いま死ぬわけにはいかないのだった

他人からしたらどうでもないことだったかもしれず、実際に経験した者でなければ理解できないかもしれないが、とてつもないストレスが体を破壊していたのは事実だ。ナニがどうしたかの話は、あえてここに書かない。なのだが、不条理きわまりない通り魔的なにかだったとだけ補足しておこう。このサイトを探れば出来事の一端くらいは拾い読みできるかもしれない。まあ、そういうことで現在は一時的に退院して次回の手術まで肉体的にも精神的にも滋養をつけている段階だ。

こうして思うのは、いま死ぬわけにはいかない、である。通り魔というか、あの知能と人格がともに劣った(しかも)痴呆の気がある人物に、やりかけの、途上の、まだまったく未完の仕事を邪魔され前途を絶たれるなんて、私としてはまったく許せないのだ。作品をとにかくつくり続けなくてはならないのだ。人にはそれぞれ独自の生きる意味があり、そのために必要な修練があるが、これが私にとっての「意味」である。つまり、こうしなければ生存している意味も意義もないのだ。他人からしたらどうでもないことだろうが。

なにごとにも共通する話へ拡張するなら、継続させた者が勝者なのである。スタートダッシュで他者を周回遅れにしたとしても、最終コーナーにも至れず棄権したランナーは記録にさえ残らない。自らの先が、生命あるいは才能いずれにしても長くないと悟ったなら短距離走にクラス替えしてゴールを踏み越えるほかないのである。トラックのスタート地点に立ったら、あとは走りきらなければならないのである。敬愛する美術家、音楽家を振り返るとき導き出される事実だ。こんなことは誰もが理屈のうえでは理解しているし、私だって理解しているつもりだったがなにもわかっていないに等しかった。

Fumihiro Kato.  © 2017 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なり人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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