ライティングを単純化するための模式図

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結果が同じなら、効果が同じなら、道具立ては単純なほうがよい。ライティングをほどこすとき複数台の発光体を様々な場所に配置したところで、最終的に太陽と地球の関係にそぐわない矛盾した光線状態になるなら、そんなものはやらないほうがましだ。

特殊効果を狙う限られた機会を除けば、ライティングは以下のように実世界で見受けられる2パターンに単純化できる。
lightingpattern

屋外では、被写体の正面から側面に水平方向で45度の範囲、垂直方向には上に45度の範囲からの斜光線を含む順光が撮影に好適とされる。頭上から真下へ光が照射されるのは、真夏の正午あたりのライティングだ。あとは太陽が後方へ回り込んだとき、被写体に対してレフで光を起こす逆光によるライティングがあるくらいだ。これがパターンの1だ。角度をともなった光線で陰影を描く際のライティングである。

室内は、ほぼ水平の自然光ライティングによって照らされている。この側方からの光だけでなく、後方などからも弱く光が差し込む場合がある。
これがパターンの2だ。建物の外壁や軒はフードに似た効果を持つため、どちらかというと水平に近い角度で光線が入射する。また窓ガラスやカーテン、障子によって光量は落ちるが光の拡散度は増す。これもまた光線で陰影を描く際のライティングである。

これだけだ。
あとは太陽をストロボ等に置き換え、自然界や室内に存在する反射効果をレフによって人工的に補う。光の角度は、時刻と方角の再現だ。ちなみに料理写真やブツ撮りで逆光を用いるのは、水分などの透明感、照り、質感描写がよい具合に光で演出できるからだ。要点は「透過光」だ。料理写真の逆光は、人が窓に向かって座り料理を食べている際の光線状態を再現している。あるいはテーブルの上の燭台から照射される光でディナーを食べている様子とも言える。光を背にして、自分自身の影で暗がりになった料理ははたして旨そうに見えるだろうか、ということだ。

ここに掲載した模式図さえ頭に入れておけば臨機応変に対応できる。ただし、角度等を丸暗記しても意味がないどころか害悪ですらある。わずか数度の角度差、光量差、拡散度の違いだけで照明効果は別ものになる。緻密にチェックすべきだ。

次の写真はレンズテストのため、自室で手早く撮影したものだ。(光線状態を客観視するためカラー、モノクロともに掲載)
左真横から1灯である。アンブレラにデュフューズ、さらに長方形の乳白板で光を拡散させている。この乳白板を画面手前にややずらし、奥にアンブレラから直接光が入射する部分をつくった。背景まで黒一色では、暗黒空間にギターが浮いている感じになるからだ。撮影の目的からギターの胴のハイライトの形状を考慮しなかったが、乳白板に黒紙を切って貼ればテカリのかたちを工夫可能である。真横からの光、これはギターが演奏される室内の光線状態に近い。

45mmtest2

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Musical instrument

Photo by Fumihiro Kato.  © 2015, 2016-

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