DCI-P3広色域デバイスの時代だが

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DCI-P3広色域デバイスの普及とsRGB」と題する記事を2月に書いた。DCI-P3準拠のPC用ディスプレイを実際に見てもらうほかないが、写真または画像を扱っている人なら一目でスマホのディスプレイの色と感じるだろう。「一目でスマホ(またはタブレット)のディスプレイの色」とわかる怖さは、もしDCI-P3に無関心であったなら自分の環境で感知できなかった色をどこかで他人が見ている点だ。元の画像を知らないエンドユーザーなら素通りするかもしれないが、画像を生成している人であれば背筋が寒くなることだろう。ところがスマホ(またはタブレット)環境でのWEB媒体や画像の閲覧について、制作側はサイトデザインやRetina対応には熱心だが色域に関しては相当無頓着なのが世の中の現状である。

前回の記事に掲載したsRGB/DCI-P3/AdobeRGB/の色域比較をここに再掲しよう。sRGBとAdobeRGBとの間の差ほどではないが(私はかなりものと考えるが)、sRGBとDCI-P3の差が小さくないのが理解されるはずだ。人間は緑色の領域に対して肉眼の感度が高いため、ここに差があるsRGBとDCI-P3では微妙な色の違い、色が織りなすディティールの違いは体感的にかなりあると思ったほうがよい。ちなみにDCI-P3の黄緑から緑にかけての領域はAdobeRGBより広い。また赤が飽和する点もAdobeRGBが若干だが確実にDCI-P3に劣っている。ではどうしたらよいか、の答えはDCI-P3に対応した画像づくりをする以外に術はない。

比較:DCI-P3とAdobeRGB、sRGBの色域
比較:DCI-P3とAdobeRGB、sRGBの色域

現在、スチルカメラの色域に関するモードはsRGBとAdobeRGBのみの選択だろう。私はよほどのことがなければRAWデータを現像するためカメラ側の設定がなんであれ生データのまま記録していることになる。しかし、シネの分野に一眼レフを使用するのが珍しくなくなった。私がもっとも手にする機会が多く信頼しきっているニコンD810ではシネをRAWデータで保存できないため、色温度・シャープネス・コントラストそして色域を撮影前に厳密に確定しなければならず、DCI-P3には対応していない。私のシネ撮影はシネ専門の人からしたらお遊戯みたいなものかもしれないのでスチルの話に戻せば、今後はカメラ側にDCI-P3設定が盛り込まれるべきだろうと考える。もちろん撮って出しでは最重要になるだろうし、各カメラメーカーが用意する現像ソフトの書き出し時のフォーマットと埋め込みプロファイルにも言えることだ。

sRGBにしておけば相手のデバイスがどうあれ最低限のコミュニケーションは満たせるだろう、というのも楽観的すぎる。sRGB画像をAdobeRGBディスプレイで見ると彩度があがりギトギトになる現象はDCI-P3でも生じるのだ。違いがないなら、それぞれの色域に準拠したディスプレイは必要ないことになる。

スマホ環境でのWEB媒体や画像について、現状でDCI-P3について関心がない制作者が多いのは所詮sRGBみたいなものでAdobeRGBや他の色域のような違いの大きさがないと思われているからだ。これが誤った認識であるのは前述の通り。もしかすると、そもそもが多少の色の色の違いなんてWEBでは常識とされ、赤が青に見えなければよいくらいの意識が蔓延しているのかもしれない。これでは顔変形ツールを使った写真をアップロードしたりYouTubeに動画を投稿している素人となんら変わらないではないか。これらは色なんてどうでもよい人が多いうえに、どうしたらよいかもわからない故のことなのだろうが。画像をJPEG化する際の赤領域の突出さえ神経を使うのに。

Fumihiro Kato.  © 2017 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なり人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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