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「RAW現像ができない」という声がある。あるどころか実際に耳にしている。どうして「RAW現像ができない」のかと尋ね返しても、「いやいやできなくて」と堂々巡りしがちなのが特徴だ。たぶん、何をしたらよいかわからないから何もできなくなってしまうのだろう。陰影、階調、色がどのようなもので、それぞれがどのように関係しているかわからず、いったい何をしたらよいかがわからないと言えそうだ。明暗と色、階調性、これらの相互関係が理解できないとRAW現像は不可能だ。
相関関係が直感的に理解できないなら、まずは水彩絵の具を使って絵を描いた小学校の授業を思い出してもらいたい。絵の具のチューブから搾り出した原色の赤に黒を少量混ぜたらどうなっただろうか。こうなったはずだ。
ほとんどの人は混色によって色調だけでなく、明るさの違いを表現できるのを知っていたはずだ。
絵の具を調合して色をつくるのと、RAW現像で色調を調整するのは、減色混合か加色混合かの根本的な違いはあるが、ここでは無視してどんどん話を進める。
絵の具の「赤」と、デジタル画像で扱う「R(RED)」は別ものなので、Rの明るさを連続的に変えグラデーションにしてみた。
次は明るい側へRの階調を広げてみる。
明るさの度合いを「明度」と呼ぶが、明度を上げると色の濃度が薄くなり、明度を下げると濃くなるのが理解されるはずだ。色の濃度は、明度と相関関係があることになる。
色の濃度は、明度と相関関係がある。これは露光量を増やすと色は薄くなり、露光量を減らすと色は濃くなることを意味している。撮影時に露光量を+にするとハイキー調になり被写体の色が薄く、逆に-にするとローキー調になり色が濃くなるのと同じ理屈だ。露光量が極端に多い、または少ない場合は濃度がピークに達し見た目が「真っ白」「真っ黒」になる。
画像の明るさや階調性を変更すると、色の濃度もまたおのずと変わる。色の濃度が変わる調整を行えば、画像の明るさや階調性もまた変わる。このようにRAW現像時のあらゆる作業は、画像の階調(明るさも含む)と色の関係を操作するためのものだ。現像ソフトに用意されているコントラスト、彩度、ガンマ値などを変えるUIは別個のものでなく、階調と色の関係をさまざまな手段で調整するツールだ。「RAW現像ができません」「面倒ですよね」と言う人は、UIやコントラスト、彩度、ガンマ値などの言葉に振り回されて階調と色の相関と相関を元に操作する点に気付いていないのだろう。
では基本となる階調を以下として、具体例を見て行くことにする。
これはRAW現像ソフトで展開した画像を意味する。
露光量を増やしてみる。
露光量を減らしてみる。
コントラストを高めてみる。
コントラストを低めてみる。
(応答特性)ガンマ値を高めてみる。(いわゆるS字カーブ)
(応答特性)ガンマ値を低めてみる。(いわゆる逆S字カーブ)
(応答特性)中間輝度域を持ち上げてみる。(いわゆる逆U字カーブ)
(応答特性)中間輝度域を下げてみる。(いわゆるU字カーブ)
彩度を上げてみる。
彩度を下げてみる。
明度を上げてみる。
明度を下げてみる。
露光量、コントラスト、ガンマ値、彩度、明度、どれを変えても階調性や見た目が別物になるのがわかるはずだ。
これ以降については、踏み込んだ話になるのでいずれworkshopの記事にしようと思う。
Fumihiro Kato. © 2016 –
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