2016-03-28

workshop20. ガンマ値とコントラスト双方を調整してみる

前回は、workshop19. ガンマ値とコントラスト双方のコントロールの実践 としてガンマ値とコントラスト両者の違いを中心に論を進めた。
今回は、実際に現像作業を行い二つのコントロール要素を使用する。

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上掲の写真を撮影した。平凡きわまりない写真だ。なにも特別な点はない。あくまでも作例である。

A.コントラストのみ高くしてみた。空の様子を見てもらいたい。空が一様に明るくなり、雲の濃淡が消えた。ヒストグラムを見ると、明るさの最大値とその分布量、暗さの最大値とその分布量は十分な感じだ。これでも雲が描画できないのは、前回説明したように明るさの値0、1、2、3、4、5とあったとき、コントラストを高めたことで0、3、5のごとく中間調が間引かれたからだ。間引かれた値は、暗さ、明るさ、いずれかの隣接する値にまとめ直されたことで明るさの最大値、暗さの最大値の量が増えた。この写真では、空の輝度値の成分はより明るい側に丸められたと言える。
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B.コントラストのみ低くしてみた。こちらのほうが雲の濃淡が描画できている。明るさの値0、1、2、3、4、5の例で説明するなら、0、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5と階調の幅が引き伸ばされたからだ。これは無から新たな明るさの値が生じたのではなく、RAWデータに潜在していたものが呼びだされたのだ。この例でわかるように、コントラストさえ上げればめりはりのない状態をはっきり描画できるとする常識? はまちがっている。コントラストの操作でメリハリがつくのは、この画像の空と地面(または山)のように輝度値が両極に位置する関係だけだ。
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C.コントラストをデフォルトに戻し、ガンマ値をS字状のトーンカーブにした。コントラストを上げたときと画像の印象が違う。暗部が締まり、明部がより強調された状態だ。ここでヒストグラムを見てもらいたい。コントラストを高めたときは最明部250の値まで分布量が増えた。いっぽうトーンカーブの操作では、トーンカーブの頂点の値を中心して分布量が増加しているのがわかる。そして、このカーブは最明部付近をほとんど増加させていない。線形どおりに、明暗の分布が変わるのだ。
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D.ガンマ値を逆S字状のトーンカーブにした。カーブの線形は明部側のピーク域を落としている点を、インターフェイスで確認してもらいたい。空の明るさのうちもっとも量的に多い値が、文字どおり明部のピークだ。ヒストグラムで階調中の明るさの分布をみれば、コントラスト調整との違いは一目瞭然だ。
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E.すべてをデフォルト値に戻し、空の部分を「sky」と名称をつけ部分選択した。Capture One 固有の機能ではあるが部分調整箇所だけガンマ値のトーンカーブを可変させた。さらにコントラストを最弱、露光量と明るさの項目も画像のように可変させた。空の部分だけ、D.と類似の見え方になっている。クラリティー(明瞭度)を上げたので、より雲の状態がはっきりした。
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Eを基本として、モノクロ化してみる。モノクロ化すると、めりはりを色のコントラストに頼れない。このため、モノクロームの階調だけで表現される画像は明るさの分布を点検するのに適している。なお(調子をモノクロ調に最適化するため)色フィルター効果を使い、青、シアンを暗めにした。成り行きで現像したので山が黒くつぶれているが、気になるなら山のディティールを残す方法を雲同様に考えることになる。
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RAWファイルを開いただけの最初の画像を再掲する。
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同じ曇天の日に撮影した別方角にカメラを向けた画像を示す。空をつくり込んでいる。
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太陽を背にしているため、先の画像より雲を強調しやすかった。

作品づくりではこのように雲の描画を強調しなくてもかまわないが、ガンマ値とコントラストの関係を知るうえで雲は最適な教材だ。

現像の手順は、
1.モノクロ化し青とシアンを暗くする。
2.全体の調子をトーンカーブで整える。
3.ここまでの状態を見て、コントラストとクラリティーを調整。
4.空を部分指定する。
5.部分指定内のトーンカーブを手始めに、露光量と明るさの増減、コントラストを微調整する。

以上

同様の調子を導き出す別の方法もあるだろう。
似たものとして、全体像に対してハイダイナミックレンジ処理をする方法がある。だがこれでは他の明部(たとえば画像中のネット等)も影響を受ける。ハイダイナミックレンジ処理のドロドロ感が好きならよいが、自分基準の基本とする画像の特性を生かしたい場合は安易に用いるべきではない。ちなみにハイダイナミック処理は、マスクを切りにくい細かな部分の調子を整えるとき大まかに部分指定をし微調整的に使うのがいま風だろう。

では、いまいちどガンマ値=応答特性であることを思い出してもらいたい。輝度0から250までの連続した値、グラデーションで描かれる画像のどの明るさの値を強調するか、あるいは落としたいかでトーンカーブの線形を決める。コントラストから操作しないのは、フルに階調を持っている状態で「こういう絵にしたい」と願う基本形をつくりたいからだ。どの暗さ、明るさを強調するか抑えるかをまず決めるのだ。この基本形の階調を元に、明るさの値を間引いたり、引き伸ばしたりする操作をする。コントラスト調整は、調子の塩梅を適切化するための操作なのだ。

したがって、まずは撮影時に取り込んだ階調をそのまま使用して画像の癖=基本形をつくる。

人それぞれ手順はあるだろうが、コントラストからいきなり手をつけると画像全体の「応答特性」を決めにくい、あるいは自分にとっての基本形をつくりにくい、と言える。

 

Photo by Fumihiro Kato.  © 2016-

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