スポットメーター用スケールを使って濃度を決める

最近はカメラの内蔵露出計が便利になって、評価測光、中重点測光、スポット測光と切り替えられる。なので、こんな話は需要がないかもしれないけれど、単体露出計、特にスポットメーターとスポットメーター用スケールについて書いていきたいと思う。

「スポットメーター用スケール」なんてものは私が思いついただけで、たぶん機材屋さんには売っていないと思う。思いついたと言っても画期的なものでなく、誰もが知っているはずのことをスケール状に落とし込んだものに過ぎない。これをメーター裏面のサイズに合わせて適宜印刷して貼っておくと、便利な人もいるかもしれない。

 

 

これは5の位置を平均反射率18%の濃度としている。数字は1EVずつ増減する。スポットメーターは反射光式露出計だから、どのような明るさであっても[5]の濃度になる露光値を示す。白い物体、黒い物体どちらも平均反射率18%の濃度の物体として描写するための露光値になる。フィルムだろうとデジタルだろうと、ディティールが残る露光の範囲は、[5]から明るい側に2EV(2段)、暗い側に3EV(3段)程度だ。これを外れると、ディティールが残っているかもしれないけれど感じられにくくなる。このディティールが残る範囲を赤く示している。

 

1. 任意のポイントを測光したとき示される露光値と、他のポイントを測光したとき示される露光値を比較して、ディティールが残る範囲に収まっているか確認するのにスポットメーター用スケールは使うことができる。しかし、これだけではあまり便利なスケールとは言えない。

 

2. 任意のポイントを測光したとき示される露光値のまま露出すると、このポイントは[5]の明るさとして記録される。もし、このポイントをディティールが残るように且つ明るさ=濃度を増減させたいなら、[2]〜[7]の範囲=-3EV〜+2EVの間で可変させる。このとき濃度の参考にスポットメーター用スケールを使うことができる。

 

3. このスケールは黒から白までを均等に推移するグラデーションで描いたけれど、ネットに掲載した図も、実際にこのようにして図を作成して印刷したものも、18%の濃度や1EVごとの変化を正確に表すのはたいへん難しい。しかし、おおよその濃度を直感的に把握できるので、前述の(2)で露光値を可変させた場合の記録される濃度を推し量ることができ、漠然と想像するよりよっぽど確かだ。

 

4. (3)は前述の(1)にも言え、幾つかのポイントを測光したとき、そのポイントがどのような明るさ=濃度として記録されるかを推し量ることができる。

 

5. ゾーンシステムに類似した使い方をするなら、画角内でディティールを残したいもっとも暗いポイントを測光し、このときの露光値を[2]になるよう-3EVする。これはスポットメーター用スケールを使う必要はないが、何かの参考に。

 

 

たとえば背景アリの人物撮影のとき、メインの被写体である人物の顔をスポット測光するだろう。このときメーターの出目のままでは顔の皮膚表現の濃度が濃すぎると判断したとする。濃度が濃すぎるのだから、露光値を+EVシフトする。+xEVの量は経験で推し量れるが、スポットメーター用スケールをアンチョコにするならおおよその濃度が見て取れる。

 

こうしてメインの被写体への露光値が割り出せたなら、背景の気になるポイントを測光し、出目に+xEVしてどのような濃度に記録されるか推し量る。濃度はRAW現像時に明るさ、トーンカーブで調整できるが、実測値があまりに期待から外れているなら撮影時になんらかの対処を施すことになる。なぜなら、RAW現像時にマスクを切って個別に調整する方法もあるが、マスクを切りにくいケースが多々ある。また、マスクを切らず画像全体の明るさを調整すると、あたりまえだがメインの被写体も影響を受けてしまう。

 

ゾーンシステムの考え方を使おうとすると、以下のような問題にぶつかる可能性がある。

 

フィルムを使うときゾーンシステムは現像時間の増減など含めて対応する。デジタル写真でも、やはりRAW現像時に工夫することになる。
明るさ=濃度をコントロールする項目は
    明るさ/露光量
    トーン
    トーンカーブ
    HDRの明暗いずれか
などだ。もっとも自然に仕上がるのは、トーン、トーンカーブの操作だ。明るさ/露光量の増減だけでは、画像全体の明るさ=濃度が変化してしまうのは前述の通り。HDRの明暗いずれかの操作は、かなり効果的且つ劇的に変化するが、劇的だけに不自然になりがちで、暗部を持ち上げすぎる、明部を落としすぎるとノイズが目立つ。

 

トーンカーブは人それぞれ基本形とするカーブがあると思うが、これを微調整し期待通りするのがもっとも自然に仕上がる。この他、トーンの操作も有効である。

Fumihiro Kato.  © 2018 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なり人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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