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!記事作成時以降、スポット光用フレネルレンズは改良を続けている。現時点では記事内の説明より集光効率を上げ、周辺への影響を小さくしている。他の最新記事もしくは今後投稿する新記事での紹介を参照してもらいたい。
いつまでやってるんだ、と言われそうだが最終話だ。Aputure COB 120d 用フレネルレンズを利用して、均一な照度の円形の光を実現し、できるだけ到達力のある光を得るための試行錯誤をした。クリップオンストロボの光は美しくないが100W未満の出力で効率よく照度を稼ぐのはすごいことだ、と思ったのがフレネルレンズ を手に入れた発端だ。より大きな出力のストロボ(私が想定したのはGODOX360II)の効率を上げられたら、これまでにない使い途が発見できるはず。具体的には、屋外での日中シンクロを想定しつつ、その他の分野にも使ってみたいと考えた。
現在手に入れやすい照明用フレネルレンズが「Aputure COB 120d 用フレネルレンズ」だ。すこし前なら「NG-10X」も手に入れやすかったが、最近は国内の市場でほとんど見かけない。NG-10Xを販売している業者は、ポリゴンズ http://store.polygons.jp/fs/polygons/NG-10X くらいだ。両機とも価格は8,000円といったところ。Aputure COB 120d 用フレネルレンズはKPIケンコーの直販サイトで買うのが確実だがAmazonでも販売されている。これら以外にも定常光照明用にいくつかの製品があるのだが価格は10倍くらい跳ね上がる。なお、Aputure COB 120d 用フレネルレンズ、NG-10Xともにボーエンズマウントだ。前者は12から42°、後者は10〜40°の間で照射角をズーム式に変えることができる。
改造してわかったのは、これらの製品の内面が反射を抑えた黒またはグレーである理由だ。LEDライトを想定して両機はつくられている。光源がLEDであっても光は拡散しながら筐体内を進む。直行せず拡散し乱反射した光がフレネルレンズに入るとスポット的性格が弱まる。したがって筐体内は反射が抑えられている。私は光量を稼ぐ目的でアルミテープを筐体内に貼ったのだが(当初は金属板を筒状に加工し筐体内に収めた)、副産物としてスポット性は落ちるが最高輝度から段付きにならず比較的滑らかに光量が減る結果になった。もし、できるだけスポット性を生かしたいなら内部に反射素材を貼らないほうがよいだろう。
・スポット性をやや弱め、ほぼ一定の照度の範囲からある程度なだらかに光を減衰させるなら内部に反射素材を貼る。
・スポット性を高いままにし、ほぼ一定の照度の範囲から劇的に光を減衰させるならそのまま。
Aputure COB 120d 用フレネルレンズには放熱穴が空いているため光漏れがある。定常光でムービーを撮影するうえで必要な措置なのかもしれないが、同じ目的のNG-10Xには放熱穴はない。ストロボを発光させると当然ながら放熱穴から温かい空気が漏れるが、スヌートの使用で差し障りがないくらいに穴を塞いでも問題ない。
倒産したボーエンズのストロボを使うなら関係ないが、AD360IIなどをSタイプブラケットなどと呼ばれるマウントアダプターを介してフレネルレンズに装着するとき、背後への光漏れが地味に効率を悪くする。このため私は、AD360のチューブに装着する反射板をつくった。反射板は真鍮メッシュを型抜きして成形、アルミテープを貼る。チューブを通し、反射板に取り付けた帯状の真鍮メッシュでSブラケットのクランプ部に固定する。
リフレクター型、皿形を何パターンか試した。リフレクター型ではスポット周囲の照度落ちが劇的になる。皿形は照度落ちが穏やか。
360Ws 皿形反射板使用
広角端42° 1m / ISO100 / F32 |20° 1m / ISO100 / F45| 狭角端12° 1m / ISO100 / F64
リフレクター型も光量は大差ない。
光は「逆2乗の法則」に則り拡散し、照度は減衰する。
フレネルレンズでつくられるスポット光はコリメート光(平行光線)ではないが、自然放射ではないため収斂度が高くなり平行光線に近くなるほど照度落ちが少なくかなり遠方まで照らすことができる。改造される方は、あくまでも自己責任のもと使用してもらいたい。
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