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※以下、すべて自己責任で。
清掃液は無水エタノールとイソプロピルアルコール(100%)をおおよそ1:1で使用。イソプロピルアルコールは無水エタノールと比較して脱脂力が強く、揮発性が高いためセンサーやレンズ等の清掃で作業効率がよい。ただしイソプロピルアルコール単体では揮発性が高過ぎるきらいがあるので、 無水エタノールとイソプロピルアルコールを1:1の割合で混ぜ使用する。(追記.無水エタノールとイソプロピルアルコールの比率はイソプロを多めにしたほうがよいかもしれない)
入手が容易な無水エタノールだけではダメなのか。アルコールを使った清掃に慣れていない場合、揮発性が高く脱脂力が強いイソプロピルアルコールの取り扱い(こぼす、皮膚に付着する等)で不都合を起こさないように無水エタノール単体での清掃からはじめアルコールの扱いに慣れておいたほうがよいだろう。
無水エタノールとイソプロピルアルコール1:1の比率に根拠はあるのか。イソプロピルアルコールのメリットが引き出せ、扱いやすい揮発性を得られる比率が経験的に1:1というくらいの意味。作業内容や目的によって比率を変えても問題ない。
無水エタノールとイソプロピルアルコールはガラスはもとよりコーティング(フッ素系含む)、カメラ・レンズ周りに使用される樹脂に悪影響を及ぼさない。ただしイソプロピルアルコールは焼き付けしていない塗装を剥離させることがあり、揮発性が高く可燃性、脱脂力が高く100%原液は皮膚の潤いを奪うので注意。
これらアルコールは発火の危険があるのでくれぐれも保管と取り扱いに注意しなければならない。ハンドラップに移す際はメジャーカップや漏斗など使い、ロケ先に持ち込む場合は車中での保管量は最小限にしたい。
センサー、レンズ、フィルターいずれを清掃する場合も、基本は中心部から螺旋状に外側へ洗浄液を含ませたシルボン紙を動かす。このとき少ない軌跡で、拭き残しなく隅々まで行き届かせることが大切。何回転も螺旋状にシルボン紙を移動させると、拭き取りの効率が悪くなるように感じる(ゴミや汚れが取れないほかムラができやい)。このためシルボン紙を巻く清掃棒は、清掃対象に合わせて可能な限り太いほうがよいようだ。
清掃棒はニコンの清掃用キットのように既製品があるが、菜箸等を削ることで自作するのも難しくない。菜箸の太い側をマイナスドライバーの先のように平らに削るだけだ。割り箸の両端を削れば、かなり幅広と比較的幅が狭いシルボン紙巻き取り部をつくれる。割り箸が分離しそうならテープを巻いて補強すればよい。
割り箸の手元側つまり幅広側は清掃用として幅が広過ぎると感じるかもしれないが、フィルターの清掃ではこれでも狭いくらいであるし、ライカ判フルフレーム以上のセンサーではこれくらいでよい場合がある(螺旋状に何回転もシルボン紙を移動させたくない)。
ただしレンズは曲面であるためあまり幅広の巻き取り部では効率よく清掃できないだろうし、清掃方法には慣れや手グセがあるので作業しやすい清掃棒の幅を見つけるのがよいだろう。
清掃棒の動かしかたは押し付けるのではなく、穂先となっているシルボン紙の先端をホウキやモップのように対象に接触させるだけでよい。シルボン紙に含ませるアルコールは、揮発性がほどほどの無水アルコール単体ならハンドラップから染み込ませたあと別途用意したシルボン紙に触れさせ余分を吸い取らせるくらいでよい。無水エタノールとイソプロピルアルコール1:1でも、大量に染み込ませる必要はない。
アルコール類は付着した汚れを浮き上がらせるためであり、またブロアーを吹いたあとも残っている微粒子で傷をつけない潤滑目的でもあり、ダスト等をシルボン紙に搦めとる効果そのものはあまり期待できない。大量にアルコールをつけても拭き取りに手間取るなど、対象を傷つけやすく作業時間の効率化からも程遠い結果になる。
センサー清掃の際、市販のLED付きルーペを用いるのもよいが、ルーペで必ずしもダストが発見できるとは限らず、使い方や視力など個人差でまったく役立たずで終わる場合もある。「あればあったで便利」程度の期待で、予算に余裕があるとき買っておくのもよいだろう。
センサー清掃は白紙を最小絞りで撮影してダストを確認しろ、とされている。もちろんこの方法がもっともよいだろうが、紙を適切な照度で照らすなど面倒も多い。PCやタブレットのディスプレイいっぱいの大きさになる完全白色の画像を用意しておき、この画像を白紙の代わりに撮影してもよいだろう。
まず最初は、やや多めのアルコールをつけたシルボン紙で一通り拭き取る。シルボン紙は一工程ごと交換し、アルコールの量を適切化させ二回ほど拭き取る。このあとダストを確認し、ダストが残っている箇所に集中して清掃する。
こうした用具と方法で大抵は問題なく清掃できるが、それでもしつこいダストが残るのは[部屋等空間に漂うダスト][清掃者の衣服や体から落ちるダスト][これらが影響しやすくなる作業時間の長さ][油脂を含むグリース状の汚れ]を疑おう。
ダストや汚れがなかなか取れないときは焦らず、一旦作業を中止したほうがよい。そのうえで上記した問題について可能性を検証し解決策を取る。センサーに陰が残る場合、ダストではなく清掃時の試写用レンズの後玉等に汚れがついていたりセンサー(ローパスフィルターや保護ガラス)の傷である場合がある。
厄介だなと感じたなら、深追いせずサービスセンターに持ち込むのを勧める。
© Fumihiro Kato.
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