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1980年代に撮影した写真を掲載しているのは、過去を懐かしんで振り返っているわけではない。過去に対して何か思いがあるとしたら、6×7でも4×5でも重量体積ともにまったく苦にならなかった肉体への時系列を逆行した憧れがあるだけ。
正直なところ事務所サイトのブログに古いレンズの話など書いたことを後悔している。ま、そういう記事に毎日たくさんの方がいらっしゃるのだが、機材なんて写ること最優先くらいに考えたほうがよいと思うし、この気持ちを伝えたいのだが難しい。説教くさくなるしね。
二足、三足のわらじを履いていたとき、私は仕事場近くの某所のコインロッカーに機材一式をしまっていた。正確には、ひとつのドア内にすべてをしまいきれず、長ものが入る大型ロッカー二つと中型ひとつを占拠していた。仕事Aが終わったら、撮影仕事BのためコインロッカーからRB(のちにRZ)67あたりが入ったバッグを取り出すといった生活だったのだ。
いま思えば、たいへん世話になったRB、RZ67、さらにC330のレンズはとても好ましいものだったし、ボディはタフで信頼感があった。しかしああいう暮らしをしていたとき、レンズの味なんて三の次、四の次だった。それより仕事Aの関係者に仕事Bのことを知られないよう用心するほうが大事だった。余計な事態に陥らないように振る舞い続けるのは、ほんとうにつらかった。
でも、それはそれでよかった。撮影枚数をマイレージのように伸ばせたありがたい時代だったと思う。機材なんて写ること最優先で、とにかく撮影できたのをよかったと思う。
Photo by Fumihiro Kato. © 2016-
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