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ここのところ約一ヶ月ほどライティング機材の見直しをしている。機材の見直しをするにあたってはこれまでの問題点の洗い出しがあり、撮影もまた見直しをすることになった。もしかしたら、入れ替えた機材、買い足した機材を紹介するかもしれないが、本日のところは露出計についてだ。
正味なところ露出計は皆同じというか、間違いない値を弾きだしてくれて使いやすいものだったら何だってよいと考えることもできる。とはいえ現状ではセコニック、ケンコー、GOSSEN、コメットなど限られたブランドしかなく、ブランド内の製品点数もまた限られている。もう何十年も前に買った(傷だらけで補修テープ貼りのまま所有している)セコニックのスタジオデラックスや、初の海外撮影に使った同社のストロボ測光可能なモデルなど、これまで所有してきた露出計はカメラ以上に思い出深いものがある。ずっと使い続けてきたのはミノルタで、あまりに長く使い色々怪しくなったのでミノルタから権利を引き継いだケンコーの同型モデルに買い替えた。というのも、同型モデルならマニュアルを読むことなく隅々まで使い尽くせるからだ。
だがここにきてライティングを見直す機会があり、冒頭にも書いたように撮影方法を検討することになって露出計もまた入れ替えの俎上にあがったのだ。「使いやすいスポットメーターを手に入れたいなあ」となったのだ。最近は露出計不要論まであってカメラの背面液晶でヒストグラムを見れば事足りるとか言われているそうだけど、そんなことはない。ヒストグラムでわかるのは輝度の分布であって狙い通りの露光量か否かを知るためのものではないし、いちいち試写して背面液晶を覗いたりするのは下手な鉄砲数打ちゃ当たるとポラを一箱空にするまで試し撮りするのと変わりない。
で、スポットメーター搭載のモデルとなるとセコニックがあたりまえのように候補に上がる。ミノルタ由来のケンコーのどこがダメかというと、スポット測光についてだけノンコードに対応していないところだ。私のライティング機材周りはすっかりワイヤレスになったので、スポット測光の際だけコードレスにできないのでは使いにくいのだ。そうなるとセコニックのL-858Dと製造終了市中在庫のみのL-758が選択肢となる。なのだけれど、L-858Dは機能をてんこ盛りにした結果設定がごちゃごちゃした印象になり、L-758はさっぱりしているけれど今から買うにはバッテリーが惜しいのだった。L-758のバッテリーはCR-123Aで、昨今この規格は風前の灯火であり、今後も生産されるとしても極力普遍性の高いバッテリーを採用するモデルを買いたい。CR-123Aには中華製品を中心に充電可能な互換型があるのだけれど充電器ばかりごろごろ増やしてもナニであるし、CR-123Aが3Vのところ互換型は3.7Vというのも少々引っかかる。
こうした情報収集をしているときケンコーKPIのサイトを見ていてGOSSENにたどり着いた。たどり着いたものの、私のGOSSEN感は「お高い舶来品」で同じ機能ならセコニックでいいんじゃないのと思った。中でも私のニーズにぴったりなGOSSEN Starlite2は、機能が酷似したL-858DやL-758より高価な価格設定だ。あまり気乗りしないまま取説をダウンロードして読んで見ると、なんとスポットメーターが1°と5°の切り替え式ではないか。これだ、これ。まさに、コレ。そして、タフな設計であると同時に機能が必要十分にまとめられている。簡易的であるけれどゾーンシステムで露光量を参照できる機能もある。こういったものはセコニックの露出計にもあるし、なくても自分でメーターの表示値を見て決めればよいのだが、ぐちゃぐちゃ設定する必要なく、呼び出すのも簡単というのが気に入った。しかし、お高い。アマゾン価格でもお高い。
「それくらいの金額惜しむなよ」と言われそうだがL-858Dは実売で6万円台だしな、と。しかし、諦めきれないのであちこち探し回った結果ebayに新品の出品がありL-858D同等額なので手を打った。まあ、ちゃんと届くでしょう。私が買った時点であと3点の在庫だったので、きっとまだあるのではないかな。ちなみにGOSSEN Starlite2の前モデルがStarliteで、こちらはグリップがグレーなのでお間違いないように。中古ならStarlite2、Starliteともにそれなりの数が出品されているけれど、中古の割りに高いし、品質についてはなんとも言えない危険性があるので私は新品を選んだ。
GOSSEN Starlite2の外観は正直なところ最近の同社の洗練から程遠い。ただこのデザインゆえに出っ張りがなくヘビーデューティー仕様なので納得する他ないし使っているうちに気にならなくなるだろう。屋内使用だけなら問題ないだろうが私は屋外の撮影でも露出計を使うし、そういった観点から機種選びをしたので頑丈であればあるほどよい。他の美点は取説の以下の2ページに集約されている。
前述したように、美点その2はスポットメーターが1°と5°の切り替え式になっているところ。1°はライカ判1000mmレンズの垂直画角より狭い。これは精密に細部の露光値がわかると同時に神経質過ぎると感じるケースがある。もっとざっくり細部の露光値を知りたいとき、ライカ判400mmレンズの水平画角相当の5°がぴったりだ。スポット5°は入射光式露出計の光球を外しアタッチメントをつけるタイプでは珍しくないが、あのように小さなパーツを外したり付けたりするのは面倒で、しかも屋外ではパーツそのものをなくしてしまいそうで好きではない。GOSSENのDIGISKYはデザインが秀逸なんだけど入射光測定が20°と、いまの私にとっては広過ぎるのだ。美点その3は、圧倒的にボタンが少なくタッチパネル式ではないところ。だってボタンが多いのは面倒で目障りだし、タッチパネルは指先の状態如何によって反応が鈍くなるし、さらにUIの表示が小さい場合は思い通りのポイントを即座に押せない場合がある。美点その4は、3とも関係するがファンクションスイッチが電池室に隠されているところ。DIP1… スチル写真モード/シネ及び照度計モード切り替え。DIP2… シャッタースピード 1 ステップ/ 1/2 ステップ切り替え 。DIP3… 照度計表示単位切り替え。DIP4… 測定モード切り替え(ゾーンシステム)。なんだけど、これらは一旦固定したら、そうそう変更しない。そうそう変更しない要素をボタンにしたり、タッチ液晶のUIに含めたりする必要がないし、目につかない場所に物理スイッチとして設置されるのが最善であるように思う。美点その5は、バッテリーが単三乾電池1本で済み、バッテリーカバーにロックがあるところ。
こうした性能は屋外での日中シンクロ、風景をライティングする際に活用したいと思っている。もちろん屋外での入射光式露出計、屋内でのフラッシュメーターとしても使う。現在、GOSSEN Starlite2は国内市場ではめったにお目にかかれない。もともと安価な機種ではないが、いつものKPIの悪い癖で宣伝が下手で価格設定が高過ぎたのだ。人によってはスポットメーターなんていらないのだろうけれど、必要な人にとってStarlite2はなかなかのものだと思うのだ。
Fumihiro Kato. © 2018 –
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