枠厚]5.1mm φ95[枠厚]5.1mm

・EXUS / φ82[枠厚]4.0mm φ95[枠厚]5.1mm

・ARCREST / φ82[枠厚]3.4mm φ95mm[枠厚]3.9mm

・XC-PRO / φ82[枠厚]3.4mm

ご覧のように各社82mmまでの径と、86mmあるいは95mm以上の径で枠厚が異なる。ケンコー・ZXプロテクターとマルミ・EXUSの枠厚は同じとみてよいだろうし、ニコン・ARCRESTとハクバも82mmまでは同じである。マルミは[薄枠]と表示している製品は皆同じ枠規格であると明言している。ケンコー・PRO1Dロータスプロテクターは86mm以上で同社ZXプロテクターと同じだが、82mm以下ではやや厚めである。82mmまでの径ならニコンARCRESTとハクバがもっとも薄枠である。しかしハクバは82mmが最大径なので、大径フィルターでもっとも枠厚が薄いのはニコン ARCRESTということになる。

ARCRESTが透過率、ガラスの平面性等で優れているのは各所で検証・報道されているが、枠がコンマ数ミリでも薄くあってほしい超広角では圧倒的なアドバンテージがあると言える。これなら多少フィルターが緩んでもケラレる心配はないと言えるだろう。ただし、ARCRESTの価格は他のフィルターの2〜3倍程度覚悟しなくてはならない。

もちろん枠厚だけがフィルターの性能ではない。[薄枠]を名乗るフィルターなら多少心配があったとしても大いにケラレるケースはそうそうないだろうと思われるし、価格対効果の期待値だって人によって違う。ということで、あくまでも枠の厚さに限った話として今回の記事を読んでもらいたい。

メーカーに問い合わせれば製品の詳細を丁寧に教えてくれるわけだが、[薄枠]と表示するだけで事足りる場合がほとんどでも、どうせならデータを公式WEBページやカタログで公表したほうがよいのではないだろうか。もしかしたら、こんなことを気にしているのは私だけかもしれないが。

© Fumihiro Kato.
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古い写真。

・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なる人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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