Macのローカルストレージと空き容量の話

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フォトグラファーやグラフィックをPC上で扱う者にとって、作業場であり道具であるMacはいつも万全な状態にしておきたいし、懸念が生じたら原因と対処方法を明らかにしておきたいものだ。

最近、Macのローカルストレージ(内蔵ストレージ)を掃除して大量の不要なファイルを削除したのに使用されている領域が減っていないと頭を抱える人が多いようだ。これはOSがHigh SierraやMojave(あるいはこれから登場する新たなversion)で生じる現象だ。

MacのOSがHigh Sierraならフラッシュストレージ(SSD)が、MojaveならハードディスクドライブやFusion Driveもファイルシステムが[HFS+]から[APFS]に変更された。Mojaveにアップデートしているなら、アップデートともにローカルストレージは[HFS+]から[APFS]に移行されている。

ファイルシステムとは、SSDやハードディスク、SDカード等の書き込み方や読み出し方を指定するものであり、指定したルールで読み書きする方法だ。私たちが家計簿をつけるとき、ノートは右開きなのか左開きなのか決めたうえで罫線を引いたり項目を順序だって定めたルールに従って書き込むように、コンピュータはストレージの使用方法を厳密に決めて読み書きを行なっている。このルールがMacでは[HFS+]から[APFS]に変更されたのだ。

APFSの詳細は調べていただくとして、APFSを採用するストレージではこれまでと違い大容量のファイルを削除しても[使用領域]が削除しただけ必ずしも減らず、[空き領域]として示される容量との差し引きの量が合わない現象がみられる。これは異常なことではないし、ファイルをゴミ箱に捨て削除したのに消し去られていない訳でもない。[空き領域]の数値だけ信じればよいのだ。

[空き領域]の数値だけ信じればよい理由を説明して行く。

ストレージの使用量や空き領域の量を知るには、デスクトップのストレージのアイコン下に表示される[xTB、xGB空き]を見るか、ストレージのアイコンをcontrolを押しながらクリックして[情報を見る]を指定して見るか、アップルマークから[このMacについて]を開いて[ストレージ]のタブを選択して見る方法が一般的だ。

アイコン下のストレージ名ともに表示されている[xTB、xGB空き]で示される値と、[このMacについて]の[ストレージ]で示される値は同じ数値だ。ところが、ストレージのアイコンをcontrolを押しながらクリックして[情報を見る]を指定した場合、ストレージの総容量から空き容量を引いた数値と[使用領域]で示される容量が一致しない。しかも[空き容量]の項目に(x GBパージ可能)なる表示まである。

この(x GBパージ可能)の表示は、削除してもよいものが占める容量を表している。Apple公式サイトでは削除したあと必要に応じてダウンロード可能なものである旨が説明されているが、ここに[ローカルスナップショット]が含まれている。ローカルスナップショットはTime Machineが作成して使用するファイルだ。そして(x GBパージ可能)とされているとおり削除可能なファイルだが、手動では削除できない。

(x GBパージ可能)とは、ストレージの使用量が逼迫してきたときシステムが自動的に消し去るフィルの容量を示している。

Time Machineはローカルストレージや外付けストレージを圧縮したうえでバックアップし随時差分を更新している。このようにTime Machineは大容量を必要とするので、ローカルストレージをTime Machineに割り当てている人はほぼいないだろう。もしローカルストレージにTime Machineを割り当てているなら、外付けストレージを買ってきてMacの外にバックアップを保存すべきだ。

Time Machineを外付けストレージに割り当てるとローカルストレージに空き容量が増えて万々歳だが、Time Machineでバックアップを復元しようとしたとき外付けストレージが接続されていない場合もあり得る。デスクトップ式のMacを使用しているなら外付けストレージは常にUSB等のケーブルでぶら下がった状態だろうが、ノートPCであるMacBookを持ち運ぶ際にTime Machine用ストレージまでカバンに入れているとは限らない。こうしたときローカルストレージに余裕があるなら、Time Machineはバックアップを[ローカルスナップショット]として保存している。こうしておけば、Time Machine用のストレージが手元にない場合も復元可能になる。

これが(x GBパージ可能)と表示されている容量の正体だ。

Time Machineでバックアップしているストレージから、かなりの容量のファイルを消去したとする。消去したことでストレージの空きがかなり確保される。Time Machineはストレージが確保されたことで[ローカルスナップショット]を十分に保存する。このためパージ可能な容量が増え、空き領域も増えていないかのように見える。これがゴミ箱にたくさん捨てて消去したのに空き容量が増えない状態だ。

そしてローカルスナップショットは大きな容量を削除した直後はほぼ同容量をストレージ上に占めているが、Time Machineがバックアップするごと容量を減らして行く。

まとめてみよう。(x GBパージ可能)とされる容量のうちTime Machineがつくった[ローカルスナップショット]は使用者からは見えないうえに手動で削除できないが、なくてもどうにでもなるものなので[空き]とみなして問題ないし必要とあらばシステムが自動的に削除してくれる。だから、デスクトップにあるストレージのアイコンをcontrolを押しながらクリックして[情報を見る]、またはアップルマークから[このMacについて]を開いて[ストレージ]のタブを選択したとき[空き]として表示される容量を信じて何も問題はない。

冒頭に書いた家計簿の喩えで言えば、ノートに家計簿を書き込んでいないページがたっぷり残っているのだが、この空きページに消しゴムで消せるメモがたんまり書かれている状態だ。消しゴムで消せるメモは[パージ可能]=消去可能であるように、ストレージ上の必ずしも必要ではない覚え書きのようなデータをMacでは(x GBパージ可能)と表しているのだ。

© Fumihiro Kato.
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古い写真。

・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なる人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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