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11月 関東平野センチメンタル
これといって何か言うほどもない写真だが、2019年1月にいろいろあって手に入れたAI AF Micro105mm Dで撮影している。(現像時に手を入れているので、そのまんまのAI AF Micro105mm Dの写りではない)
AI AF Micro105mm Dについては幾度となく検証し現行品のレンズと比較をしてきた。今回、格別の意図を持たずバシャバシャ撮影して、やはり現行Gタイプのレンズとは性能差、個性の差を感じるのだが以前より写りがよい気がするのは意外だった。念の為もう一度書いておくが上掲の写真は現像時に手を入れているので、そのまんまのAI AF Micro105mm Dの写りではない。ただしシャープネス、明瞭度等の操作はしていない。
くわしくは幾つもある過去の記事🔗を読んでもらうとして、立体感の描写を主に支配する階調再現性が現代のレンズと違い、軸上色収差の加減もまた現代的ではないのがAI AF Micro105mm Dだと言ってよい。
ネガティブな話からはじめたが、このレンズは30年前(1987年)の設計とはいえマイクロ(マクロ)ゆえに歪曲がすくなく、当時のものとしては諸収差がよく抑えられていて、現代のレンズと比べ圧倒的にコンパクトなところに美点がある。今となってはやや平面的な写りは個性であるし、現代のレンズにはない像を結ぶ。
と簡単に書いたが、なにかと現代のレンズと違い雑には撮影できない。光線状態、被写体、ピンの手前と奥行き側がどうなっているかなど考えてやらないとならない。原型となるDタイプ化以前の80年代後半、Dタイプ化された90年代当時も気を遣うレンズだった訳ではないだろうから、やはりデジタル化以後のセンサーとの相性が不安定さの最大原因だと思う。
そうだとしても、今回の写真はAI AF Micro105mm Dとしては以前より写りがよい。どんより曇って照度が低いフラットな光線が好結果につながっているのだろう。2カットめの粟なのか稗なのか別物なのか背が高いイネ科植物の秋枯れは絞り開放で撮影していて、ピントが合っている葉は葉脈まで完全解像している。とはいえ、解像と立体感は現行Gタイプと別物であって前述のように平面的傾向がある。
うまくいったカットがある一方で、予想外の結果になったカットもある。(あまり考えずオートで撮影している)3カットめの畑に落ちた唐辛子の写真はあきらかな露光オーバーで、このカラーネガフィルムのような調子は意図的につくったものでなく元からほとんどこんな感じだった。これはこれで面白いし被写体にも合っているからよいとしても、この例以外でも今どきの感覚を裏切られる可能性があるのは理解しておきたい。
© Fumihiro Kato.
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