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作品撮影の数日間かける遠出用機材を迷いながら選択している。
カメラ×3
メイン
15mm,60mm,135mm
サブ
28mm,45mm,105mm
ラジオスレーブ
クリップオン×2
メーター
三脚,一脚
決定ではないしサブとしているレンズすべてを持ち出す訳でもない。問題はストロボだ。
いわゆる日中シンクロを風景に適用する試行錯誤が機材の面で続いていて、400Wsとか600Ws級のストロボを使えば話が早いのだけど、現地までクルマで移動したあとのことを考えると現実味がない。
つくづくクリップオンストロボの発明は偉大であのサイズになっている必然性を噛みしめるほかないのだった。そして落っことしても大抵のことでは壊れない。水没さえ気をつければよいのだ。
1台72Wsは非力だがズーム機能と弱いフレネルレンズの効果で光の集約度が高まり照度を稼げるのはよい。でも72Wsでは足りない。そこで2台にして1EV照度を上げる涙ぐましい努力をすることになる。
みなさんご存知のようにストロボを2台にしたからといって2EV照度が上がるわけではない。2EV上げるにはストロボは4台。3EV上げるには8台だ。
1絞りのため2台。もし2絞りなら4台。ほんと光量に悩まされてばかりだ。
人手を使えるなら4台でも8台でも持ち出すかもしれないし、なんだったら大出力機に例のフレネルレンズを使うけれど一人でほっつき歩きながら撮影するには無理だ。ということで2台に落ち着くほかない。
数年前に出先で急ごしらえしたL字プレートを魔改造したストロボ2台用手持ち器が機能しているので、新たにそれっぽい機材を買わないまま使用している。いずれもっとスマートにまとめた手持ち器にするかもしれないけれど、まあいいやといったところだ。
なぜ手持ちにしてラジオスレーブでシンクロしているのか。一文字のプレートにストロボ、カメラ、ストロボと配して三脚に固定した場合にストロボだけ俯角に設定するのが無理だからだ。仰角側に振ることはほとんどないけれど、ストロボのヘッドを上向きにするのは容易いのだが。
こうなると手持ちにして好きな方向にストロボを向けるほうが圧倒的に楽なのだ。
ストロボのヘッド上面にISO 100のときヘッドでズームさせた50mm、24mm、12mm、100mm、200mm時の距離と絞り値の早見表を貼り付けている。
通常はISO 64で撮影しているが、こうした撮影時のデフォルト感度はISO 100にして余計な計算に煩わされないようにしている。そしてヘッドのズームが前述の画角相当なのは使用レンズの画角全体を照明しないからで、ヘッドで12mm相当の照射角にできなくても1/2または2倍刻みなら換算が楽。ISO 100にしているのも換算が容易という面がある。
いちいちメーターを使って測光せず、対象の位置までの距離を目測のうえ早見表に従ってストロボ側の光量を調整するマニュアル発光。そもそも日の出前後の早朝や日の入り前後の夕刻でないかぎり発光量は1/1しか選択できないケースが多いし、こうした目測と勘による操作で十分な場合ばかりだ。
どうせメーターを持ち運んでいるのだから測光しろと言われそうだけど、手数を減らして構図についてのアイデアなどに神経を注ぎたいし、早見表を使うのは一日中ほっつき歩く撮影では頭がいつも通り働かないことがあるのでミスを減らしたい。この手の撮影では測光しにくいというのもある。
早見表は紙に印刷したものをラミネートフィルムで表面を保護して黒のパーマセルで貼っている。ラミネートフィルムを使うのは機材の運搬、出し入れでボロボロになったり雨に濡れたりするのを防ぐためだ。ボロボロになると撮影時にどよーんとした気分になってヤケクソ気味にやる気が落ちてしまう。これが案外重大で重要。
撮影地は砂丘や砂浜、岩場なので潮風と飛砂がものすごいため一旦移動車まで戻らないかぎりレンズを交換できない。となると、最大でカメラ3台にレンズを装着したまま歩き回らなければならない。
ズームは気持ちが定まらないのが結果に現れるので嫌いだし、そももそ15mmから135mmまでカバーできるものがない。なんとかズーム2本にしてカメラ2台になっても、ズームレンズは重量があるから身軽さにさほど貢献しない。
海は風が強いので三脚にウエイトをつけている。カメラと三脚だけで10kg級の荷物になるから、ますますストロボをコンパクトにしたいし体力が落ちてミスを誘発するのを防ぎたい。
なぜこうまでして撮影するのかいえば、自分の為だからにほかならない。
年齢を考えるとこうして撮影できるのはせいぜいあと10年くらいだ。よんどころない事情で10年を有効に使えないかもしれない。10年先もできるかもしれないという甘い予測をしている暇はない。
後悔ばかりの人生なのに、更に後悔を残して死にたくない。皆さんもそうでしょ? 若い方は余計なものに時間と体力を使わず、いまできる撮影にだけ集中したほうがよいと思うし、これは私の後悔のひとつでもある。
まあ格好は悪いだろう。だがダサいと言っていられる余裕なんてないのだし。
© Fumihiro Kato.
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古い写真。