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RAW現像時の操作について、これまで何度か「明るさ」の再サンプリングを紹介してきた。実際にやってみれば直感的に把握できるのだが、ちょっと怖くてできないという人がいそうなのでムービーとともに説明しようと思う。
明るさの最大値、最小値、中間値の再サンプリングの概略を図示する。
まず図中1。明るさの最小値、中間値、最大値の位置を移動させる。例として明るさの最大値255について説明する。何も操作しない状態では明るさの最大値は255だ。これを240の位置に移動させると、元画像の240から255に分布していた明るさは丸められて255にされる。とうぜん、240以下の明るさの分布も書き換えられる。
大雑把に言うなら、眠い調子のため明るさの最小値や最大値がなく中間調だけの画像に両者をつくることができる。もちろん目的はこのためだけではない。
次に図中2。明るさの最小値と最大値そのものを0と255以外にすることができる。通常は0〜255が明るさの範囲だが、最小最大の明るさを任意に決められるのだ。最小の0は真っ暗だが仮に10にすればグレー、最大の255は真っ白だが仮に245にすればグレーである。
では図中1、2について操作しているムービー。操作とともに変化する最上段のヒストグラムに注意しながら見てもらいたい。前半が1、後半で2の操作をしている。(一部ブラウザで動画が再生されないようです)
RAW現像慣れした勘がよい人は、使用したことのないツールだったとしても何がどうなったかわかったのではないだろうか。
画像の変化は、コントラストの操作や応答性(トーンカーブ)の操作の結果と似ていたかもしれない。しかし行われているのはまったく別の操作だ。使いどころは前述した暗さ明るさのメリハリに欠けた像を補正するためだけではない。
コントラストの操作は、階調の幅を縮めたり広げたりしている。階調の幅が縮められたら明暗の推移が詰まって急速に変化するのでメリハリがつき、広げるなら明暗の推移が広がり穏やかに変化するので締まりが緩くなる。画像そのものがもっている階調の特性はそのままだ。
応答性(トーンカーブ)の操作は、任意の明るさの領域で変化を急激にしたり穏やかにする操作だ。この操作ではゆっくり明るくなる、ゆっくり暗くなる、急激に明るくなる、急激に暗くなる状態にするなどできる。あるいは暗部、中間調、明部をどれくらい目立った状態にするか逆に目立たない状態にするかの操作とも言える。コントラストの操作との違いは、コントラストの操作では画像そのものの階調の特性は変化させないが、応答性を変えると画像の階調の特性そのものが別ものなる。
では[トーン]などと呼ばれる明るさの最大値、最小値、中間値の再サンプリングはどうか。
トーン=明るさの最大値、最小値、中間値の再サンプリングでは、画像そのものの階調の特性を変化させられる。この点は応答性の操作と同じだ。
応答性の操作と違うのは、応答性は変えないまま明るさの分布の仕方を変更できるところにある。どの値から先の暗さ、明るさを詰めてしまうか。どの暗さ、明るさを最小、最大にするか。明るさの中間の位置を暗い側、明るい側いずれかに移動させるか。と、いった操作だ。
中間の値を暗い側に寄せれば、中間値より明るい側が広がる。逆なら狭まる。操作前の画像の明るさの中間値より明るい領域が広がったり、狭まったりする。
だが、こうした再サンプリングの操作はトーンカーブを操作するより劇的に変化しやすく扱いが難しい場合が多々ある。ほんの少し操作しただけで画像が破綻しやすいのだ。こうした難しさを減らして、操作の自由度を広げるには「コントラスト」を低めにする、「トーンカーブ」を変化が穏やかな逆S字にするといった対策が有効だ。
この動画では様々な項目とともに操作している。(一部ブラウザで動画が再生されないようです)
最初にコントラストを下げた。次に明るさの最大値を見極めて操作している。明るさの最大値は画像のコンクリート橋脚の右上、パイプの反射と考えてよい。これがヒストグラムの右端255あたりに分布している明るさだ。
明るさの最大値を探る際は、画像の変化に注意するのはとうぜんだがヒストグラムの明るさの最大値の変化を見ながら進めるのがよいだろう。この操作で青(Blue)の量が明るさの最大値付近で大幅に増加している。つまり空と太陽光線そのもので顕著な明るさの変化が生じていることになる。ここから先もっと最大値を移動させると、空の表現で明るさが飽和して白とびが生じる。
「うーん。わかったけど、使えるのかいコレ」と思うかもしれないし、やってみようかと思う人もいるだろう。いずれにしろツールがどのような結果を生じさせるかわかれば現像の幅が広がるはずだ。私にとっては欠かせない操作になっている。
© Fumihiro Kato.
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