カメラストラップ考

私はカメラストラップが大嫌いだ。カメラを三脚に固定したときストラップにぶらぶらされるとイラっとなるが、ときには必要な場合もあるのでカメラとの接続はカラビナを介して取ったりつけたりを簡単にしている。使用しているカラビナは工具や資材売り場にある素っ気ない3mm径のものと太めのもので、3mm径ならカメラ側の三角環に取り付けられているボディ保護用プラスチックを外さなくても通せる。脱落その他のアクシデントは、かれこれ数十年これで経験したことがない。

ではストラップそのものは、となるといろいろ試してはみたがもっとも安価な部類のこれまた素っ気ないものが好みで、ニコン純正ならAN-4Bのようなタイプ。昔ながらのアレで、紐そのものに少しだけ手を加え、これといった工夫や趣向のないもの。カメラを買うともれなく付いてくるストラップに似ているが、デカデカとロゴや機種名が入っていない、もっと細身のものだ。ただこれでは首回りがどうもしっくりこない感じがする”場合もある”ので、ニコン純正ならNikon×Crumpler ワイド コンフォート ストラップみたいにクッションが欲しくなる。Nikon×Crumpler ワイド コンフォート ストラップの価格は4,980円で、カメラストラップが大嫌いな私は到底許容できる価格ではない。ここに支払う5,000円あったら美味しいご飯を食べたほうがよいとさえ思う。ケチだからでもあるけれど、やっぱりカメラストラップが大嫌いなのだ。

で、この前GODOXのAD360IIを買ったらバッテリー用ストラップが同梱されていたのだが、これが絶妙に具合よいカメラストラップになるのだった。やや広め(といっても最近のストラップからしたら普通の)首当て部があり、ここがソフトな素材でできている。構造はマンフロットMB PL-C-STRAP PL みたいに首当て部と紐が分離できるタイプで、ただしこちらのジョインはエンジニアリングプラスチックの安いものだ。これだけ売って欲しいくらいで、探し回ったけれど同じものはどこにも売っていなかった。ふと思ったのだが、ニコンのAN-4Bのような安いけれど機能はちゃんと担保されていて素っ気ないストラップに、首当てソフト素材を合体させたら完璧ではないか。

ここで気づいたのが、首当てソフト素材はカメラバッグ等の持ち手や肩紐にくるっと巻いてあってマジックテープで固定されるアレでよいだろう。ここは癪だけど、500円で肩当てを買った。んー、7cm幅より細身な肩当てが見つからなかったのは残念とはいえ、これで首にフィットするようになった。

人それぞれ好みがあるだろうし、素っ気ないタイプは貧乏くさくておしゃれではないとする立場だってある。ただ、かなりの人がカメラメーカー名やブランド名がどーんと刺繍されているようなものは、ちょっと引いて見ているらしいのがこれらを物色した売り場のレビューに現れていた。ニコンは地味につくって売っているが、でも素っ気ないものは商品として成立しにくい。なくても写真は撮影できるゆえに、本来の機能と別の部分、たとえば色柄のバリエーションなどで売る訳だ。メーカーは需要をつくろうと努力し、これを喜ぶユーザーも少なくないが、げっそりしている人もいる。私はカラビナを介してカメラと接続し脱着を簡単にしていて、マンフロットはストラップそのものに脱着機能を盛り込んでいるけれど、製品はいっこうに増えない。でもここにも需要はあって、かなりの人が脱着機能を求めている。ストラップは徒歩移動以外では使いどころがなく、三脚使用で邪魔になるだけでなく、カメラバッグに入れるたびごちゃごちゃヨレヨレになるのだから。

私ごときが商品監修する機会はないだろうが、もし企画できるものならストラップに限らず「本当に使える」用品を提案したいところだ。キックスターターで資金調達したPeak Designのエブリデイバックパックが大好評だ。エブリデイバックパックの新機軸や機能の組み合わせの妙はいろいろな部分にあるけれど、両側面が大開口できるバックパックはこれまで皆無だった。バックパック式カメラバッグは側面に開口部があっても小さな窓だけだった。何かと出し入れするにはバックパックを地面に置けというコンセプトだった。でもショルダーバッグみたいに立ったまま機材を出し入れしたいし、地面にバッグ類を置くのも嫌だ(少なくとも私は嫌だ)。これだって多くの人がもやもやしていた点なのだろうが、なぜかメーカーは無視し続けていて、中の人はたまにしか写真を撮らないのだろうかと思わざるを得ないのだ。監修料がいただけるなら、長く売れ続ける写真用品をいろいろ提案しますですよ、ハイ。

 

Fumihiro Kato.  © 2018 –

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

 

Profile

F.Hiro.K
加藤(文)文宏 / Fumihiro Bun Kato a.k.a Hiro.K
写真家・作家 / Photographer Author
・北海道北見市生まれ。
・大学卒業時までに詩集「無題あるいはサラバ」、同「Cadenza」発表(共に絶版、在庫なし。「Cafebza」別装丁私家版のみあり)。
・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。
・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他)
・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。
・不二家CI、サントリークォータリー企画・取材、Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告、武田薬品工業広告、他。アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材、MIT Museum 収蔵品撮影 他。
月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。
・長編小説「厨師流浪」で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」他、小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。
・獅子文六研究。
・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。
・各メディアにおけるスチル撮影。
・オリジナルプリントの製作、販売。
・JSAHP正会員
Translate »