Capture One で独自のレンズプロファイルを作成して使う

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以下に示す方法はCapture Oneが指定するLCCファイルのつくりかた、使い方とは異なるものなので、使用結果について仕上がりに問題があっても原因究明は自己責任でお願いしたい。この方法で擬似的なLCCファイルをつくることでCapture Oneが異常を来すことはないし、作成したLCCファイルをUIの操作から削除することもできる。

RAW現像ソフトの多くが、レンズプロァイルを内包していて周辺減光等を補正できるようにしている。こうした機能を持ったソフトの最右翼がDXO PLで、周辺減光だけでなくレンズの様々なネガティブな要素を取り除くだけでなく、カメラの機種ごととのマッチングについても補正を加えることができる。

Capture Oneにもレンズプロファイルが含まれるが、これで十分と感じられないケースがある。補正量の幅が狭いなどだ。

Capture OneにはLCCファイルをつくり、色の偏り、周辺減光、ゴミ取りを自動的に補正したり補正の助けにする手段が提供されている。Capture OneのUI上にある「レンズ補正」の項目を開くと[ LCC ]と表示される。本来は前記した内容の自動化や、アオリを使用した際の色被りや減光などを補正するため撮影のたびにLCCファイルをつくり適用するための項目だ。

LCCファイルをつくるには、
https://help.phaseone.com/ja-JP/CO12/Editing-photos/Lens-Correction/Lens-Cast-Calibration.aspx
で説明されている光学樹脂製のLCCプレートを使い、説明されている手順で作成しなければならない。

ここまで厳密に補正しないが、レンズプロファイルはCapture Oneに含まれていて、このプロファイルを元に補正してもしっくりこないといったケースで独自のLCCを簡易的につくる方法を説明したいと思う。周辺減光の補正のほか、フィルターに汚れがついたまま撮影していたことに気づき、画像に暗い影などできている場合ある程度このファイルで補正できる。なおレンズプロファイルがない場合、Capture Oneのレンズ補正の項目は[ Generic ]と表示され、このようなRAWデータにLCCプロファイルを適用することはできない。また、こうしてつくったLCCファイルでごみ取りの自動化ができない(すくなくとも私の環境では不可能だった)。

LCCファイルの本来のつくりかたは、実際の撮影の直後に、いっさいの変更を加えず、2枚目のカットとして、乳白のLCCプレートをレンズ前に保持して撮影したデータを使う。

周辺減光補正についてはLCCファイル用データをいつ作成してもよいが(減光パターンは変わらないため)、他は補正したいものをLCCファイルに再現できるよう作成しなくてはならない。例に挙げたフィルターの汚れの場合、フィルターを清掃せず、回転させず(画像中の位置が変わらないよう)撮影しなくてはならない。その他については各々が考えてもらいたい。

(追記)LCCファイルはLCC用の画像を撮影したカメラと紐づけられたものだ。カメラAとレンズAでLCCを作成した場合、カメラBとレンズAで撮影したRAWデータにLCCを(基本的には)適用できない。これはカメラの特性次第で記録できるデータが異なるのだから当然だ。したがって複数のカメラを使い、ここで説明する擬似LCCファイルを適用する場合はカメラごとファイルをつくる必要がある。(追記ここまで)

乳白のLCCプレートはPhase One XFの付属部品として製品に添付されていたり、Phase Oneを販売しているディーラーから単品で買えるが、(このようにして買う人はいないだろうから)プレートが手元にないものとして説明する。

LCCプレートは乳白の板で、フィルター係数は3〜4倍[1 2/3から2段]の濃度を持っている。ざっくり言えば、ライトボックスの乳白アクリのようなものだ。厳密さを求めないアバウトな方法が今回のテーマなので、LCCプレートの代用品でCapture Oneが説明する方法で行うか、まったく使わない方法で簡易的なLCCファイルをつくる方法をとする。

ライトボックスをばらして乳白アクリを取り出しCapture Oneが説明する方法を実行すれば、正確さは劣るが趣旨が似たものになる。LCCプレートの代用品を使わない場合、撮影時に2枚目のカットとしてLCC用の撮影を行うことはできない。レンズが素通しのままではLCCファイルにはならないからだ。

PCのディスプレイがD65で調整済みである前提で説明を続ける。事前にレンズの口径の3倍以上で表示できる18%グレーの画像データをつくっておく。R119、G119、B119の割合で18%グレー相当になる。適当なソフトで、このサイズの長方形をつくり保存しておくだけだ。

PCのディスプレイを撮影するのは、一様の明るさを他の方法で撮影するより簡単だからだ。撮影の際は環境光の影響を排除するため可能な限りレンズを密着させ、このくらい近接していればドットが写ることはないが念の為フォーカスは無限遠するのがよいだろう。

ちなみに完全白色で同様の画像を作成しておくと、センサー清掃時のチェック撮影用として使用できる。白い紙を撮影してチェックより簡単だ。

この画像をディスプレイに表示する。カメラはAuto White balanceに設定する。カメラに装着したレンズをこの画像に密着させるか、フードで密着させたら、LCCファイルをつくりたい絞り値で撮影する。このときカメラ側の感度を調整して18%グレー相当の明度で記録できるようにしたい。既にここまでが相当アバウトなので、明度がぴったり18%グレーでなくてもしかたないだろう。

こうして撮影したRAWデータをPCのハードディスクなり外付けハードディスク等に転送保存する。Capture OneでこのRAWデータを読み込む。現像モードに画像を表示したら、LCCファイルとしてCapture Oneに読み込み、わかりやすい名称をつけて登録する。あとは現像時にレンズ補正の項目を開き、LCCの項目に表示されている[ ≡ ]をクリックすると登録した名称が表示されるので選択するだけだ。

このファイルを適用させただけでは周辺減光など過剰補正になっているはずで、ここはスライダーを使用して塩梅のよい状態にする。

LCCファイルをつくり、これを現像に適用する方法は
https://help.phaseone.com/ja-JP/CO12/Editing-photos/Lens-Correction/Lens-Cast-Calibration.aspx
の説明に従ってもらいたい。

ディスプレイに表示される18%グレーを撮影する方法では、ディスプレイの調整が正確とは限らず、しかも推奨される方法からかけ離れているので色被りの補正については期待できない。LCCファイルを適用してあきらかにおかしい色味になった場合は、補正項目のチェックをはずし周辺減光のみ適用するのがよいだろう。

Fumihiro Kato.  © 2019 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なる人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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