内容が古くなっている場合があります。
概要
[コントラスト]、[アンシャープマスク]、[明瞭度・クラリティー]、[テクスチャ]、[かすみの除去]の原理、効果の違い、効果の違いに基づく使い分けについて説明しています。これらのうちいくつかを「効果が似ているものがあり使い分けできない」という人がいます。また「よくわからないから使ったことがない」、「使ってみたがきれいに仕上がらなかった」という人もいるでしょう。
原理や効果の違いから上記5種を二つのグループに分け、さらに特徴を整理しました。
説明は日常的にRAW現像をしている人を対象に用語など選択しています。
〈記事、図版など当コンテンツの無断転載や商用利用を禁じます。記事、図版などの引用を超える使用を希望される場合はCONTACTからお問い合わせください。〉
はじめに
写真がデジタル化され撮影がおどろくほど容易になったのは、撮影後に画像の明るさを大きく変えられるようになり、さらに暗・中間値・明それぞれ独立して調整さえできるようになったことが大きい。写真の見栄えについて言えば、鮮鋭度やメリハリをこれもまた容易に変えられるようになったことが大きく寄与している。
フィルム撮影の場合、現像時間を変えるなどのほか、紙焼き時の覆い焼きや焼き込みで撮影後に画像の明るさを変えられたが、RAW現像ソフトのスライダーを動かすように簡単だったわけではないし、暗・中間値・明それぞれを独立して調整した場合の精度と変えられる量はともにデジタルの足元に及ばない。
鮮鋭度やメリハリはフィルムの性能、レンズの性能、これら性能を引き出すライティング、遮光、ぶれのない撮影、適切な絞り値など前提があったうえで、現像液や現像方法にはじまり紙焼きの引き伸ばし機、引き伸ばし用レンズ、印画紙の選定等々と実にややこしく技術が問われる部分も大きかった。そしてこちらも変えられる量はデジタルの足元に及ばない。
デジタルでは鮮鋭度やメリハリをコントロールするツールが多数用意され使い分けられるようにさえなっている。[コントラスト]、[アンシャープマスク]、[明瞭度・クラリティー]、[テクスチャ]、[かすみの除去]とRAW現像ソフトによっては名称が異なる場合もあるがこれら機能がすべて用意されているケースもまったく珍しくない。
これらは何をどう作用させて画像をどのようにするものか。鮮鋭度やメリハリをつける機能を整理するのが当記事の趣旨だ。
分類
[アンシャープマスク]と[コントラスト]から考える
鮮鋭度、メリハリという言葉は曖昧すぎる。シャープな描写と言っても解像度が高く見えるのか、画面内にある明るさや面などの分離がよいのか実際にはどれを指しているのかわからないところがある。
まず[コントラスト]、[アンシャープマスク]、[明瞭度・クラリティー]、[テクスチャ]、[かすみの除去]を分類して以下の2群に分けてみようと思う。
A[アンシャープマスク]と[テクスチャ]
B[コントラスト]と[明瞭度・クラリティー]と[かすみの除去]
A群 は物体と物体、質感同士や質感と背景(地)の分離を輪郭を強調するかのように際立たさせる機能。
B群 は接し合う塊と塊、質感同士や質感と背景(地)の分離を明暗差の対比によって際立たさせる機能。
A群をエッジ系、B群を対比系と仮に呼ぶことにする。
A群エッジ系の代表[アンシャープマスク]は、元になる画像と元画像をピンボケ状にぼかした画像をかさねて差の絶対値を求め、ピンボケで元画像より大きくなった部分が明るい線になるのを利用し輪郭をつくる機能だ。物体の外側に細く明るい線が縁取られ曖昧さが減り、画像があたかもシャープなものであるように見せかける。エッジを際立たせるのがA群だ。
B群対比系の代表[コントラスト]は、暗から明へ無段階で変化する画像と真っ黒と真っ白の二階調の画像を思い浮かべればわかるように、階調を単純化させ明暗の変化を極端にしてメリハリをつける。塊と塊が別物としてはっきり対比されるのがB群だ。
階調が無段階に変化する画像と二階調の画像を例示する。
[アンシャープマスク]は、輪郭をより強調するプラス方向への操作は可能だが、マイナス方向への操作は輪郭をつくるという原理から不可能だ。
[コントラスト]は、階調を単純化させ明暗の変化を極端にするプラス方向への操作とともに、階調をゆっくり推移させ明暗の変化をなだらかにするマイナス方向への操作が可能だ。
※〔アンシャープマスクの原理ついて〕
模式図でアンシャープマスクを説明する。
以下の状態を元の画像とする。
元の画像にぼかしをかけた=アンシャープ化したものを用意する。
両者をレイヤーで重ね合わせて差の絶対値を求めると輪郭が明るく描画される。
輪郭を元画像に重ね合わせてシャープ感、分離感を高める。
※〔コントラスト変更の原理ついて〕
階調の幅を(現実にはありえないが)物理的な幅として表現したのが以下の図だ。Aに対してBは階調の幅が広く、Cは階調の幅が狭い。Bは階調推移のステップ数が多く、Cは少ない。Cはいきなり真っ黒から真っ白へ変化しているように見える。
元の階調Aの幅を引き延ばすのがコントラストを下げる操作、幅を押し縮めるのが下げる操作とイメージするとよいだろう。コントラストの操作では階調上の特定の明るさの位置だけが伸びたり、縮んだりするのではなく一様に伸び縮みする(以下の図は戯画化しているが……)。
明るさ0、1、2、3、4……という階調があったとして、コントラストを下げると明るさ0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4……のように、コントラストを上げると0、2、4……のように明るさが整理しなおされる。明るさ0、1、2、3、4の、明るさ1は暗くされて0へ、明るさ3は明るくされて4へと丸められるとイメージすればよい。
A群エッジ系
[アンシャープマスク]
明るい縁取りを描く機能。輪郭や線が曖昧な場合に使用。
[テクスチャ]
細い物体や小さな物体、面の中のディティールを際立たせ分離させるために使用。
[テクスチャ]には曖昧な描画状態にある細部の質感を名前の通り際立たさせる効果がある。砂つぶや砂利、布目、針金のような物体、遠景にある木立の枝や葉、複写した印刷物の文字や街頭スナップの看板文字、漣のきらめきや泡立ち等々、画面上で小さく、細く、細かな変化を際立たせる効果だ。
明暗(コントラスト)の変化が細かい、変化の周波数が高いものに効果が現れると理解すればよいだろう。
これら対象は[アンシャープマスク]でもシャープ感を高められるが、[テクスチャ]は際立たせたものの存在感が高まる効果がある点で違いが生じる。
存在感が高まるとはどういうことか。
[アンシャープマスク]は物体の周囲に白く明るい輪郭をつけるだけだが、[テクスチャ]では輪郭は結果的に生じるようなところがあるものの本質はB群対比系のように内側と外側の対比を際立たせ存在感を高めはっきり分離しているように見せかける作用にある。これによってエッジが際立つことで分離がよくなる。
先ほど例示した写真は、実はフィルムからスキャンした画像を説明上の理由があり使用している。フィルムは銀塩粒子が集まって像がつくられ、この粒子こそ変化が細かい、変化の周波数が高い状態にある。またスキャン時に付着していたほこりもそのままにしたので、ほこりの白点もまた[テクスチャ]の効果が強くかかる箇所になっている。以下、右元画像、中[ストラクチャ]プラス方向、右[アンシャープマスク]プラス方向に操作。このように縮小された画像では違いがわかりにくいかもしれない。
では、比較的大きなサイズで比較する。
元画像
ストラクチャ
アンシャープマスク
デジタル撮影フルカラーの例。ピントがきている前髪部分とまつげに効果があらわれるのがわかるだろう。このとき背景のボケ、マスクの面に効果は現れない。[ストラクチャ]効果の強さを変えた例ではピントがきている部分の違いだけでなく、ボケている手前の前髪り変化にも注目してもらいたい。
元画像
ストラクチャをプラス方向へ
ストラクチャを最強にしたとき白線が目立つ
ストラクチャを最弱(マイナス方向)に
次の画像は貝殻が積もった海岸と流木だ。
元画像
ストラクチャ
流木の年輪と樹皮がはがれた側面、貝殻ともに[ストラクチャ]をかけることで個々の存在感が増し煩わしいくらいだ。背景の点在する白点に見える貝殻も、あたかも被写界深度が深くなったごとくはっきりしている。エッジの分離が強調されているだけでなく、細部の内側と外側(ほんの小さい面)の対比が大きくなっているのもわかる。
前述のように[テクスチャ]は変化や反復の周波数が極めて高い部分に効果がかかるため、変化や反復の周波数が極めて低いうえに輪郭を描けそうにない空の雲の変化などにはまったく効果がない。
以下が風景写真の元画像(上)と、(下)は[テクスチャ]のプラス方向に強くかけたものだ。
実例で示したように、[テクスチャ]は[アンシャープマスク]と違いマイナス方向、曖昧にする操作ができる。
B群対比系
面に作用して、面と面の対比を際立たせる効果だ。
[明瞭度・クラリティー]と[かすみの除去]はどちらも曖昧で漠然として見える物体をはっきり描画させる機能として登場した。[明瞭度・クラリティー]が実装されたばかりのときかすみがかかった状態を改善するものとして紹介されていた。
[コントラスト]
画像(階調)の基本特性をつくるために使用。
[明瞭度・クラリティー]
面を明るさごと際立たせるだけでなく立体感の調整に使用。
[明瞭度・クラリティー]は、[テクスチャ]が変化や反復の周波数が高い部分に効果がかかるのに対して、変化や反復の周波数が低かったり曖昧模糊としてとりとめのない変化に効果をあらわす。空間と物体、物体と物体、空間と人体、雲の変化などを際立たせる。
以下、上段元画像、下段左[明瞭度・クラリティー]プラス方向、右[明瞭度・クラリティー]マイナス方向に操作。
元画像
クラリティーをプラス方向に強くかける
クラリティーをマイナス方向に強くかける
以下、上段元画像、中段[明瞭度・クラリティー]プラス方向、下段[明瞭度・クラリティー]マイナス方向に操作。
[明瞭度・クラリティー]は[コントラスト]の操作結果と似ているように思われるかもしれないが、[コントラスト]の操作は明るさの最小値、最大値がかなり変化する。つまり[コントラスト]を操作すると明るさの変化で写真の印象がだいぶ変わる。それを含めての[コントラスト]の操作だ。
以下、左[明瞭度・クラリティー]プラス方向、右[コントラスト]プラス方向に操作。
クラリティー強
コントラスト強
[明瞭度・クラリティー]もまた、物体としての塊または明るさの塊を際立たせるために階調を単純化するが、コントラストを操作した場合と比較して(見た目に反して)明るさの変化は少ない。
[明瞭度・クラリティー]は、被写体の明るさの違いをそれぞれ「面」としてとらえて対比を強調する。[テクスチャ]は周波数が高いものへの効果だが、[明瞭度・クラリティー]は面の対比だから変化や反復の周波数が低かったり曖昧模糊としてとりとめのない変化へ働きかけ効果が現れる。
面の中にある階調(グラデーション)を単純化することで、この面と接する他の面との対比を際立たせている。対比が際立つのでディティールがよく出るような錯覚を覚えるし、そのような効果として使えるのだが、面の中にある階調を単純化させているので実際にはディティールの詳細はつぶれる。
[かすみの除去]
面を際立たせるだけでなく、面のなかにある比較的大きめのディティールをはっきりさせるため使用。
[かすみの除去]は明るさを再構築をして塊と塊、塊内のディティールをそれぞれ際立たせる効果がある。
多くのRAW現像ソフトにハイダイナミックレンジ効果を与える機能が実装されている。明るさをハイライト、シャドウ、ホワイト、ブラック等の名称で分け、それぞれを独立して増減できる機能だ。
明るい背景の中にもっと明るいディティールがある場合、背景の明るさを抑えると明るいディティールがはっきりする。ハイダイナミックレンジ機能でハイライトを落とすか、ハイライトを落として更に(明るいディティールに対して)ホワイトを上げればよい。
暗い背景の中にもっと暗いディティールがある場合、背景を明るにすると暗いディティールがはっきりする。ハイダイナミックレンジ機能でシャドウを上げるか、シャドウを上げて更に(暗いディティールに対して)ブラックを下げればよい。
以下、上段元画像、下段左[かすみの除去]プラス方向、右[かすみの除去]マイナス方向に操作。
元画像
かすみの除去をプラス方向に強くかける
かすみの除去をマイナス方向に強くかける
以下、上段元画像、中段[かすみの除去]プラス方向、下段[かすみの除去]マイナス方向に操作。
以下、クラリティーとの比較。左[明瞭度・クラリティー]プラス方向、右[かすみの除去]プラス方向に操作。
クラリティー(強)
かすみの除去(強)
以下、上段[明瞭度・クラリティー]プラス方向、下段[かすみの除去]プラス方向に操作。
元画像に暗、中間値、明と明るさがあるなら、それぞれを際立たせるため、それぞれの明るさをかなり変えるのが[かすみの除去]だ。それは明るさの再構築と呼んでよいほどである。こうした明るさの変更は画像の明暗の塩梅を検知したうえで行われ、さらに彩度を調整して色をきわださせる。
[かすみの除去]はプラス方向だけでなくマイナス方向へ、明暗の対比を小さくさせる方向へ操作することもできる。こうして操作した結果はかすみがかかった状態とまったく違うので自然現象のシミュレーションにはならないが、よい塩梅に明暗の対比を落とせるのは憶えておいて損はないだろう。
整理
[アンシャープマスク]
エッジ系
大小問わず面と面が接し合う部分に作用する
明るい線で輪郭を描く
使い所/キレの悪さに対して分離感をつくりたいとき
白線が目立つことがある
[アンシャープマスク]効果を0未満のマイナス側に操作できない
[テクスチャ]
エッジ系
面と面が接し合う部分に作用する
細かく変化するものの内側と外側に明るさの比をつくる点は対比系だが、作用はエッジの強調を実感する
使い所/細い線、細かい反復、細部に分離感、独立感をつくりたいとき
白線が発生する 神経質すぎる描写になりがち
[テクスチャ]効果をマイナス側に操作し曖昧感を出すことも可能
[コントラスト]
対比系
明るさが異なる面それぞれに作用する
階調の幅=明るさが変化するステップ数を変えて明暗の変化を急激にしたり穏やかにしたりする
使い所/描画を硬調または軟調に整えて基本特性をつくるとき
明るさの最小値、最大値が大幅に変わるので(黒つぶれ、白とびなど)明暗両極の変化に注意が必要
[コントラスト]効果をマイナス側に操作することも可能
[明瞭度・クラリティー]
対比系
明るさが異なる面それぞれに作用する
面と面の明るさの比を大きくしたり逆に小さくしたりする
使い所/比較的大きな面や周期が大きな微妙な変化に作用させ、際立ち、締まりを強めたり弱めたりする
強めた場合、描画が単純化しすぎる・毒々しい描画になる 弱めた場合、油を垂らしたようなくせのある独特の描画になる
[明瞭度・クラリティー]をマイナス側に操作することも可能
[かすみの除去]
対比系
明るさが異なる面それぞれに作用する
暗から明への明るさを数段階に分けたうえで、それぞれの明るさの面が持つディティールを描写や、明るさが異なる面同士の際立ちを操作する
使い所/比較的大きな面や周期が大きな微妙な変化に作用させ、描画の力強さや見た目の情報量を劇的に変える
強めた場合も弱めた場合も、明るさが再構築され元々のライティングバランスや撮影データに記録された明暗の差が大きく変えられてしまう 強調側の操作で毒々しい描画になる
特性と適否
冒頭に書いたように鮮鋭度、メリハリという言葉は曖昧すぎる。したがってRAW現像で効果を加えるとき「何に対して」「どうしたいのか」はっきりさせなければならない。意識したいのは「面」の性格だ。そのうえでエッジを際立たせたいのか、面を際立たせたいのか判断することになる。
エッジを際立たせたいときの基本は[アンシャープマスク]だ。[ストラクチャ]は面というには小さな線、粒度など[アンシャープマスク]の効果より1本ごと1粒ごとの存在感をはっきりさせたいとき使用する。使用感や効果から[ストラクチャ]をエッジ系に分類したが、実際には高い周波数で変化するもの、大きな明暗差が接している部分に対応する[明瞭度・クラリティー]なのを忘れないようにしたい。
対比系の[明瞭度・クラリティー]を使うときは[コントラスト]の効果との違いを意識したい。どちらも面ごとの対比をはっきりさせるが、[コントラスト]は階調の性格を変えるため写真の最小、最大の明るさも大きく変化する。これは写真表現の根幹をなす硬調・軟調といった基本特性から変わるのだから、[明瞭度・クラリティー]の作用と混同してはならない。
[コントラスト]は現像の初っ端で描画の基本特性を整えるためのもの。[明瞭度・クラリティー]は表現を詰めて行くうえで効果をかけるもの。と、整理するとよいだろう。もちろん現像の途中で[明瞭度・クラリティー]を使いつつ[コントラスト]を微調整することもあるだろうが、基本か効果かの違いは忘れずにいたい。
[かすみの除去]は面の大小を問わず明るさ違いの箇所やディティールがもっとも目立ち際立つように、かなり強引に明るさを再構築する機能だ。このため[コントラスト]の操作以上に明るさの分布がかわるし、見た目と印象も元画像から大きく変わる。細部の明暗の変化が強調されても[ストラクチャ]のように縁取りが特に際立つということない。
[かすみの除去]の難しさは明るさが再構築されるところにある。撮影時のライティングや決定した露光値が無視され、明るさそのものと明るさの分布が置き換えられるのは撮影時に想定したイメージを裏切るものだし、厳密な撮影をしている人に許しがたいものがあるだろう。またハイダイナミックレンジ効果から派生した機能なので、ハイダイナミックレンジ効果をかけすぎたときと同じ毒々しさが現れがちだ。
[かすみの除去]は暗・中間値・明といった要素すべてを変えて対比をつけるので、明暗で対比をつける[明瞭度・クラリティー]の硬質さがなく、ぬめっと変化するのを評価するかどうか、使えるかどうかというところがある。
あくまでも個人的な使い途だが、コントラストまたは明暗の抑揚を操作ひとつで”落とせる”機能として[かすみの除去]をマイナス側へ使うことがある。今までトーンカーブを逆S字にしたり逆S字にしたうえでコントラストを下げたりするなどしていたのと同様の効果が[かすみの除去]のマイナス操作で得られる。これだけで調整が完成する訳ではないが基本特性づくりに便利だ。
このように使えるのは[かすみの除去]をプラス側に操作したときのような毒々しさと対極にある状態になるのと、自然現象のかすみのようなものが強くなる訳ではないこと、[明瞭度・クラリティー]をマイナス側にしたときのような油を垂らしたようなにじみが生じることもないからだ。
以上のように[コントラスト]、[アンシャープマスク]、[明瞭度・クラリティー]、[テクスチャ]の使い分けは特に難しいものではないが、[かすみの除去]についてはハイダイナミックレンジ処理のハイライト、シャドー、ホワイト、ブラックのスライダー操作でどうにかなるところもあるし、作用の使い分けが難しいように思う。
いずれにしても、[コントラスト]、[アンシャープマスク]、[明瞭度・クラリティー]、[テクスチャ]、[かすみの除去]は鮮鋭度、メリハリを高めてディティールの詳細感を増す機能のように思われているが実際には逆であり、エッジをドーピングすれば余計な白線が描かれるし、対比がはっきりさせるため階調を捨てて単純化している。これが強調の原理だ。
使うあてのないディティールや階調が整理されるのは別に問題ないが、あくまでも塩梅・加減の話であって、無駄に思える階調があって不自然さが回避されているのが写真だ。現像中は目的に向かって操作するためついついやりすぎになりがちなので注意したいところだ。
© Fumihiro Kato.
Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.