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日中シンクロについて機材も方法もともに記事にすると閲覧数が増えるし、私の周囲でも直接いろいろ質問されたり、実地に手取り足取りする機会が多い。これらの経験から、今までは理路整然と説明して理解を深める方法を取っていたけれど限界を感じるようになった。みんなライティングという段階で思考停止し、日中シンクロとなると視線が宙を泳ぐ人があまりに多いのだ。
説明するとき私が理屈を語りすぎなのかもしれない。
なので、とても頭の悪い表現に振ってみたいと思う。「日中シンクロはドバっと発光させてから考えればいい」のだ。
まず日中シンクロなのだから、ストロボを使わなくてもシャッター速度と絞り値だけ適切化すればちゃんと撮影できる明るさがあるはずだ。日中シンクロなのだから、こうした明るさの背景を生かした表現がしたくなる。
ということは、まず背景の明るさに見合う露光値を決める必要がある。これを決めるのはさして難しくないが、シンクロさせる都合からシャッター速度はカメラのシンクロ上限速度にする場合が多いだろう。もちろん可能なら上限速度以下のシャッター速度が使える。こうして決めたシャッター速度から絞り値を設定する。
絞り値から発想して、シンクロ上限速度以下のシャッター速度を探るのも悪くない。だが、日中シンクロするケースでは現場がそれなりに明るいので使用できるシャッター速度と絞り値の組み合わせはとても少ない。
ストロボは光量ではなく、ストロボと被写体との距離で光量を調整する。スタジオや暗闇で通用する-0.3EV刻みの光量調整は、明るい場所、落ち着いてさまざまなものを調整しにくい屋外ではまったく用をなさない。
太陽光に対抗させるのが日中シンクロなので、圧倒的に光量が少ないストロボは最大発光量にする。背景の明るさを決めたシャッター速度と絞り値で撮影したとき、ストロボの光が当たっている場所が暗いならストロボを被写体へ近づけるし、明るすぎるなら遠ざけて露光を適切化する。
これだけ。下手なことをするより、圧倒的に狙い通りの日中シンクロが初回から可能だ。これは私が頼まれて有料で行なっている講習的なもので経験済み。(なおコロナ肺炎がとやかくされるご時世でもContactから問い合わせていただければ、内容と出張先と日程にもよりますが講習的なものを現在も受け付けています)
ここからはもう少し説明を詳細化する。面倒なら、前記した方法を試してうまく行く経験をしたのち自分で考えたり工夫してもらいたい。
日中シンクロを難しくしているのは、ストロボから被写体までの距離によって光が減衰する事実で、これを殊更深刻に考えてしまうからだろう。たしかに私も図示までして光の減衰について説明してきたが、これは第二段階めのカリキュラムでもよいだろうと前述のように考えるに至った。

この説明をすると、カメラ位置=撮影者の位置と被写体の位置、このときの両者の距離を思い巡らす人がとても多かった。カメラの位置に光源がある場合、たとえばホットシューにクリップオンストロボが装着されているならまさにそうだが、もっと自由にストロボの位置を考えるべきだ。なぜなら光量の問題があるし、ライティングの方向・角度の自由度の問題があるからだ。
光は減衰する。光の減衰と距離には一定の法則がある。これは間違いない事実なので、最大出力で発光させて距離で明るさを調整する際に活用したい。
多くのケースで光源は被写体に可能な限り近づけないと用をなさない。したがって図示したように数メートル離すのは現実的ではない。だが皆がブツ撮り等で経験しているように、光源と被写体間を数十センチどころか十数センチ変更しただけでも照度が変わる。
距離で調整しきれないなら、このときはじめてストロボ側の出力を下げて行く。そんないい加減な、と思うかもしれないが何も問題は発生しない。あんまり詳細化していないけれど、ではどうするを知りたい方はサイト内検索で記事をみつけてもらいたい。

© Fumihiro Kato.
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