レンズ売却、下取りの有利不利についての話(ある会話)

今回はおいちゃんとともに買い取り、下取りの額が決まる法則性や、下取りが新品実売価格の何割になると見るべきかなど、レンズ購入と売却にまつわる具体的な数字をあげて会話した。

おいちゃん:そういえばDタイプの105mmマイクロの中古買ったんだよな。

おいら:これはいい買い物だったね。動作に問題がない完璧な個体で、しかも底値も底値。でも使える特性でほんとありがたいと思うよ。撮影結果と使い勝手を考えるとコスパがべらぼうによいね。

おいちゃん:そんな安いもの売って店は儲からんな。

おいら:いや、値段は安いけど儲けは出てるよ。

おいちゃん:そうなの? 断言できるの?

 

おいら:中古品の買い取り価格は、中古相場の60%が基本とみていいんだよ。目安だね。ここから陳列して売れるまでの経費を差っ引いたのが店の取り分。

おいちゃん:知らんかったわ。

おいら:もちろん買い取り価格はレンズの程度しだいだし、いくら状態がよくても中古で売れないものは値段がつかないけど。

おいちゃん:中古で売りにくいものは中古価格も安いだろうから、買い取り価格も安くなったり値段がつかないのはしょうがないな。

おいら:自分の店では売れないならセリに出品するところもあるよ。中古販売していない店は買い取ったものをこうする他ないしね。

おいちゃん:そうかそうか。下取りしたあとどうするのかと思ってたよ。

 

おいら:新品と中古販売を自分のとこでやれて、ある程度まとめて中古を売れる店というか企業は、セリに出すコストとリスクがないから下取りが有利な金額になりやすいと思う。

おいちゃん:こうなると商店街の昔ながらの写真屋さんはますます厳しいな。うっかり下取りなんかできないし、中古品をちょっとだけ陳列してても場所柄売れそうもない。

おいら:場所柄より、新品価格と比較してお得感がない限り中古は売れないわけでさ。新品価格が下がれば中古は値下げしないとならない。

 

おいちゃん:新品の値段が変われば、中古の査定も変わるわけだよね。仕入れなんだから。

おいら:新品価格が高ければ中古価格も高くなって、下落したら安くしなければならない。買い取りは仕入れだから、もちろん査定も変わる。新品価格と中古価格と買い取り価格は連動してほぼ同じ傾向で推移していると言えるね。ただし、新品価格のきぜわしい値動きには連動しないよ。買い取ってから陳列するまでにタイムラグがあるから、ちょくちょく変わるものではない。連動してるけど、要所要所の大きな流れで新品価格に追随してくと思えばいいと思う。

おいちゃん:いま現在の中古相場がわかれば、下取りに出すとき額面が予測できるのか。

おいら:中古のA+に査定されるには使用感がまったくないか目に見えない程度でないとダメだから、Aランクの安めとかABくらいの値段から査定額を想定しておけば落胆することもないね。

 

おいちゃん:レンズごとの固定価格で買い取るサービスがあるけど、あれって損なの得なの?

おいら:新品と中古両方扱ってる例の大手のサービスはけっこう公平感があるように感じる。あの店の買い取り価格検索で出た数字は、使用感があるレンズでいい線いってる値段だろうね。未使用に近い完璧な個体では損するかもしれないけど。

おいちゃん:あんだけ大量に扱ってればデータを取れてるだろうし、自分のところで新品を売ってるから売れ行きも業界の価格推移も把握してるだろうしなあ。

おいら:そうだね。でも、他の中小もネット検索したりして中古の価格動向を調べてる時代なんだよ。店員さんの長年経験と勘で査定額だしてるわけではない。

 

おいちゃん:新品の値段が高いとき売れば買い取りにいい値がつくんだよね?

おいら:新品は発売当初にいちばん高い値段がつくのが普通だよね。メーカー希望小売価格があってメーカーからの卸値があるから、ここから実売価格がスタートする。その後は売れ行きによって実売価格が変わる。つまり下げていく。

おいちゃん:レンズの値段は下がるいっぽうだしな。

おいら:だいたい6ヶ月は高い水準ながらどんどん価格が下がって行く。そして安定する。次は1年目からどんどん下がって行って、その後安定する。例外とか、多少の期間のずれはあるけど。でも売り出し直後から1年でレンズを売却するのは無理というか、ほとんどあり得ない。

おいちゃん:売るのは時代遅れになってからで、あとは欲しいレンズが出てきて下取りに出そうかと考えるよね。

おいら:こうなると、かなり低め安定の時期に売ることになる。

 

おいちゃん:たとえば新型が出て旧型を下取りに出して買う場合とかどうなんだ?

おいら:新型が出るのが発表されてから発売された直後は、旧型でもまだまだ使えると思うことない?

おいちゃん:あるある、そう思う。

おいら:旧型でもいいやという人がディスコン後の市中在庫を買うだろうし、中古にだって買い手がつく。すべては需要と供給だし、新型を高値で売りたい店は旧型の下取りに力を入れるだろうと思われる。

おいちゃん:そのうち新型が値崩れして、旧型は古すぎて見向きもされなくなるってわけか。

おいら:無理して売却する必要なんてないけど、これと決めたレンズがあるなら下取りに出す子が高く売れそうな間に手放したほうがお得ではあるな。新品と下取り額との差額を見極めて、売り時を逸しすぎて悲しい値段にならないように売るって感じかな。

 

おいちゃん:前にいらないレンズを売ろうとして悩んだんだが、これって整備や修理してから査定してもらったほうが高く売れるのかな。

おいら:まず無理。というのも、キズ、カビ、クモリ、絞りが動かないといったものが査定で厳しくされる。こんなの誰も買わないからね。Ai Sのレンズのなかには、構成してるすべてのレンズをニコンで交換しても3万円ちょっとというものもある。ところが、完璧な個体になったレンズが3万円以上で買い取られるか考えると……。整備や修理の内容しだいだけど、これに見合う値段がつくケースはほとんどないと思うよ。

おいちゃん:下手に修理しなくてよかった。

おいら:中古価格の60%が買い取り価格の目安なんだから、3万の修理で済んでも5万、6万で売れるかという話。5万で売れるのは、中古の相場で9万くらいになってるレンズだよ。中古で9万、10万っていえば、それなりのものだ。そもそも3万で済むのかという疑問もある。なんだっら修理の見積もりだけ取ってみればいいよ。

 

おいちゃん:いろいろ悲しくなってきたぞ(笑) クルマは買った瞬間から価値が半分になるっていうのを思い出した。

おいら:税金がかからなくて維持費がそんなにかからないってところは違うけどね。あとクルマのようには価値を下げない。

おいちゃん:丁寧に使えってことか。

おいら:ほんとそれ。日頃から丁寧に使って、変調があったらさっさと修理するのがいいよ。使ってるレンズの修理にお金を払うのはしかたないけど、売るために修理するとなると馬鹿らしい結果になるから。レンズ買うとき8%くらい支払い額が増えても修理保険に入っておくとかね。

 

おいちゃん:お得な中古というか、これは確保しとけみたいなのある?

おいら:ない、ない。ノクトニッコールみたいに中古市で暴騰するようなものは現行品にはないし、中古であっても高すぎて買えないだろうね。あったとしても数十年後のことなんて考えてられないよ。記念モデルとかこんど出るZマウントのノクトとかは好事家が買って、好事家の市場でくるくる回遊するようになるので別の世界の話にしていいと思う。

おいちゃん:でもDのマイクロはかなりホームラン級だったんでしょ。

おいら:そういう意味なら、そうだね。でもこれは人それぞれだし、新品で買えるなら新品で買うに越したことないんだわ。

おいちゃん:よくDのマイクロを買おうと思ったね。イイナってどうしてわかったの?

おいら:こればかりは経験だよね。自分のスタイルとマッチしそうなのはコレだみたいな。

 

おいちゃん:中古の買い方はあんがい難しそうでなあ。

おいら:コレクターでもないなら、どれだけ実利があるかで見極めるほかないね。古いレンズは味があるって言葉に乗せられて買うものではないと思う。そういうのが専門の人でロシアンレンズとか渦巻きボケのレンズを買うようなタイプでないならね。ネットの「これは買うべきニコンの古レンズ」みたいな情報は、はっきり言ってアクセス稼ぎのために書いてる記事で、自分が買って使ってもないのに拾ってきた話を切り貼りしてるだけだ。だって、ぜんぜんわかって書いてないし、どこもおんなじレンズを例示してるし。

おいちゃん:初心者で意識高い系っていうの? そういう人向けっぽいあれね。

おいら:あの手くらいしか情報が取れなくて、自分の価値観と使用実態から必要なレンズがわからないうちは難しいよ。それと中古で買ったディスコンされてるレンズは、次がないというかよほどでないなら下取りの糧にならないと考えとくべきなんだし。

おいちゃん:やっぱり難しい。

おいら:安いからコスパがいいけど、レンズ購入勘と中古勘がないうちはディスコンされてる情報が少ないレンズには手を出さないほうがいいよ。そういうのは、おいらがこっそり買いたいし(笑) まじめな話、無駄な買い物はなくして予算をつくってよいレンズを厳選して買いなさいという。古いボケ味とかなんとかは、数回撮影したら飽きるんだし。

 

おいちゃん:ノクトみたいなのはないって言ったけど、そこまででなくても価値の下がり率が低そうなのはこれまでにあった?

おいら:中古ではないよ。中古は使い倒してなんぼで、新品にないから買ってるんだし。新品ではツァイスだね。わらしべ長者的レンズだよ。

おいちゃん:さらに高く売れる?

おいら:さらに高く売れるならわらしべ長者で、あくまでも「わらしべ長者的」なんだよ。

おいちゃん:どういうこと?

 

おいら:新品価格は6ヶ月、1年の法則があるわけだけど、コシナ・ツァイスは当てはまらない。なぜなら買う層が限られていて、しかも息長く売り続けて売れ続けるから。値段が落ち着いてからはほぼずっと同じ価格が持続する。純正の超望遠やお高い大口径も。

おいちゃん:ツァイス高いけど売れてるの?

おいら:コシナ・ツァイスは月2回出荷なんですよ。それで注文いれる時期が悪いと半月待たされるのね。大量に作りおきするような性格ではないけど、水道の栓をちょっと開けたくらいにちょろちょろコンスタントに売れてる。

おいちゃん:なるほど。中古価格も変わらないなら、買い取り価格が下落することがないってことね。

おいら:いつ下取りに出してもよいしね。ツァイスは初期投資にお金がかかる。だけど、いまどきはズームや大口径なら似たような値段やもっと高いものがあるじゃん。ツァイスに限らず、買う層が限られていて、しかも息長く売り続けて売れ続けるレンズは無価値になるのが永遠の彼方の未来なんだよ。

おいちゃん:こりゃ大きくでたな(笑) 永遠の彼方はホラだろうけどさ。

 

おいら:コシナはうまくやったと思うよ。サードパーティー某社のレンズは、発売時以降どんどん値段が下がってくし、これが業界の常だったわけじゃん。シグマがArtシリーズとかはじめたのは、コシナ・ツァイスの成功を見てからであってだな。

おいちゃん:Artも実売価格が下がらないタイプなの?

おいら:コシナ・ツァイスがはじまったのはかなり前だから傾向がはっきりわかるけど、Artはまだ日が浅いからこれからどうなるかはなんとも。でも大幅下落はしそうにないし、急落するとシグマは卸価格か他の条件かで操作してるみたいで急騰しはじめたりする。急騰、急落があるのはまだまだな点だけど、よそよりよっぽどいいでしょ。

おいちゃん:長く儲かるようにしたいものだしな。

おいら:コシナがどのくらいツァイスにロイヤリティー払うのか知らんけど、シグマはシグマでブランド維持のため金かけてる。その他2社は鏡胴デザインかえたり名前を変えたりしてるけど、ここまで背水の陣で自社ブランドや自社製品の価値を高めに来てないよね。どこもよいレンズつくってるのは変わりないけど。

 

おいちゃん:リセールバリューがよければユーザーもお得だしなあ。

おいら:その通り、リセールバリュー。シグマがこれからどうなるかだよ。Milvusになる前の、いま「クラシック」とカテゴライズされてるPlanar 85mmの中古価格から類推すると、このレンズは発売から相当経ってるけど買い取りは5万くらいなんだ。Milvusの85mmに買い換えるなら新品実売16万円のうち5万充当できて出費は11万ということになるわけ。もっと早めに下取りに出していれば条件は有利だったかもしれない。いまどきのツァイスのなかでPlanar 85mmは安価なほうなのは忘れないでね。Milvusになるとクラシックより価格帯が上になって、現在のところ大きな値崩れはとうぜん発生していないし、これからも暴落しないだろうね。「クラシック」で比較的最近発売になったものは、Milvus同等の下取り価格だ。Milvusの価格帯なら、お高いラインの現在の下取りは十万くらいの額になってて、これから下がったとしてもそれなりの額になる。

おいちゃん:なんだか投資の話みたいだ(笑)

おいら:そのつもりがあって勧めてるわけではないのよ。でもツァイスの場合は「わらしべ長者的」になるわけだよ。値崩れするレンズでは、いよいよ使い物にならなくなって売ろうとしてもフィルター1枚みたいな値段しかつかないでしょ。フィルター1枚はちょっと大げさだけど。もし好きなレンズで使いどころがはっきりしてるなら、ツァイスと純正のよいレンズはアリだろうと。

 

おいちゃん:レンズを買うとき、下取り価格は中古相場にリンクするとして、何割くらいになるのが普通なのかな。

おいら:30%充当が目安かな。だから売り時は30%を割らないうち、ということになるね。中間の価格帯のレンズでも、新品と中古と買い取り価格がリンクしているのは一緒なんだし。だけど、ツァイスは40%近くになる場合もあるのよ。

おいちゃん:なにそれ。

おいら:まず程度がよいものという条件がつくよ。そのあとは店との関係が良好で会話ができて、店の利益になるものを買う場合は40%近くまでなる。ツァイスを使ってる人は金回りがいいプロとおっさんみたいな誤解があるけど、わらしべ長者的に買い物をしている人もいるんだな。こういう買い物をコレと決めた店で続けて、さっきの条件にはあてはまるなら40%近くになる。ああこれ、投資の話でもレンズ転がしの話でもなくて、好きなレンズならあとあとのことまで考えて買いましょうってことだよ。

 

おいちゃん:あとあとって言っても、ほとんど投資話みたいじゃない?

おいら:リセールバリューだよ(笑) それと使う側の心理。ツァイスとかの真面目につくられていて妥協がないレンズは、これ買うとあのズームがとか、新製品のナニナニ技術がとかどうでもよくなるのね。打ち止めというか死ぬまでこれでいいかなと。それでも事情によっては売却したり下取りに出すかもしれないけど、そういうときは次も同格が買えるだろうって話よ。

おいちゃん:まあでも最初に買うとき敷居が高い。オートフォーカスがないから怖気づく人がいるし。

おいら:敷居が低ければ得するってものでもないっしょ。だいたいオートフォーカス使わないと撮れない分野って限られてるし、そうでないなら別におおごととは言えない。でもシグマはわかっててArtにもオートフォーカスを入れてるね。ただシグマは互換性問題が常にあるから、ここがこれから中古市場でどんな評価されるかだよ。それとレンズの経年劣化と故障はオートフォーカスと電子絞りに出やすいからさ。レンズの玉そのものは傷つけないなら長持ちだ。

 

おいちゃん:ここでみなさんに伝えておきますが、この人はコシナの回し者ではないっすよ(笑)

おいら:コシナ・ツァイスに限らずなんだよ。ほら、あんまり好きじゃないけどシグマのことも説明したし(笑) ただツァイスがべらぼうに高いと誤解されてるけど、無駄な機材の買い物しないなら買える金額で、超望遠とかないから上限はキリがあるんだよ。

おいちゃん:そうかなあ。

おいら:機材の使い方がわからない間はキットレンズでいろいろやって、レンズの扱いがわからないから程度を落とすのは皆が通る道としておくよ。そのうえでカメラとレンズにこれまでいくらかけてきたか計算するのをお勧めしますよ。最初の入門編のあと、どんな買い物をしたかだね。好きなものを好きなように買うほかないけど、キットレンズ以降に的確なものを買って、的確に下取りに出していたかというね。これ自分でも耳が痛いとこで、質流れの中古カメラ買ってから何十年も経っているけど(笑)

 

おいちゃん:MilvusとかOtusだっけ? 1億画素でもいけるの?

おいら:これから出てくるニコンとキヤノンのミラーレスで純正はかなりよいものになると思うよ。こういう純正レンズといっしょに、あと数千画素はいけると感じる。Milvusの135mmはほんと脅威的だよコレ。たぶん私はですね、135mmはこれで一生を終えると思う。レンズを切り詰められるなら70-200のズーム手放してもいいかもしれないくらい。で、1億画素と1億数千万画素は別物の世界になるから、それ以後は知らん。1億画素はライカ判でも出るだろうけどまだ先だろうし、1億画素のライカ判はいまの高画素と比べて撮影のシビアさが格段に違うのとセンサーも神経質になるだろうね。誰がどこまで使えるのかな、って気もする。それといまのところ1億画素を余さず表現できる媒体がない。あっても超高解像のディスプレイにどんだけ拡大するんだって話だ。

 

おいちゃん:1億画素って、そんなにシビアなの?

おいら:いま高画素で撮影している人のほとんどが、手持ちではかなりブレてて、フォーカスだってどこまでドンピシャかという話があるでしょ。自分では最高傑作で完璧って思ってても、けっこうそういう写真を見かけるよ。1億画素になってブレブレボケボケでも最高傑作と言ってそうだけどさ。

おいちゃん:安定した三脚使いましょうってか?

おいら:使っててもブレボケが多発されてる訳で、これが1億画素から1億画素超えなんだよ。ここまで画素数が増えて見たことない世界に触れたいけど、手ぶれ補正やオートフォーカスより人間側の問題があって、さらに媒体の限界はそうそう簡単に崩れ去るものではないしで。突き詰めた世界を求めないなら、これらのブレークスルーがないかぎり1億画素に飛びつく必要はないと思うよ。

 

おいちゃん:さっき互換性とオートフォーカスの故障の話が出たけど、そういうのが1億画素時代まで持つのかというのもあるな。

おいら:シグマを悪く言うつもりではないと断っておくけど、ミラーレスのZでアダプタ経由のとき互換性保持したみたいだけど絞り情報の伝達でまだいろいろあると聞いてる。ツァイスは同じ条件で「クラッシク」では問題ないのは検証した。オートフォーカスと手ぶれ補正は期待しないほうが精神衛生上よいと思う。

 

おいちゃん:さっきのリセールバリュー40%も可能って話に戻るけど、店でこんなしてもらうにはかなり金を使わんとならんでしょ?

おいら:シルボン紙買ったりパーマセルとかの消耗品とか、ちまちましたものは新宿西口の大量販店の通販でいいんじゃないかと。中華製品の細々したものが欲しいならAmazonや小規模でやっている通販くらいしかない。でも、大きめの要所要所の買い物は決めた店でやったほうがいいかも、なんだわ。こうすれば得意客に自然となってるわけで。

おいちゃん:それって大手ではない中くらいのところでしょ。リセールバリュー以前に、値段高くない?

おいら:「なんとか電子」とかの最安値にくらべたら新宿西口はかなり高いっしょ。

 

おいちゃん:まあ確かに。価格COMとか見ると大手は高めだわ。

おいら:価格COMは傾向を知るにはいいけど、あの値段を馬鹿正直に信じちゃダメだよ。あそこに出てる値段は通販用。通販用ということは一見さんを公平に扱うための価格。店頭で対面しながら買い物をするなら、こっそり電卓叩いて値段が提示される。「どこそこ価格で○万円なので、同じにしました」という感じ。この流れで下取りとか相談して進めるという。

おいちゃん:あんた、贔屓にしてる店でどんだけ買い物してんの(笑)

おいら:してないよ。持ってるカメラもレンズもおいちゃんより圧倒的に少ないっしょ。やたら買ってるからじゃなくて、こっちも得したいからお店も得してよという誠意をもった付き合いをしてるかどうか。良い店、使える店と判断したらWin-Winの関係を築けば得するというね。

 

おいちゃん:良い客になれってか?

おいら:お世辞言って卑屈になる必要なんてさらさらない。二十代だった昔にさあ、ある機材屋さんでプロっぽい先生っぽい人が下取りに出してて、伝票までつくってるのに下取りレンズを持ち帰ってたのね。なんだろうな、この訳わからん世界と思ったねこのとき。これはね、持ち帰ったレンズの程度を落としたり壊したりしない信頼関係があって、現品が届くまでは使っていてくださいっていう関係なんだよ。もちろん程度よいままレンズを使う人が得する話でもある。

おいちゃん:不公平だな。なんかそういう依怙贔屓されてる客、どっかで見た気がするぞ(笑) おまえかあれは。

おいら:Amazonとか大量販店の通販は公平な世界。でも誰だって自分に有利な買い物したいじゃない本音は。安く買いたいっていうのもそうだし、条件面で得したいとか。そうなってくると、良い店の良い客になるべきだろ、交渉の余地があるんだし。長い付き合いになる撮影機材はそれなりの出費になるし、代わりが利かないものを買ったり売ったりするんだから、新品最安値だったらいいってものではないと思うよ。高く買わされるどころか、安く買えるんだし。それに「なになに電子」的な店でツァイス即納になってても、さっき説明したような出荷体制だから即納できないしな。そういうのが多すぎなんだよ。

おいちゃん:そうなの?

おいら:まあ在庫持ってるかもしれないから、具体的な店名でどうこう言わないよ。ただ新宿西口だってそんなに在庫持ってないからタイミング逸すると取り寄せだ。こういうところから察してくれよ。

おいちゃん:くわばらくわばら。

おいら:「なになに電子」的な店で買って得するなら問題ないわけ。でも価格だけでなくて、いろんな面を総合してWin-Winの関係を結べるかであってさ、依怙贔屓してくれるかでもいいけど。どっちが中期・長期で自分の味方になるか考えて買い物したほうがいいよ。

 

おいちゃん:なんか大人の世界っすね(笑)

おいら:そうっすね(笑) 話を戻すなら、ずっと写真やるならわらしべ長者的なレンズの買いかたがいいという話。これはクルマはリセールバリューがいい白色塗装にしろっていう話をしたわけではないので、好きなものを買うのが買い物の本質なんだ。それと売り時ね。

おいちゃん:そうかあ。売り時だけでなくて、飛びついて買ったり、安物買いはけっこう後で響くってことだな結論は。

おいら:みんな宣伝に騙されすぎなんだよ。レンズメーカーにしろ、価格情報サイトにしろ。だいたいあちこちに湧いてくる「新製品待ってました。かならず買います」的な連中ってなんなんだよ。おまえらの手持ちレンズは、そんなに買い替えしなくちゃならないほどダメレンズなのかってさ。買い物へたくそすぎるだろ。おいらのところではDの105mmマイクロの中古も現役バリバリだ(笑)

 

Fumihiro Kato.  © 2019 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なり人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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