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Amarraはオーディオ関連専業メーカーのSonic StudioのmacOS、Windows版デジタル音源再生ソフトウエアだ。AmarraにはAmarra4、Amarra Luxe、Amarra sQ+の三種があり、中核がAmarra LuxeでDSD / DSF、MQA、WAV、AAC、AIFF、ALAC、MP3、FLACといったデータ形式を再生可能(あるいはバージョンアップで対応)、これを簡略化したものがAmarra4、Amarra sQ+はAppleのMacおよびiOSに特化して共通の機能を提供するプレイヤーだ。UIは一般的なプレイヤーソフトに通じるカラムでアルバムやアーチストを表示する形式で馴染みやすいものになっている。http://www.sonicstudio.com/amarra/products
Amarra LuxeとAmarra4の大きな違いはリアルタイムアップサンプリングの有無、イコライザーがプリセットのみか否かといったところで基本の音質そのものは同じだった。他にiRCルーム補正の有無もあるけれど、リスニングルームの形状やオーティオ装置の配置による影響を測定しなければ使えない機能なので、ここまでやる気がないなら意味のないものだ。深く考えず良音質を再生したいなら安価なAmarra4で十分だろうし、アップサンプリングを使用し、イコライザーで微妙な調整を施したいならAmarra Luxeを選ぶことになる。
macOSなら標準であるiTunesと比較するのがわかりやすいだろう。Amarra Luxe(Amarra4)は確実に音が前に出てくる。iTunesで再生していたときスピーカーより背後で音が鳴っていたと感じるくらいに、スピーカーのコーンが音を出しているのが手に取るようにわかる。ざっくばらんに言えば、バージョンアップごと改善されてはいるがiTunesからの音がこもっているのに対して、こもりが消えてスッキリ前に出てきたということになる。左右のチャンネルの分離はとうぜんのこととして、楽器ごとの分離がかなりよくなる。このような性格の再生ソフトなのでスピーカーの個性なり性能があらわになるとも言えるだろう。他のフリーウエア、有料ソフトと比べても同様の傾向なのは言うまでもない。
もうすこし音について語ると、私の環境ではドラムの粒立ちとディティールがかなり向上した。タタタッとスネアドラムを叩くスティックのニュアンスであるとか、バスドラムがズドッと止まるかスドンと鳴りを許すかというあたりや、タムの胴がなる様子がはっきりわかるようになった。ちょっと驚いたのは、これまで単なる楽器演奏だけのパートと思っていたところに録音時のマイクが拾ったミュージシャンの声が入っているとわかったときだ。これはCDプレイヤーと据え置きスピーカーで再生したとき、イヤホンで聴いたときもわからなかったものが、PC出力でJBLの小型スピーカーを鳴らして聴き取れたのだ。これまで整理されずアウトプットされていた解像の悪い音が間違いなく高解像になった。故に前述のように、スピーカーの個性なり性能がはっきりするし、もうすこしよいものに変えたい欲求が生じるかもしれない。
PCで音楽を聴くのはBGM程度だから、圧縮音源しか聴かないし、でもまったく構わないけれど、それでもできればミュージシャンが意図したものに近いものを聴きたいならAmarra LuxeとAmarra4はアリではないかと思う。TIDALのアカウントを入力して紐付ければサービスが利用できるし、今後普及するだろうと思われる可逆圧縮ハイレゾ仕様のMQA形式データに対応しているのも心強い。
Fumihiro Kato. © 2017 –
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