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たぶんこれが2018年最後の更新になるだろう。のんびりすべき年末に更新しようと思うくらい、Capture One 12は11から変わった。
1.新機能はたいへん便利
これまでに2回にわけて説明してきた(詳しい使いかたなどは過去記事を読んでもらいたい)が、12で大きく変わったのがグラデーションツールだ。これまでのグラデーションに加え楕円グラデーションが実装された。いずれもベクトル処理になり、ラスタライズすることでマスクを書き加えたり一部分を消したりできる。ビットマップ情報ではなくベクトル情報なので、Adobe Illustratorがそうであるように変更が容易で角度を変えたり、ぼかしの領域を適切化したり、なんだったら反転も可能だ。これは説明するまでもなく座標で領域を指定しているからで、だから前述のような変更を加える際はビットマップに変更するラスタライズ化が不可欠になる。
あらたに加わった機能として、輝度範囲でマスクを指定するツールもある。この機能で意図通りの範囲を指定するのはテクニックと勘が必要だが、いちいちブラシツールでマスクを塗りつぶして指定するより確実であり作業が圧倒的に短時間で済む。ただ注意したいのは、輝度範囲の指定だけで確実にマスクできるとは限らず、どうしても同じ輝度範囲にマスクしたくないものが含まれることもある点だ。また異なる輝度範囲にもマスクしたくなるケースもある。異なる輝度範囲を別のレイヤーで指定しようとすると、たとえ同じ変更を加えたとしても仕上がりに違いが出るし、結果としてあまりきれいな画像が得られない。このようなときは、2つの処理法が考えられる。
1つは、ラスタライズせずブラシツールでマスクできなかった場所を塗りつぶす方法だ。このとき輝度範囲を感知する機能が働くので、完全に輝度範囲を超えていたら塗れないし、やや輝度範囲に含まれる場合は薄塗りになり効果も相応に弱くなる。2つめの方法は、ラスタライズしてから塗りつぶすものでこれまでのブラシツールと同じ要領で塗りつぶせるが、一旦ラスタライズしたあとで輝度範囲の見直しはできない。これでわかるように輝度範囲を決めて実行したあと、輝度範囲を見直してマスクされる範囲を変更可能だ。
2.ブラッシュアップされた機能
現像エンジンが新しくなったことがもっとも大きなブラッシュアップ点で、ノイズを感じやすい領域に発生する汚点がかなり減った。つまりこれまでと同様に感じられるかもしれないノイズと無関係な領域の処理もよくなっている。
次に関心したのは、周辺光量補正である。これまで周辺光量の補正ではDxO PLがもっとも信頼できる現像ソフトだった。多くの現像ソフトはレンズプロファイルを読み取って使用レンズの周辺減光パターンに沿って補正を行なっているが、DxOが収集しているデータがもっとも信頼できたのだ。Capture Oneもレンズプロフィルからどのレンズを使っているか読み取っていたけれど、周辺光量補正は通り一遍に画像の中心部から楕円形を拡大して明るさを整えるレベルに近いものに感じられた。はたしてDxO PLと同等になったかわからないところもあるのだが、Capture One 12ではかなりレンズ固有の減光のクセを消せるように感じる。
3.まとめ
11からの進化は前述以外の点にもあるが上記したものがもっとも画期的な変化だ。別の人にとって、もっと便利かつ仕上がりの質に貢献するものがあるだろうが個人的にはこれらでかなり作業が変わった。
私これまでDxO PLでRAWデータをトリートメントしてDNG RAWで保存し、これをCapture Oneで現像して仕上げる方法を取る場合が(かなり)あった。今後もDxO PLの有効性はなくならないが、使用機会は減るだろうと思われる。現像後にフォトショップを使う機会も減るだろう。
Photoshopに持ち込むのは、Photoshopで1ピクセル単位まで識別できる拡大率にしてCapture Oneで詰め切れなかった箇所を修正したり、不要なものを消去するためだった。こちらもPhotoshopの有効性は変わらないが、グラデーションツールと輝度範囲による指定によってCapture Oneだけの作業でかなり満足が行くものになった。
11への進化の段階でCapture Oneはほぼ完成されて、このあと目立った変更はしばらくないだろうと思ったが、基本路線を踏襲しながらかなり別ものに生まれ変わったのが12だ。いままで使用していた人は迷わず12をインストールすべきだろうし、使っていなかった人は他の現像ソフトとの違いが明快なので使用してみると現像ソフト観と作業の幅ががらっと変わるだろう。
Fumihiro Kato. © 2018 –
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