2015-09-02

Workshop8. コントラストは階調性としてガンマ値で調整する

Workshop8. コントラストはガンマ値で調整する

1.
既に一般記事でコントラスト調整とガンマ値の調整の違いについて説明してきたが、あらためて整理しなおす。

まずガンマ値とは何か。
ガンマ値とは応答性の特性を表す値だ。
応答性とは何か。
PCから入力されたデータを我々はディスプレイや印刷物として目視する。このとき入力されたデータがどのような階調特性を持ってディスプレイや印刷物に反映されるかの応答性である。

まだわかりにくいと思うので、次のように考えてもらいたい。
自然の風景が目の前に広がっているとする。それを見ている人間の感覚通り、フィルムやセンサーは画像を記録してくれるだろうか。
否だ。ポジフィルムで撮影すると彩度が高い鮮やかなものになり、コントラストが高いので迫力があるとされている。つまり人間の視覚と、ポジフィルムは入力された風景は同じでも応答性が違うとなる。
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どこがどのように違うかポジフィルムを例に説明する。
ポジフィルムは明度が高い明るい領域のラティチュードが狭く、デジタル写真風に言えば白飛びしやすい。明度が低い暗い領域は明るい領域よりラティチュードが広いもののネガフィルムや肉眼と比較にならないほど狭い。
これをガンマ調節のユーザーインターフェイス上で極端に示すなら以下のような傾向と言える。
6bc8ccd2ae90c4d61c68116e2a4aade7オーディオで言えば、イコライザーの調整がガンマ値の調整と似ていなくもない。
低音から高音までを段階分けし、特定の周波数帯を上げ下げするのがイコライザーのインターフェイスだ。同じ音源であってもスピーカーが変わったり、リスニングルームが変われば耳に届く音、つまり応答性も変わる。これを望み通りにするのがイコライザーであり、光が描く階調の特性を変えるのがガンマ値の変更だ。

2.
応答性の説明にポジフィルムを例としたが、あのガンマ値を調整するユーザーインターフェイスの使用法はポジフィルムのシミュレーションに限らない。

要点は二点だ。1.スライダーによる暗部、明部の領域のカット。 2.特性曲線を変形させることで応答性のクセをつける。だ。
この二点で、入力される元画像と異なる特性の階調の階調を出力するのだ。

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ガンマ値を変える、応答性を変えると素直な階調は上図のように独特のクセを持った階調として出力される。

ソフトウエアに装備されている「コントラスト」調整用のスライダーとの違いは、「コントラスト」調整用のスライダーが明部、中間調、暗部の別なく全体の階調幅を縮めたり広めたりして見た目のめりはりであったり、見た目の幅広い再現域を調整するためのもので、出力する画像の階調特性そのものを変えていない点だ。
明度彩度2上図の上の二つの階調の模式図がコントラストを上げた状態である。下の二つの階調の模式図はガンマ値の特性を変え明部側を極端に持ち上げたもの、暗部側を極端に下げたものだ。

RAW現像に慣れてくると、単にコントラストが高いか低いかではなく、特定の明度の前後を明るめにしたい、逆に暗めにしたいと感じるようになるだろう。このとき「コントラスト」調整用のスライダーを動かして求める状態になる場合もあるが、厳密なコントロールは不可能だ。
したがって特定の明度の前後を明るめにしたい、逆に暗めにしたいなどといった特性にクセをつけたいときガンマ値の調整をすることになる。

3.
では手順としてコントラストを調整したのちにガンマ値の調整をするほうがよいのか、逆がよいのか。
これはどちらが正しいと一概に言えない。

ただ出力したい画像のイメージが固まっているのであれば、その階調特性をガンマ値で決定し、微調整をコントラスト調整で行うのがよいように思う。コントラストの調整は画像から出力されるデータの応答性の基本形を変えず階調幅を広くしたり狭くしたりするものだからだ。
最初にコントラスト調整で階調の幅を決定してから、出力する画像データの特性(応答性)を変えるのが悪いわけではないが、望む画像の階調特性を先に決めたほうが理にかなった現像作業であり、求めるものを実現しやすいはずだ。先にコントラストを好みの状態にすると、いざガンマ値に変更を加えようとしても元画像の状態に対する応答性の変更具合を読み取りづらく感じる。
うるさい話をしているようだが、撮影時に先ず好みの調子(応答性)のフィルムを選択するようなものだと考えてもらいたい。
だからといって最初にコントラスト調整で階調の幅を決定するのが悪いとは思わない。ここはそれぞれの人がやりやすいように作業をすればよいだろう。

私の現像レシピのひとつは以下のようなものだ。
RAWファイルを開いたとき現像ソフトがフラットな特性の画像をまずディスプレイに映し出すようにしておく。この画像をヒストグラムで点検し、ガンマ値(階調の応答性)を変更する。特性のつけ方そのものの傾向は決めているが、画像の性質の違いによってどの程度応答性を可変させるか変わる。この特性を維持させたまま次にコントラストを調整する。
このように階調にクセをつけると明度が変化するため色の彩度も変わる。ここで明るさ(露光量ではない)を微調整しつつ、彩度のコトンロールインタフェースで色を適切化する。
といったものだ。

なぜこのようなレシピになったかと言えば、かぎりなくクセのない階調から私独自の特性を持った階調に可変させるためだ。したがってこのレシピを用いる撮影ではライティングを設計できる場合は、あまり極端な明暗比をつくらず明部にも暗部にもディティールが残りつつも明暗差があるようにしている。素材はかぎりなくデータ量が豊富なほうが、個性的な特性を与えても画像が破綻しにくいのだ。
屋外撮影で太陽光を光源にする際は明暗比を人為的に変更できないので(できてレフ等で起こすくらいだ)、白飛びしたり、暗部がつぶれたりしにくい露光値を選ぶが、明部暗部どちらのデータがテーマにとって重要か考え露出を決定する。元の画像の明暗比が高い場合、スタジオ撮影時と同じガンマ値で階調の特性を与えるは無理なので、自ずとなだらかな曲線を描かせることになる。

これは一例だが、撮影時から階調性を考えないとガンマ値の調整を有効に利用できない。また求めるものが違えば、最初にコントラストを適切化させ、のちにガンマ値を調整するレシピも成り立つ。
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