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結論を書くなら、ローカルディスクは空き領域を4割以上確保しなければならず、iOSデバイスのバックアップはローカルディスクに保存してはならない、となる。そして流行りのSSD化する必要ない場合も多い。では詳細について説明して行く。
あるときからPhotoshop CCならびにAdobe bridgeの動作・挙動が不安定になった。レインボーカーソルがくるくる回転して待ち時間が増えたのが主な不具合で、その他ツール選択に時間が掛かり、他のソフトウエアとの間で行き来があるとくるくる回転のまま落ちたりした。
原因の切り分けを行なった。ひとつはAdobe cloudのマイナーバージョンアップ直後でもあったためAdobe関連のバグを疑った。ふたつめはiOSデバイスを買い替えたのを機会にiCloudの容量が逼迫していたこともあってシステムディスクにバックアップを保存したことだ。前者は旧バージョンに戻すのが無理に思われたため後者から洗い出しを行なった。
ハードディスクの容量と何がどれだけ保存されているか、(アップルマーク)→このMacについて→ストレージを参照。まあ驚いたことにiOS関連のデータが20%まで達していた。この時点で「たぶん空き容量の不足が原因に違いない」と直感したが疑問が残った。「仮想メモリ」を頻繁に使用するほどメモリ搭載量が少ない訳ではない点だ。ちなみに32GBメモリを搭載している。
ここでメモリ管理ソフトの不具合が問題である可能性が浮上した。メモリを効率よく使用するためメモリの開放と不使用領域をパージする例のソフトである。このソフトを使用しない状態でもMacの動作の遅さは改善しなかった。
そこでハードディスクの空き容量問題に絞り込みつつ、メモリ開放の問題も疑惑として残しながら整理に着手した。まず様々なキャッシュを捨てる。次にメモリの開放をターミナルからコマンドで行う方法に変えた。[sudo purge]である。[sudo purge]とコマンドを打つだけとはいえ、いちいちターミナルを起動するのも面倒なのでスクリプトエディタで[do shell script “sudo purge” password “*****” with administrator privileges]としてワンクリックで動作させるようにした。
ここで気づいたのは、sudo purgeがほとんどまったく無意味だったことだ。これはアクティビティモニタでメモリの使用状況を観察してわかった。
現在のMac OSは漢字Talkから9までのメモリ管理を面目一新したうえで、さらに強固に管理されている。ソフトウエアが終了したあともキャッシュを残し、次回起動時に即座に使えるようにしているのみならず圧縮していたりする。そしてつい最近まで通用したsudo purgeを命令しても、まったくなにも変わらないのだった。メモリ管理の方法が変わったのだ。むしろスワップ領域をつくりまくるメモリ管理ソフトのほうがなんぼかマシな結果に終わった。
ハードディスク内のキャッシュを捨てるには定番のOnyXでもいいし、シフトキーを押したままMacを起動してセーフモードにするのもよいだろう。セーフモードで起動させるとキャッシュの掃除とディスクチェックのため起動時間はかかるが起動後の動作をチェックできる。私はログイン時に読み込まれるアプリとキャッシュと設定に問題がないかチェックするためOnyX使用後にセーフモードも試した。
セーフモードで起動した際、たしかに動作は軽くなったように思えたがまだ万全ではないと感じた。こうなるとローカルディスクの空き容量に原因を絞ってよいように思えた。
何を捨てて空き容量を確保するかが次なる問題だ。やたらに捨てられないのはとうぜんで、もっとも馬鹿らしく容量を食っているiOSデバイスのバックアップを始末するほかない。
(アップルマーク)→このMacについて→ストレージ→[管理]でお掃除モードの画面にしたら左カラムの[iOSファイル]を選択して、過去に使用していたiOSデバイスの残滓から消去して行った。この作業は消去完了までやや時間がかかるので焦らずに動作を見守りたい。次にiTunesでバックアップ先をiCloudに切り替える。
一時はSSD化するほかないかとまで考えていたのだが、これで万事解決したのだった。いずれ延命のためSSD化するとは思うが……。
まとめてみる。Mac OSのメモリ管理はかなり強固かつ管理方法が代わり[sudo purge]が効かない。メモリをかなり積んでいても、ソフトウエアはハードディスクを仮想メモリとして一時作業に使うほか膨大なキャッシュを生成する。メモリは潤沢に積むのが基本だが、ローカルディスクの空き容量がパフォーマンスに大きな影響を与える。ということになる。空き領域は多ければ多いほどよく、なんだったらUSB3.0以上の速度で接続されている外部ディスクなどもソフトウエア側から使えるようにしたほうがよい。
もしMac本体のSDカードスロットが空いてるいるなら、なるべく高速なSDカードを刺してPhotoshopなどの仮想メモリの一員にしてもよい。
Photoshopなど画像を扱うソフトウエア、現像ソフトのなかでもハイパフォーマンスかつ機能豊富なCapture Oneでさえメモリを消費量はたいしたものでないのをアクティビティモニタを観察することでわかった。Capture Oneでベクターベースのツールをビットマップベースのツールとともにグリグリ使い倒しても変わりない。これらの作業で仮装メモリ側へスワップされるもののほうが多いのではないかと感じる。もちろんSSD化するなら更にサクサクになるのは間違いないとしても、ローカルディスクは4割程度空き領域として残しておけばSSD化を焦る必要はないかもしれない。そしてSSD化するなら、OSに必要な容量いっぱいいっぱいではなく1TB以上にしないと本来の目的を十分に達成できない。
余談だが、メモリ管理ツールに関して[sudo purge]が効かない現状があるとしても余程でないかぎり使用してもあまり効果がないし、ディスクのお掃除診断ツールなどはMac OSの機能を使えば事足りるのでダウンロード購入する必要はまったくないだろう。これらのツールより(アップルマーク)→このMacについてで表示されたり動作させられる機能のほうが単刀直入でなにをどうしたらよいかわかりやすいうえにどのような効果があるかはっきりしている。そしてアクティビティモニタを観察するだけで様々な問題が理解できる。
OS純正の機能はOSそのものの働きを害する項目が含まれていない安心感があるのもよい。たとえば容量を食っているが捨ててよいのかどうか迷うデータを、純正機能が「捨てますか」と問うているなら「捨てられる」と安心できる。サードパーティー製のソフトウエアでは「これが容量を食っている」と表示されても、真に受けて捨ててよいか一抹の不安が残る。たかだか数百円か千円程度のツールなのでお安いとはいえ、OSに同じツールが含まれているのだから安心と安全含め買うほど便利なものではないのだ。
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