BOSE Companion 2 Series IIIに変えた話

最初に結論めいた話をすると、
BOSE Companion 2 Series IIIは
1.ハイファイではない
2.音が前に出る
3.低音ズンズンとも違う
4.イコライジングで音を整える前提のスピーカー
ということになる。

BOSE Companion 2 Series IIIは高級イタリア料理店で食べるパスタではなく喫茶店のナポリタンなのだった。PC環境で小型スピーカーを使って音楽を聴くことについてBOSEは、いくら欲張ってもハイファイシステムなみのお膳立てなんかできないとわかった上で、トマトの水煮缶ではなくケチャップを使うナポリタンのように仕立てた。ナポリタンにだって旨い不味いがある。バランスの悪いナポリタンはほんとうに不味い。いろいろな人がナポリタンをナポリタンらしくつくるコツを模索していて、ケチャップを煮詰めるのが最大のポイントだと言っている。これはCompanion 2をイコライジング前提で音づくりをするのに相当する。高級イタリアンを目指して手前味噌なへなちょこパスタもどきにするより、こちらのほうが現実的でよっぽど満足感があるだろうとする立場なのだ。そして、ハイファイではないがまっとうな売り物になる音に仕立てている。もっと本格の環境を求めるなら、別の考えに基づいて別メーカーの製品を買ってくれと割り切りがよい。

このあたり、どうやってイコライジングしたか(ナポリタンの場合のケチャップの煮詰めみたいなところを)含めて書いていこうと思う。ちなみにこうやって音を整えたBOSE Companion 2 Series IIIを私はアリだと思った。

長らくJBLのスピーカーをMac用としていたのだけど、なにせ古いものだから時折左チャネルが死ぬことがあって、最近になって全面的にお亡くなりになったので買い換えることにした。ちなみに音楽再生用にAmarra 4を使っている。リッピング時のチェックや作業用BGMなどが主たる目的とはいえ、あんまりスカスカなのはと思いつつアクティブスピーカーを探しはじめたのだが、金額を投下すればいいのはわかっていても目的が目的だしと悩みは尽きないのだった。

値ごろ感だけでヤマハとBOSEに目をつけて、そういえばBOSEのスピーカーと個人使用では縁のない人生だったなとなって大定番BOSE Companion 2 Series IIIを買った。いろいろ悪い噂も聞くけどBOSEなら大間違いはないだろうと、選びはじめるとキリがなくなるところに踏ん切りをつけたのだ。

で、どうだったか。Amarra 4をイコライザーOFFで音出しして、あー失敗だったと焦りましたよ。何が失敗と感じたかというと、ドンシャリという噂は聞いていたけどまったくまとまりない。この出音をBOSEがヨシとしているのだろうかという疑問が生じざるを得なかった。正確に言うとドンシャリでもないんだよなあ。BOSE Companion 2 Series IIIは内部でイコライジングしていて小型スピーカーの低音の出なさ加減を低域を持ち上げて聴感上の物足りなさを救っている。相対的に中域を落としてもいる。ということで、Amarra 4のイコライザーを調整したらめでたくBOSEっぽい音になった。

BOSE Companion 2 Series IIIは「ユーザーがイコライザーで音を制御」するのが前提のスピーカーなのだった。このスピーカーはご存知のように筐体が小さいこともあって、BOSEらしいとも言えるのだけどふくよか感が乏しい(良くも悪くも曖昧さが足りないとも言える)。BOSEのPAスピーカーのような音を前に出す力は感じるけど、あくまでも小型のPC用スピーカー。これではBOSEに対してあんまりだから美点を挙げると、音を前に出す力と分離はよい。スピード感もある。ただしデフォルトのままでは音楽が痩せて聴こえすぎるし、前述のように音楽としてまとまりがない。

Amarra 4のイコライザーに「JAZZ」と名付けらているプリセットがある。100Hzに小さくひと山、300Hz近辺がダウン、これで上と下があがり調子なイコライジングだ。これを元に、300Hz近辺を落とさずに上と下の盛り上がりの起点を中域寄りにしてUPする量を減らし、超高音側を減衰させ聴き慣れた音になるポイントを探った。音源はいつものスティーリー・ダンのアルバム各種。私はいつもベースの動き、スネアの音色、ボーカルの出かた、ホーンのトーン(またはギターのタッチ)に注目して聴き比べている。こうした形態の編成で演奏していた頃の感覚に従って、自分なりの自然さとかリアルさを感じ取っている。

すると、BOSEのPAシステムの感じに近づいたのだった。でもこれは私の環境での話なので、人それぞれに違うセッティングにしないとならないだろう。としても、JBLより個々の楽器の粒立ちがよく(あまりに古い機種だからね)、ボーカルもリアルさが増して前に出る。いずれにしてもBOSEのPAっぽいから、これが嫌いな人には向いてないとは思う。あとは慣れだろうなあ。PC環境で音楽を鳴らす用途では、純粋な音楽鑑賞と言い切れない部分があるからよほど変な音でないなら耳の順応次第のところがあるし(BOSE Companion 2 Series IIIが変な音と言っているのではない)。

もう一度書くけど、BOSE Companion 2 Series IIIは「ユーザーがイコライザーで音を制御」するのが前提。中域が意図的に下げられているスピーカーらしいので、ここをどうするか環境や好みにあわせて調整してやる必要がある。ただし、どうがんばっても小型スピーカーだから広がり感は望むべきではないだろう。ちゃんとステレオ感はあるけど、音を前に出してちゃんと耳に届けるのが主眼のスピーカーなのだ。このためフロント側がやや上向きになっている。音が前に出てくるから、スピーカーの置き位置と耳までの距離が近い条件では(曲のミックス次第によっては)聴き疲れする人がいるかもしれない。ちょいと耳から離れた距離にすればだいぶ違うけどね。ここまでにJBLの古漬けスピーカーを褒めるような表現をしてきたけど、楽器のアンサンブルが曖昧になっていたんだなと気づくBOSEの音だ。これはホーン3管でボーカルの隙間を埋めるアンサンブルなどで明らかで、それぞれの楽器のトーンが明瞭なので個々の音程の動きがはっきりする。傾向としては、イヤホンのああいう感じに似ている。それと数時間経過したBOSE Companion 2 Series IIIは、耳が慣れたところも大きいが随分スピーカーの動きがこなれてきたというか、鳴らしはじめがたいそう硬い。

結局のところ、PC用スピーカーに何を求めるかなのだろうな。BOSEは高級イタリアンのパスタではなくナポリタンを提案している。ナポリタンでケチャップを煮詰めるように私はあれこれ自分好みにしたけど、そんなことやってられるかという人に向いているとは思えない。PAシステムのように、イコライジングすればよいのだ。あとBOSE Companion 2 Series IIIは低音低音と連呼されているほどではない。こう言われるのは、低い音程の輪郭がはっきりしているためだろう。低音そのものがズンズン出ているのではない。ベースギターの動きがはっきりわかるから、ここが曖昧なのが嫌いな人は候補にしてよいと思う。レビューと称して低音がズンズン出る小型スピーカーと言っている人はわかっていないと感じる。

コンサートホールでバリトン歌手が朗々と歌うようなスピーカーが大好きな人、ふくよかな音を求める人に向いていないのははっきりしている。聴き疲れしやすい人にも向いていない。こういう人はもっとぽわぽわしたスピーカーにすべきだろう。個人的には、自分好みにする余地があったこともあり上を見たらきりがないので「これでいい」と思っている。もっとちゃんと音楽を聴くなら、それ用のオーディオがあるしね。値段からしたら、かなりちゃんとしている。このあたりが喫茶店の〜と例える理由でもある。

こういった小型アクティブスピーカーにクラシック向きとかジャズ向きとか言うのがアレなんだけど、コルトレーンのアルバム「Ballads」を聴いてみたらバーで聴くBOSEの音でちょっと笑った。あの天井の暗がりからぶら下がってるBOSE謹製の音。そういう音に自分でイコライジングしてるというのもあるけど、元の音がちゃんとBOSEなのだった。こうしたところはBOSEらしくちゃんと作られているスピーカーだと思う。ハイファイに厳しい人はたいそう苦言を呈しているとしても、PCに接続する環境がそもそもと考える人には納得できるスピーカーだろう。

Fumihiro Kato.  © 2018 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なり人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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