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私のNetの軸足は此処、つまり独自ドメインのサイトpixel-gallery.xyzとギャラリーpixel-gallery.netに置いている。TwitterをはじめとするSNSとは、私に向けた特定個人からの嫌がらせがひどかったことで数年間関わりを遠ざけてきた経緯がある。そして現在に至って、その場にいないからやりたい放題される傾向もあることから試験的にアカウントをとってぼちぼち運用しはじめた。魔除けである。
こうして理解されたのは、写真に特化しているSNSだろうと特化していない言語コミュニケーションメインのSNSだろうと作品を掲示するのに向いていないという大問題だった。
まずノートリミングでサムネイルを表示させるのさえ不可能。1:1や16:9に機械的かつ強制的に写真が切り取られるのが気持ち悪いし、どれだけ注目される投稿でもすべての人がサムネイルから全体表示にして見てくれる訳ではないから構図に精魂こめても無駄というありさまになる。ほとんどの人は機械的に切り取られたサムネイルで写真を評価しているのだ。
この辺りどうでもいい人が多いのだろうが、トリミングだけでなく角丸加工されて表示されるだけでも私にとっては耐え難い屈辱なのである。
みなさんはなぜ耐えられるのだろう。
このため私は16:9のアスペクト比をもつ白色背景に余白つきで写真をレイアウトした画像をつくって、サムネイルも全体表示も一貫した表現になるよう工夫した。はっきり言えば面倒くさい。
あるタレントさんは、顔部分が他の部分とともに適切にサムネイルに表示されるよう元画像を正方形にトリミングしたうえで2画像投稿して横並びに表示させるとか、その他諸々のテクニックを駆使していて、どう考えても本人以外の誰かが計算づくで投稿している。そういった場所なのである。
さらにサムネイルをスマートフォンで見るか、PCのディスプレイで見るか画面サイズの違いによって印象がかなり変わる。どれだけ高精細な液晶だったとしてもスマートフォンの小さな表示では細部がまったくわからないだけでなく、主たる被写体もそうとう大きな比率でないかぎり認識できないのだった。
もっと言えば、環境光を反映させて画面の輝度を変える設定になっていれば明るい部屋と寝室では同じ写真でも見えかたが大きく変わる。つまり、どの時間帯に投稿してインプレッションの初動を稼ぐかという問題にもなり得る。国内だけ相手ならいいけれど、時差のある海外はどうするという話にもなる。(とはいえ、多くの日本人にとって相手は日本語圏だけのようだけど、世界的規模のSNSを使って非言語コミュニケーションが可能な写真を掲載するのにもったいない話だ)
こうなると平均してサムネイル映えする画像が求められてとうぜんだ。
すこしまえに「彩度が高すぎる写真」が世界的に増えたありさまを紹介した🔗けれど、これは個人のセンスの問題であると同時に、前述のように勝手にトリミングされるうえにスマートフォンの小さなサムネイル表示でいかに目立つか見栄えがするか最適化された結果、または最適だと思う人が増えたための現象だと思われる。
色が派手というだけで詳細表示するフォロワーが増える。こうして閲覧動向から派手な色調の写真が好まれると経験則が確立され、そういう写真がよい写真と思い込まれ量産されるようになる。モノクロなら高コントラストな、黒焼き傾向の写真が同じ理由で増える。
どちらもフィルムでは不可能なレベルでデジタルだから可能な領域の派手派手しさに達している。
そういう動向に興味が惹かれる訳だけど、同時にはかりしれない絶望も覚えるのだった。
なぜ絶望するのか? ストリーミングが音楽販売とリスニングの主流になった今、とにかく再生からすぐクライマックスをつくらなければ聴かれず売れずの状況になって、イントロなし、サビ以外なしなんて曲が増産されているのが音楽をつまらなくしているのと似ていると言えば理解してもらえるだろうか。
テクノロジーと媒体の変化なんだから受け入れられないのは老害、と言われようと糞食らえである。
こうした動向がSNS独自の狭い世界の話だけでなく外の世界に漏れ出しているのを感じる。
山下達郎さんは自分が管理する音源を発表する媒体の特性にあわせてミックスしなおしているらしい。これと似たようなことを、私もトリミング対策以外にもしていて画像サイズや不可逆圧縮への対策を施している。だけど自己満足だろと言われそうな世の中の動向であるし、理解してもらえるとは考えにくいから期待していない。
これくらい雑な世界なのだ。雑でないと負けとか言われそうな世界かもしれない。という話は私の妄想だけでなく、海外のフォロワーのかた(主に撮影される方々)から伝わってくるのだった。わずか一ヶ月の間で、こうした事情に嫌気がさして投稿を止めた方が数名いた。いわゆるバズる写真って何? それを撮影して発表しないとダメなの? という嘆きだ。こういう方々とお付き合いするのが私のアカウントと言えばそれまでだが。
バズる写真とは、往々にして前述のように成り立っている。機材自慢、立場自慢で人を惹きつけてなんぼというのも下品だしね。
© Fumihiro Kato.
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