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三脚より簡便で場合によっては気が利いてるようにみえて一脚は中途半端感のある機材だ。私も一脚を持っているし、だいぶ古い製品でも問題なく使えているが、でももやもやした思いがつきまとうのだった。
たしかに一脚の効果ははっきりしていて三脚を立てられない状況や三脚で固定されたくない状況では積極的に使いたい。もちろん三脚と比べると安定しないのだが、もともと求めるものが違うのだからしかたない。それでも三脚と比較したくなるため「中途半端」感が漂う。一脚に罪はなく、三脚と比較したくなる点に問題があるだろう。
世の中には一脚を便利に使うための用品がある。三脚周辺機材のようにカテゴリーが確立されていないけれど、一脚用品としか言えないものが存在しているのだ。
改良型一脚だってある。30年前、三脚を使えない場所で一脚より安定感があるものを求めて小型三脚の雲台をはずして一脚を装着したものを私は自作して使っていた。一脚の石突きが小さな三本脚になったコレは現在アイデア商品として販売されている。売れているかどうか不明だが、これもまた「三脚と比較して」もやもやする問題の解決策だろう。かつて使用した感想は「ないよりましだが、どうなんだろうね」といった感じで一脚としては軽快さがなくなり、一脚で可能な姿勢変化が限定され、ケースバイケースとはいえ本末転倒になりかねない。
あまりバリエーションがない一脚用品のなかで、地味に広がりつつある(ほんとうかなあ?)のが一脚ホルダーだ。
一脚を地面に着けて構えるのではなく、腰ベルトまたはネックストラップで固定したホルダーに石突き部を入れて構えるための製品が一脚ホルダーである。一脚の扱いに不満がある人は「なるほど、このアイデアいいね」と膝を打つだろう。昔からあったアイデアだし、この方法を採用していた人がいたのだから無駄ではない。
なぜホルダーに当てて一脚を構えるのがグッドアイデアなのか。一脚さえ立てられない場所だからというより、人間の姿勢変化に一脚では対応しきれないからだ。これは三脚にも言えるけれど、三脚を用意した時点で「これはしかたない」と割り切れるものが一脚では「許せない」となる。
一脚は撮影者の身長なりの高さに固定する。この高さで撮影し続けるなら問題ないが、アングルを下げようとすると一脚の高さを調整し直さなければならない。締め込みを緩めてパイプ長を調整して、また締め込んでパイプを固定する。三脚にはエレベーターがあるし、安定しているからカメラが固定されていても不安感がない。しかしカメラが載った一脚は不安定きわまりないのでやっかいである。
そこでホルダーだ。これなら上半身の高さにパイプが固定されているだけなので、こののまま腰を落としていけばなんら問題なくアングルが変えられる。動き回りつつ、ブレも抑制できる。めでたしめでたし。
このホルダーは前述のように腰ベルト付きのもの、スボンのベルトに通すもの、ネックストラップ付きのものとなって製品化されている。ただ多くの製品がベルクロを使用しているので思わぬところでバリバリッとはずれたり、ベルクロがバカになって使い物にならなくなる。その他、つくりが悪かったり設計が適切でないものが多い。また理想的にはヘソが位置している体の真ん中に提げたいのに、この位置にホルダーを装着しにくいものや構造的にできないものがある。
こうしてグッドアイデアながら中途半端なのだ。そして単なる袋状の製品にそれなりの価格がついている。さほど高額ではないとしても。
以前かぶせフードとして悪環境化での保護用に100均の巾着が使えますよと記事にした。もちろんレンズを買ったときおまけについてくるポーチでもよいのだが、状況的に落っことしたり汚したりしがちなので気軽に買えるお安い巾着が向いている。くしゃくしゃっと丸めてポケットに入れらるし。で、一脚ホルダーもまた100均の巾着やレンズポーチが使える。
100均の巾着の難点は変なデザインのものが多いところだし、体に装着してぶらさげた場合これでは貧乏くさいと感じる人もいるだろう。なので、合成皮革的な何かでできているレンズポーチのほうが向いている。ポーチの口を締める紐の両端にカラビナをつけてスボンのベルト通しなどに固定したり、あるいはネックストラップ的な何かで提げられるようにする。使わずじまいのレンズポーチとカラビナ2個程度で一脚ホルダーができあがり。
大概の一脚ホルダーより、こちらのほうが耐久性があるし自由度も高いのだ。
© Fumihiro Kato.
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