Macのヘッドホン出力はなかなかという話

世の中には既製品または製品にビルトインしているものは品質が悪く、サードパーティーが開発販売している後付け(外付け)製品は優秀という薄らぼんやりした迷信がある。もちろん、こういった信仰には例外があるけれどね。後付け(外付け)する単機能の製品は、とうぜん機能特化しているから品質が悪かったら「なんじゃこりゃ」ではある。

で、ふとした偶然でiMac(2017出荷モデルの[Retina 5K, 27-inch, Late 2015])の内蔵スピーカー出力、Caldigit Thunderbolt Station2のDAC+JBLのアクティブスピーカー、ヘッドホン出力+JBLのアクティブスピーカーの音を(切り替えながら)聴き比べる経験をした。ちょっとしたミスでThunderbolt Station2のDACを経由しない内蔵スピーカー出力に切り替わってしまい、ちゃちゃっと元に戻したりしたのだ。

内蔵スピーカーはMacの筐体サイズに合わせたものだから、やはり低音や中音域がぺらっとした弱い音なのだけれど、なかなか頑張ってるなという感じ。で、物は試しとJBLの(古漬けのような)アクティブスピーカーから伸びるコードをヘッドホン出力へとプラグを差し替えたら、Thunderbolt Station2からの音より輪郭がはっきりしてちょっと驚いた。専用品のDACでなくThunderboltからeSATA、USB、ディスプレイ出力、DACを経てオーディオ出力を分配する製品なのだから、さほどよいDACではないだろうとは思っていた。なのだが、内蔵DACなんてものは「ハハハハハハハ」と侮っていたので、iMacが届いた日からヘッドホン出力にスピーカーを接続するなんて考えもしていなかったのだ。さほどよいDACではないとしても、メーカーの謳い文句としては「高品質なスピーカー等と接続する事により、ハイクオリティなオーディオを楽しむ事が可能です」なのだし。

どのくらい違いがあったのか、だ。ちょうどリトル・フィートのアルバム「Feats Don’t Fail Me Now」を聴いていたのだけれど、バスドラの「ドン」がヘッドフォン出力に変えた途端「ヅド」に変わった。iMacのヘッドフォン出力の「ヅド」を聴いてしまうと外付け側のDAC経由の音は「ムワ」に聴こえるくらい音の輪郭とディティールに違いがあったのだ。で、たまたまじゃないか、音源の問題かもしれない、とハービー・ハンコックのアルバム「Thrust」に切り替えてみたら結果は前者と同じ。私は他人がどう言おうと自分の感覚を信じるから、オーディオマニアがMacの内蔵DACはゴミと言おうと「(比較する対象が違えばアレだけど)そんなことはない」と断言する。メートル原器的なスティーリー・ダンやドルナルド・フェイゲンのアルバムも聴いたけれど、下手なDACを通すより自然だし聴きやすいし明瞭だ。ボーカルのかすれ等もリアルさが増して、声が前に出てくる。フェイゲンの「Morph The Cat」はずしんとしたベースが全編にわたって響くアルバムで、これが単なるドンシャリにならず中音域を伴った音、ベースを弾いたことがある人なら納得できる音へ、といった具合。もう一台のiMacは据え置きステレオのUSB DACに繋がっていて、これと同傾向の音だ。もちろんなにもかも違う環境なのでアレではあるけれどね。

ただこんなことをいきなり書くと大いに笑われる可能性があるのでこっそりWEBを検索したら、https://www.healing-speaker.net/cw-yoshii/timedomain4.html なんて話があって、ここではiPodとiPhoneが取り上げられていてAppleの姿勢がわかる「アップルの技術者は「いい音」への関心が高いように思えます」なんてお言葉が。iPodの評価が低いのはある時期までの付属イヤホンが元凶で、あれはどうしようもなかった。付属イヤホンは別として、Apple製品を長らく使い続けてきてiPod、iPhoneでは新機種ごとDAC周りが向上しているのはちゃんと実感できた。ただ残念なのは、両者ともアナログ出力では48.0KHz制限があることだ。iMacに関しては、すくなくとも現在のデザインになってからというかOSXでは 32ビット浮動小数 96.0KHz まで対応している(ユーティリティ→Audio MIDI設定で要設定)。iTunesもまた、FLACには未対応ながらALAC(Appleロスレス)などでは32ビット 96.0KHzに対応していてちゃんと再生できる。はたしてそこまで聴き取れるか別にしてだ。とはいえ、数値的には可能だろうけれど音はそこそこレベルではないかと侮っていたのは前述の通り。

まあ、私が巨大な画像ファイルをMacで現像したり調整したりしているように、音楽関係者は録音やらミックスに使っているのだし、ブライアン・イーノ氏も使っているのだしで、いくらヘッドホン出力とはいえいい加減なことはできないのだろう。ただこうなると小型DACを買うならかなり吟味しないとかえって音を悪くすることにつながりかねない。私のように「ながら環境」で音楽を聴き、あまりお金をかけたくないならヘッドホン出力でよいかもしれない。Thunderbolt分配器のDACと比較してたら世話ないよ、という声には一理あるとは思うが。あとひとつ、私の環境ではなかなかのものだったけれど、音源、スピーカーの相性もあるだろうから誰にとっても「イイよ」と推奨するのは避けたい。とはいえ、バカにしたものでは到底ない。ぜったいない、ない。

Fumihiro Kato.  © 2017 –

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Profile

F.Hiro.K
加藤(文)文宏 / Fumihiro Bun Kato a.k.a Hiro.K
写真家・作家 / Photographer Author
・北海道北見市生まれ。
・大学卒業時までに詩集「無題あるいはサラバ」、同「Cadenza」発表(共に絶版、在庫なし。「Cafebza」別装丁私家版のみあり)。
・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。
・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他)
・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。
・不二家CI、サントリークォータリー企画・取材、Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告、武田薬品工業広告、他。アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材、MIT Museum 収蔵品撮影 他。
月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。
・長編小説「厨師流浪」で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」他、小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。
・獅子文六研究。
・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。
・各メディアにおけるスチル撮影。
・オリジナルプリントの製作、販売。
・JSAHP正会員
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