GODOX V860 Ⅱ を買い足すに至る話

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記事はもう消したけれどGODOX V860を買って検証して使って、私はたいへん満足していた。GODOX V860とはニコンで言えばSB-5000、キヤノンでは600EX II-RTになるのかな、こういった製品と同じ機能を持ったクリップオン・ストロボだ。最大の違いはリチウムイオン電池を電源にしているので、大光量とチャージの速さを両立している点だ。しかも1回の充電で発光できる回数が多い。ニコン用、キヤノン用があり(後継機はソニー用もある)、それぞれTTL測光による露出コントロールに対応。受信機、送信機を買えば多灯ライティングの際にいくつのかのグループを構成して発光量の調整が手元で可能。いろいろ出来る点では純正を上回ってるかな? といった感じの製品だ。私はもっぱらリチウムイオン電池の恩恵に預かり、大型ストロボに混ぜて使用してきた。(ただGODOXのTTL調光はクセがあって、標準より暗めの発光になる。発光量を+補正すれば、あたりまえだけどドンピシャの明るさだ)

このGODOX V860に2.4GHzの送受信機を内蔵しGODOX V860 Ⅱとなり、GODOX社がワイヤレスX1システムと呼ぶ体系に則った機種へアップグレードされた。なのだけれど、いままで使ってきたV860用の2.4GHz受信機も薄く小さく軽量なものだったし、なにも不足を感じていなかったので「もう一台あってもねえ」と無視してきたのだった。ニコンやキヤノンの純正ストロボのフラグシップより圧倒的にお安いとはいえ、「もう一台あってもねえ」だったのである。アウトレットセールなどで型落ちしたV860が売りに出たら、それなら買ってもいいかなと。

そうこうしているうちに気になっていた某所のアウトレットセールでV860が売れてしまい「それだったらもういいや」な気持ちだったのだが、ブツ撮りで光源を取り回しているうち壁にぶちあたった。どうしたらシンプルでさっぱりしたレイアウトになるか頭の中でシミュレーションしていたのだが、V860が2台あったら解決できそうな気分になってきた。V860はクリップオン・ストロボだから圧倒的に小型軽量だし、電源を引く必要もなしで、実に簡単に隙間へ潜り込ませることができる。しかも手元で光量の増減を1/3ステップで調整できるのだった。

格安店晒し品のV860が売れてしまったので、後継機V860 Ⅱを買わなければならない。V860 ⅡにもV860用の受信機が装着でき現在使用中の送信機が使えるので、小さな受信機をもうひとつ買えばいいかなとも考えた。送信機が「もう一台あってもねえ」だからだ。とはいえ、TTL測光の調光データを電波で飛ばせるなら、いつも使う機能ではないがあったほうが便利だ。通販サイトを見ていたらX1送信機つきV860 Ⅱの値段が大いにこなれていて、旧型の受信機と一緒に買うよりむしろお安い値段だった。ということで、V860 ⅡとX1送信機のセットを買うことにした。

V860の検証をしたことでもわかるように、この機種にはバッテリー異常の問題があって、バッテリーが使い物にならなくなるトラブルに見舞われた人が少なからずいた。原因はGODOX社にバッテリーを供給していた会社がいい加減な品物を納品していたからで、初期ロットを除き供給元と検品体制を改め問題は解決した。したがってV860に送受信機を内蔵させただけのV860 Ⅱは、これといった不具合の話がない。たぶん私が買った製品も大丈夫だろう。

奮発して出力360WのGODOX AD360や200WのAD200にしたほうが得かな、とは迷った。360WもあるのにAD360はクリップオン式、AD 200は羊羹みたいな形でクリップオンではないが小型と、とても魅力的なのだ。しかもリチウムイオン電池仕様。もし私が一からストロボなどライティング周りを買い揃えるならAD360を買っただろうと思う。なぜなら安いし、小さいし。しかし、そうではないのでより安価なV860 Ⅱにしたのだ。V850というV860の先代でマニュアル発光のみの機種もいいのだけれど、廃番になったのか市場であまり見かけなくなっている。

このように、中国のメーカーGODOXは先行していたはずの大手メーカーを引き離して独自の地位を築いている。なので、日本の老舗クリップオン・ストロボメーカーは厳しいだろうと思う。安価なだけだったらGODOXを選択する理由はほとんどないけれど、リチウムイオン電池で駆動させ、さらに多チャンネルを操れるラジオスレーブシステムが構築されていて、これで安いとなれば鬼に金棒である。マニュアル発光だけでなくTTL調光ができる送受信体制を実装させているメーカーはGODOXだけでなく、ニッシンも製品化している。実売価格は(たぶん)そんなに差がないはずだ。しかし、電源が従来からの単三乾電池式なのだ。どうして国内のメーカーはリチウムイオン電池を採用しないのか、とつくづく思わざるを得ない。ニッケル水素電池のパワーパックがラインナップされているとはいえ、リチウムイオン電池のほうがよいうえに内蔵できるのがV850からV860 Ⅱまでの製品だ(AD200は内蔵できるが、AD180とAD360は外付けパワーパック式)。

リチウムイオン電池化によって価格が高くなるのを嫌っていたのか、それとも大容量のリチウムイオン電池が発火爆発する危険性を危ぶんでいたのか。GODOXがリチウムイオン電池路線でイケイケになったほんとうの背景は知らないけれど、中国で大量にリチウムイオン電池が製造され、繰り返し大出力を得られる点がストロボに向いているところにたぶん目を付けたのだろう。この「やってみなはれ」精神がV860のバッテリー問題も呼び寄せてしまったが、あれで市場が萎縮したかとなれば違った。一度でもリチウムイオン電池を電源とし、これが内蔵されているストロボを使ったら、いまのところ他の電源を使いたいとは思わないのだった。ニッケル水素電池のパワーパックを買うだろうか、と。

なかにはGODOXって何よ、中国製なんて、という人もいるだろう。だけど実を取る人は、ささっとGODOXを安価に買って撮影をいろいろ効率化している。私のように、「大型ストロボの優位性は失われていないけれど、大型ストロボを絞って発光させるような用途にはVシリーズで十分以上のメリットがある」と感じている人も多そうなのだ。たとえばV860 Ⅱを4台1組にしてアンブレラに当てれば過不足なくポートレイトが撮影できる。大型ストロボを腰を痛めながら持ち運ぶ必要なんてないのだ。チャージだって瞬時だし。モデリングランプがないのは仕方ないけれど、大概の用途ではネガティブな要素になるほどではないだろう。なので、「もし私が一からストロボなどライティング周りを買い揃えるならAD360を買っただろうと思う」という意見に至るのだ。360Wもあれば十分だし、もし4台1組にしたら1440Wだ。クリップオン・ストロボ同等のサイズが4個で1440W。しかもAD360 ⅡならTTL調光もできる。

私が写真を真剣に撮影しはじめた頃からミニカムジャイアントというストロボがあり、現在も細々であるが製造されている。バッテリーパックを使用して大型ストロボ並みの発光量を実現する、持ち運びが簡単なストロボだ。団体旅行の集合写真で大いに活用されていた機種だが、このアイデアを現代的にしたものがGODOXのADシリーズと言える。たぶんGODOXはミニカムジャイアントを下敷きにして研究開発したのだろう。十代の頃から私は、カメラよりミニカムジャイアントを手に入れたくてしかたなかった。しかしミニカムジャイアント一式は、現在の価格で20万円台半ばといった感じで、当時だってかなりの金額だった。そうしてみると、カメラメーカーの純正フラグシップ・ストロボと同等の価格でAD360 Ⅱが買えるのだから凄まじい話なのである。カメラやレンズを買うのに忙しいだろうけれど、ぜひ大光量のストロボ、チャージが速いストロボを買うと写真の世界がぐっと広がると思う。ジェネが必要な大型ストロボは価格が高いから、GODOXがちょうど頃合いよしなのである。

Fumihiro Kato.  © 2017 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なる人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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