2016-03-28

workshop19. ガンマ値とコントラスト双方のコントロールの実践

ガンマ値は応答特性だ。理解しにくければオーディオで低音を強調、高音を強調といった操作を思い浮かべるとよいだろう。低音を強調する操作を行ったとき高音は影響を受けない。低音が強調されたことで、高音を含む音質全体の感じられ方が変わる。音源がMP3だろうとCDだろうと記録された状態と、スピーカーから耳に伝わる状態が変化したことになる。これは応答の特性を変えたからだ。

では、コントラストを可変させるのとどこが違うのか。コントラストを変化させる操作は次のように理解するとよいだろう。目の前に25cmの長さのテープがあるとする。このテープの左端は輝度0、右端は輝度250の値で、この間はグラデーションで均等につながる階調として表されているとする。要するに真っ黒から真っ白へのグラデーションが描かれたテープだ。次に、テープ長が12cmで同様に真っ白から真っ黒までのグラデーションが描かれたものを想像する。どちらのテープが見た目でなめらかに階調が推移しているだろうか。コントラストを可変させる操作は、このテープの長さを変えることと類似している。

上記の例えは、あくまで例えで正確性に欠ける。ただし階調の幅を物理的な長さとして想像し、これを詰めたり、伸ばしたりしていると思いながらコントラスト調整のスライダーを動かすと操作の意味が理解しやすい。階調の特性を変えず、暗さから明るさまでの推移を詰めるか、伸ばすかするのがコントラストの可変だ。そして階調全体の幅を物理的長さとして把握するのだ。長さが短くなればどうしても隣り合う暗さと明るさの違いが大きくなる。逆では、小さく表現できる。実際の操作では、コントラストを高めると階調が間引かれ 0、1、2、3、4、5と明るさの値があったとするなら 0、3、5と段階的になる。極端な状態では、0か256かの2値になる。

実際には、画像中の輝度0から256までの階調は均等に推移していない。フィルムの特性、センサーの特性、回路の特性、設定の特性などによって、被写体そのものと比較したとき特有の応答特性を持っている。また露光量によっては輝度0はなく、輝度256もまたないかもしれない。輝度0から10、輝度240から250といった幅でデータがない場合もある。いずれにしろ、これら元データから現像作業を行うわけで、最初にコントラストの操作から作業をはじめると「どのような画像をつくりたかったか」=応答特性を望み通りに再現することから遠ざかりがちだ。

漫然と画像をみるとき、どうしても「コントラストが高い」あるいは「低い」と感じがちである。だが 0、1、2、3、4、5の明るさの値を 0、3、5と段階的にしなくても、つまり中間の調子を間引かなくても画像全体の明部と暗部を強調すれば、中間調の明るさを感じにくくなり輝度差が大きな画像のように見える。これはオーディオでいえばドンシャリの状態だ。中音部の周波数を間引かなくても、低音と高音を強調すればドンシャリになる。一般的な私たちの視覚は、コントラストの操作で実現される画像全体の輝度差ではなく、応答特性=ガンマ値の操作で実現される輝度の全体像をいわゆる「コントラストが高い、低い」と感じ取っている。間引かれた階調の差に依存しているというより、どの領域が多いか少ないかで明暗比と全体感を把握しているのだ。

したがってRAWファイルを現像するとき最初に基本となるガンマ値のカーブを描くのがよいだろう(応答特性の確定)。カーブにはS字、逆S字、U字、逆U字などと言われるパターンがあるが適当にカーブさせてよいわけではない。どの輝度の領域を中心に持ち上げたり、逆に下げたりしたいか、応答特性を可変させるポイントを見極めたい。これはオーディオでいえば、何ヘルツの部分を持ち上げたり下げたりするかで音の聞こえが変わるのと同じだ。

Capture One ver.9 の最新版では、画像の基本特性としての応答性だけでなく、マスクを切り部分指定したところだけ個別に応答性を変えられる。画像全体は逆S字(暗部を持ち上げ、明部を下げ、調子をフラットもしくは輝度差の小さい状態)にしておき、画像の特定部分はS字(輝度差が大きい)にすることも可能だ。Capture Oneのこの機能を使う場合、経験的に全体のガンマ値を決定、次に全体のコントラストを決定し、個別のガンマ値、個別のコントラストを可変させたほうが作業方針の一貫性が保たれるように思う。

 

Photo by Fumihiro Kato.  © 2016-

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