現像ソフトON1を試してみた

現在RAW現像のためのアプリケーションソフトはカメラメーカー純正からサードパーティ製まで数多く存在している。しかし、現像時に行いたい作業が人それぞれ違うたため選択肢となり得るものは少ない。私がCapture ONEを現像に用いているのは、現像結果が単純に優れている(私の要求に合致している)だけでなく、強力かつ精緻に色と階調をコントロールできるためだ。こうした要求を満たすのが自由な形にマスクを設定して部分調整できる機能で、他のソフトでは画像全体でしか調整できない項目が個別の箇所ごと操作可能だ。さらに動作が軽い。しかし他の人にとっては私の要求は不要で、別の何かを求めるがゆえ他のソフトを使用しているはずだ。

海外の写真サイトをさまよっているとき、RAW現像ソフトON1をたまたま見つけた。私が鈍感なだけで既にON1を知っている人は多いのかもしれないが、特徴や機能をここにざっくりメモしていきたいと思う。RAW現像ソフトON1はアメリカ オレゴン州に本拠を置くON1 Inc. https://www.on1.com/ の製品だ。RAW現像ソフトにはオープンソースのプロジェクトで作成された無料のものもあるが、ON1は企業が開発した有料のアプリケーションソフトである。他のソフトがそうであるように、30日間の無料トライアルが可能だ。

ON1 Inc. 自らが挙げる同ソフトの特徴は、動作が軽量であること、自由にマスクが設定でき設定した箇所を個別に調整できること、画像エフェクトのテンプレートが豊富なことだ。実際に起動させRAWファイルを保存しているフォルダーを開いてみたが、読み込みはスムースでストレスはまったく感じなかった。この辺りの操作は、他のソフトと同様なので戸惑うことはないだろう。ただし現在のところ英語版のみのようなので、この点を気にする人には不満があるかもしれない。続いて、他の動作について述べる。

これがキャプチャ画像だ。

ON1のUIでは、フォトショップに代表される画像加工ソフトで一般的な「ツール群」の表示が同様にUI左側にある。少々混乱したのはRAWファイルをブラウズするインターフェイスが別ウインドウとして開くのでなく、同ウインドウ内で現像画面と切り替わる点だ。現像操作を行う場合は画面右側にある絞り羽根アイコン「Develop」をクリックする。キャプチャ画像はDevelopを選択したところだ。すると画面左側にツールアイコンが表示されるほか、右側には調整用のスライダー等が現れる。ここまでの操作も軽快に動作する。

もし画像全体を調整したいなら右側のカラムにある「Overall Settings」のタブを開き、部分調整したいなら「Local Adjustments」のタブを開く。ここに「Add Layer」とあることから理解されるように、筆ツールで塗りつぶして選択した箇所はlayerごと管理される。更に違う部分を違う調子にしたい際は、「Add Layer」をクリックして新たな調整用UIを増やす。調整可能な項目はUIを見てもらいたい(キャプチャ画像が小さく見にくい場合はクリックすると横3000ピクセルの元画像が表示される)。見慣れぬ機能項目があるかもしれないが、ほぼ標準的な内容だろう。レイヤーを増やすとどこを指定したものかわかりにくくなるが、個別に名前をつけられるようになっている。見慣れなかったり聞き慣れない名称であっても、実際にスライダー等を操作することで機能は把握できるだろう。

ここで重要なのは筆ツールが使い易いか否かだ。キャプチャ画像の上辺を見てもらいたい。ここでマスクを描画する際のポイント(筆先)のサイズ変更等ができる。サイズのほか、ぼかしの領域サイズも指定できる。こうして描画時のポイントを決定したら、画像の任意の場所を塗りつぶして行く。このときレイヤーで指定した効果が即時実行される。問題は塗りつぶしがスムースか、である。ここは少々課題が残るところで、Capture ONEほどスムースにポイントが移動しない。ただ百戦錬磨のCapture ONEがバージョンアップごと洗練されてきたこと、他のRAW現像ソフトでは実装されていないか実装されていても動作が重いことを考慮すると、まったく使えないツールと断定するのは早合点だろう。なかなか使えると解釈したほうがよいと思う。私が数ヶ月前に試した試用版SILKYPIXのマスク機能よりスムースかつUIがわかりやすいと感じる。

使い込んだ訳ではないので、この辺りで総評に移りたいと思う。

マスクを設定して部分調整を行いたい人で、Capture ONEほど多機能かつ強力な調整項目が必要ないならON1は選択肢になり得るだろう。マスクについては、ここで説明に用いたパブリックβ版以降でバグフィックスされ進化するそうだから、製品版が出たとき本格的に移行するのがよいと思う。

Capture ONEを使い込んできた人にとってON1の位置付けは、サブ的なものに留まる可能性が高い。RAWファイルを現像するうえで必要不可欠な調整能力をON1は実装しているものの、Capture ONEの機能を明らかに超えるものではない。ただ、Capture ONEのスキントーンや部分調整で応答特性を可変させる機能などを使用していないならON1でも仕事に使えるのではないだろうか。

Fumihiro Kato.  © 2017 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なり人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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