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Capture One 10から11へ完全移行した。使用環境は macOS High Sierra 10.13.1、メモリ32GB。現在のところまったく問題はない。
Capture One 11になり新たに実装された機能は、部分調整のレイヤーに不透明度を無段階に設定する機能、画像に指示メモなどをフリーハンドで書き入れレイヤーとして書き出す機能だ。後者はクリエイティブチーム内の申し送りを便利にするもので、画像上に範囲を示し「この部分の色調を云々」等記入できる。これまでは画像にテキストを別途添付したり、Photoshopでレイヤーを加えて同様に書き込むなどCapture Oneで完結できなかったことが可能になった。部分調整のレイヤーに不透明度が設定できる機能は、これまで私が望んでいたもので実にありがたいし使い勝手が格段と向上した。その他に、バージョンアップで動作が軽くなったのを感じる。
特筆すべき点は前述のように、まず部分調整のレイヤーに不透明度を設定できる点で、次点は(ほんとうに向上したのか不明であるが)部分指定のオートマスクの検出精度があがったように体感されることだ。
調整レイヤーの不透明度設定とは、範囲指定した箇所に加えた明るさや応答性などの変更がすべて100%から0%まで効果を加減できる機能だ。これまでは変更した内容すべてを微調整しつつ最適解を導き出す必要があったが、これをスライダー操作で直感的に変更できるようになった。変更を加えた内容のバランスが正解で、これらが及ぼす効果の強度を一考したいとき甚だ便利だ。まったく問題ないと思っていても、書き出し時にレイヤーの不透明度を検算気分で操作すると部分調整の塩梅がもっとよい状態になったりする。Capture One 10でつくったカタログも11にアップデートすれば、この機能が使用できるので過去の作品を点検してみてはどうだろうか。
次点のオートマスクの検出精度向上であるが、なにぶん被写体ごとディティールも色彩も違うため過去のバージョンと比較しにくいのであくまでも「そう感じる」レベルの話である。オートマスクは部分調整したい箇所を指定する塗りつぶしに対応する機能で、画像のディティールや色彩を自動的に参照して背景との境界をソフトウエアが理解する仕組みだ。はみ出してしまったり塗りつぶし足りない部分が発生しがちな部分調整を大幅に簡略化してくれる。ただし、一種のAIであるオートマスクの認識機能はこれまで「いつでも確実」と言い難いものがあった。Capture One 11であっても、人間が認識する指定したい場所と背景の境目を、悟ってくれるようには確実に判別しない。たとえば人間の肌のある場所と隣接する他の場所を、私たち人間は「意味」として区別できるが、ソフトウエアはディティールや色彩の差がなければ認識できない。したがって、オートマスクが有効なのは「見た目」のうえで明確な違いがある場合だ。違い、差、これらが大きければ大きいほど正確さと確実性が増す。
正確さと確実性を引き出すコツとして、別記事として書いたように塗りつぶしツールの直径は大きめ、ぼかし部分も大きめにするとよい。これは塗りつぶしたい箇所のディティールや色彩をサンプリングする領域を増やし、ぼかし部分を背景にはみ出させることで塗り残しを減らすようにしているのだ。Capture One 11では以前よりツールの直径とぼかし部分の大きさが小さめでも、かなり確実に領域を指定できるように感じた。こうしたAIの高度化とともに、動作が機敏になったことが相乗効果となっているようで、ペンやマウスの動きに応じた塗りつぶしツールの軌道がスムースになり、パッと認識されるのが軽快で快適だ。ただし体感されるものがほんとうなのか、様々な被写体で使用してみなくてはならないとは思う。
Capture One 10から11への変化は、過去からのCapture Oneの総まとめと適切化にあると言えるだろう。また指示書を書き込める機能は、撮影から入稿までの共同作業を強く意識したもので、ここからCapture Oneにいずれ実装される機能やサービスを占うことが可能かもしれない。
Fumihiro Kato. © 2017 –
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