Fotopro T63C を束の間使って

Fotopro T63Cを本格的に使ってわかったことや雲台を装着した画像など具体的な使用感を別記事(こちら)にしました。[2018.5.8更新]
Fotopro T63Cをようやく使う機会があり、しばらく考えたことなどを書こうと思う。いわゆるレビューだ。[2018.5.5更新]

まず外観。これは初めて実物を見たときからWEB上の製品画像はアルマイト加工部分がテカリ過ぎていると感じていたのだが、実機も落ち着いた反射が弱いものでロットや個体差ではなく画像が金属感を強調したいがためかなり誇張されたものだとわかった。アルマイト加工は、三本の脚の要(かなめ)になる部分と雲台座に施されている。要の部分はワンポイントとしてオレンジ系のアルマイト加工になっているが、製品画像に見られる派手派手しさがなく落ち着いているので、この部分のサイズは画像より小さく見える。脚のカーボンも画像のような派手さはない。こうしたところに疑問符を抱いている人もいるだろうが、撮影機材らしい落ち着きがあると私は感じた。なお以下の画像では雲台座がオレンジ色の共色になっているけれど、現在国内で販売されているものはここは他の箇所と同じグレー調である(過去のロットはわからないが。販売国によっても違うのかもしれない)。なおRolleiが販売する三脚 Stativ T-63 C Schwarz はFotopro T63CのOEM版だ。

Fotopro 63C Review

カタログや通販サイトの画像のようなギラギラ感はなく、マットな感じのアルマイト処理で実際にはシックな仕上がりになっている。オレンジ色も派手さのない落ち着いた感じだ

manual

製品添付のマニュアル。付属する3サイズの六角レンチで調整、分解が可能

重量感だが、サイズなりの三脚をイメージすると拍子抜けするくらい軽く感じる。旧式のトラベラーGITZO G112(1.6kg)にハスキーの雲台(1.3kg)を着けたものと、T63C(1.55kg)にハスキーの雲台を着けたものの重量差はほんのわずかなのに、なぜかT63Cのほうが圧倒的に軽く感じる。たぶん見た目の大きさのわりに軽量なところに錯覚を生じるためだろうが、持っても担いでも軽く感じられるから不思議だ。G112は古い製品のためヘロいところがあり現在の感覚ではトラベラーとしては重いが、私が持っている三脚のなかでもっとも軽いので使用してきた。ここに脚径が上回ることもあってヘロさのないT63Cが加わると、T63Cのほうが圧倒的に使い途が広くなって危うしG112状態だ。

脚の強固さだけでなく各部の精度がかなり高いので危うい感じがない。脚の付け根も初期状態では開脚時にやや固さがあるくらいで、センターポール周りもしっかりしている。開脚時のトルクは付属の六角レンチで調整できるが、HUSKYの使用感に慣れているので私はこのまま使い、もし甘くなったら増し締めするつもりだ。開脚角度は三段階に使いわけられ、ノーマルの開脚(つまり1段め)はHUSKYの開脚角度と似ている。この状態で脚を伸ばさなければ、雲台を下方向に押し付けながら前後左右に揺すってもHUSKY同等のたわみとも言えない動きしか生じない。全段伸ばしても嫌なたわみはない。脚の締め付けスクリューを緩めてもスッと次の脚が落ちず、空気の抵抗が緩やかなバネになっているのは悪くない証拠だ。危うしHUSKY状態だ。

しかしHUSKYと異なるのは自重の差による安定度だ。HUSKY三段雲台込みは3.7Kgで、T36CにHUSKYの雲台を着けて2.85kgと比較すると無視できない重量差がある。またG112より最大全高が高いT36Cでは、まったく無理はないもののHUSKYの雲台を着けるとどうしても若干トップヘビーになる。トップヘビーになって不安感があるなら雲台について考えなくてはならないけれど危惧するほどではなく、ただしズンッと重力方向に沈むような大型三脚の安定と安心はもちろんない。私は超望遠は使わないのでこれで問題ないし気にせず中判だって載せてもいいかなと思っているとしても、他の人は違う可能性がありなんだったらパイプ径が32mmになるT73C、T74Cにしたほうが精神衛生上よいだろう。T63Cのパイプ径は28mmで、私はHUSKYを使用しつつ軽量で分解容易、かつ砂に強い三脚として選択している。

この記事を選んで読んでいる人は既にT63Cについて概要がわかっているものとして続けるが、センターポールの繰り出しと固定はギアを噛み合わせないナット固定式で、ナットはGITZOのマウンテニア以上の機種で使われている耳付きだ。以前の記事で書いたように、SIRUI等はGITZOのトラベラーなどと同じナットに耳がなく滑り止めのローレットのみのタイプで、耳がある方が確実な操作ができるのでT63Cを評価したところもある。繰り出し機構にギアを使う機種の筆頭かつ最初にギア付きとして売り出されたのがHUSKYで、これは上下動に便利この上ないしHUSKYを長年使ってきたため私は操作に慣れている。ところが、HUSKYでは構造的に砂などの異物がギア部に侵入しにくいものの影響は皆無ではなく、GITZO G112はプラカバーをねじ止めしているだけなのでかなり深刻な状態になる。ギアと噛み合うセンターポールのギザにも砂は容赦なく入り込む。一方、ギアを使用しないT63Cは砂を噛んだとしてもリカバリーが容易だ。そう、砂をはたき落としたら水をぶっかけるだけ。

単純な三脚、軽い三脚、小さ過ぎない三脚、ヘロくない三脚を求めているなら、Fotopro T63Cや4段のT64C、パイプ径が32mmのT73C、T74Cは買いだろう。ただし軽量な三脚を選んだのだからトレードオフとして、ズンッと沈んで不動の安心感のある重量級三脚のような使い方はできない。T63CをはじめとするFotoproのTシリーズは、センターポールにフックでウエイトぶら下げられるようになっている。でもFotopro製品に限らずウエイトに使いがちなのはカメラバッグ等であり、バッグに入れている機材が安全かとなると大いに疑問だ。わざわざ鉄の塊のウエイトや砂袋持参で屋外撮影をする人はいないだろう。当たり前の環境なら問題なくても、重量級三脚以外は風が吹くなどしたとき煽られたり転倒する。細かなことを言えば微振動の影響がある。こう書くと「実はヘロい」と思われそうだが、精度が高いこともありかなりの能力があると私は感じた。対荷重は推奨12kg。対荷重については業界統一基準がないため一概には言えないけれど、ライカ判フルサイズに望遠レンズくらいなら何ら問題はないだろう。HUSKYやGITZOの中型以上の安定度が、この分野では図抜けているのだ。

T63Cを買うと三脚バッグに入った状態でダンボール箱に梱包されている。このバッグはおまけだから高級感がないし、使い所があったりなかったりのものだけど、つくりを見るとFotoproは撮影オタクが社長をやっている会社なのだろうと感じる。どのようなものかは買った人だけのお楽しみだ(持ち手付きのものもあるようだ。私の筒型のショルダータイプ)。三脚の単純な構造と仕上げ感、実用する上で求められているものの割り切り加減が偶然の賜物でなく、日頃から自分で三脚とカメラを担いであちこち出歩いている人の発想だろうと想像されるおまけバッグだ。自分好みの三脚をつくるのだったら、型代や材料調達コストが膨大だからたくさんつくって売ってしまおう的なT63Cなのだ。細か過ぎて伝わらない、わからないモノマネという芸がある。T63Cの重量の塩梅、各部分の精度、動作感もまた、使ってみないとカタログだけではわからない絶妙な微妙さがある。無くしてしまいそうな脚ゴムの予備が添付されているのも撮影をわかっている。

Fumihiro Kato.  © 2018 –

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Profile

F.Hiro.K
加藤(文)文宏 / Fumihiro Bun Kato a.k.a Hiro.K
写真家・作家 / Photographer Author
・北海道北見市生まれ。
・大学卒業時までに詩集「無題あるいはサラバ」、同「Cadenza」発表(共に絶版、在庫なし。「Cafebza」別装丁私家版のみあり)。
・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。
・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他)
・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。
・不二家CI、サントリークォータリー企画・取材、Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告、武田薬品工業広告、他。アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材、MIT Museum 収蔵品撮影 他。
月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。
・長編小説「厨師流浪」で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」他、小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。
・獅子文六研究。
・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。
・各メディアにおけるスチル撮影。
・オリジナルプリントの製作、販売。
・JSAHP正会員
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