内容が古くなっている場合があります。
ギャラリーサイトにあれこれ書いたように、夏は私が継続して制作している「海景」の撮影に不向きなため、しばらくシリーズの撮影と発表はお休みのつもりだった。何が不向きかと言えば、ひとつは水辺の行楽シーズンに入り道路は混むし人が増え構図を取りにくくなる点、ふたつめはひとつめより重要な太陽光が扱いにくくなる点が原因だ。とはいえ撮影者それぞれの好みがあるから、夏の太陽光こそ待望していたものとする人がいても不思議ではない。
作品をつくるうえで、自分のタッチやトーンを如何に生かすかは欠くべからざるポイントだ。生理的感覚からどうしても許し難い表現もあれば、継続して追求しているテーマによってコントロールしたいものごともある。どちらかではなく、両方の塩梅といったところだろう。私はいまのところ風景そのものではなく、風景に主観(気分)を交えた表現をしているので、ころころ変わるとはいえ私に通底している気分が夏の光を嫌っているし、夏の強烈な光線はテーマにもそぐわない。
私に限らず、夏の太陽光線と写真は相性がよくない。太陽の高度が高く大気や雲による拡散効果の効きが悪いため、ストロボ直射のように光が汚く陰影の差が大きい。ポートレートを撮影する場合、被写体の周囲をデュフェーザーで囲う手法があり光の拡散度を高めるけれど、風景まるまる囲える拡散装置は雲と大気の湿度だけだ。日の出直後、日の入り直前なら太陽と地上との角度が小さくなるとはいえ、それでもやはり扱いやすい光とは言い難い。
とはいえ私もあちこち移動する際に海沿いに出て、一応シャッターを切っておこうと思ったりする。ダメ元でいいけど、撮る以上は本気で撮影する。RAWデータを現像するとき、画像の階調をとにかくフラットな状態にまず持って行く。ちなみに常識であると思うが、カメラの画質設定をフラット傾向のものにしても、設定が反映されるのはTIFFやJPG撮って出しのデータやサムネイルだけだ。
階調をフラットにするにはガンマ値を調整するUIで逆S字カーブを描く。闇雲に逆S字にしても望み通りにはならないので、暗部をどれくらい持ち上げ、明部をどれくらいなだらかに推移させ、どの階調上の位置を中間部と位置付けるか元の画像と理想とを比較させ決定しなければならない。したがって調整はケースバスケースとなる。どのように調整すべきか要領を図示する。
ハイダイナミック操作で暗部明部の階調を出そうとするとドロドロした(ありていに言えばダサい)画像になるし、単にマスクで部分して明るさの調整をすると結果的にハイダイナミック操作と同様になり不自然な感じになりがちだ。まず全体の調子を望む傾向にして基本の階調特性をつくり、ここから他の操作をするとコントロールが容易であるし、意図を正確に反映させやすい。
Fumihiro Kato. © 2017 –
Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.
なお当サイトはTwitterからのリンクを歓迎しません。