美意識を貫徹するということ

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「いきなり美意識だなんて」と言う人、言わないが心でくすくす笑い出す人がいるのを知っている。しかし私がサン・アドに在籍していたとき美意識という言葉、あるいは美意識を意味する他の言葉を耳にしない日はなかった。写真を撮影していたり文章を書いている人は、たぶん私が美意識について書いても前述のような反応はしないはずだ。そう願いたい。

誰にでも美意識は存在している。どの服を選ぶか、ここにも美意識が働く。どのように生きるか、ここにも美意識が働く。しかし美意識をどうしても譲れない一線として人生の隅々へ一貫させている人は稀だ。かく言う私も、隅々までは無理だ。だが、隅々までの人が存在していることを私は知っている。

すくなくとも私は自分の手で生み出すものには、生み出しはじめるときから生み出し終えるまで美意識を貫徹したいと考えている。拙い私は、美意識を作品に反映しきれないかもしれない。それでもできる限りのところまで貫徹させたいとぎりぎりまで粘る。なぜならここまでやらなければ、死んでしまいたいくらい後悔するのがわかっているからだ。

私にとっての災厄の時期は、広告代理店の仕事にどっぷり浸からざるを得なかった期間で、何がどうだったかは関係者が存命中なので書かないが美意識は否定され心を相当に病んだ。「いきなり美意識だなんて」と言う人、言わないが心でくすくす笑い出す人たちの中にいて、何もよいことはないのだ。もし心当たりがある人は、とっととその場から立ち去ろう。お金さえあれば生きられる人は別にして、心当たりがある時点であなたは個々人の美意識が尊重される場でなければ生きられないはずなのだ。

Fumihiro Kato.  © 2016 –

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・スタジオ助手、写真家として活動の後、広告代理店に入社。 ・2000年代初頭の休止期間を除き写真家として活動。(本名名義のほかHiro.K名義他) ・広告代理店、広告制作会社勤務を経てフリー。 ・不二家CI、サントリークォータリー企画、取材 ・Life and Beuty SUNTORY MUSEUM OF ART 【サントリー美術館の軌跡と未来】、日野自動車東京モーターショー企業広告 武田薬品工業広告 ・アウトレットモール広告、各種イベント、TV放送宣材 ・MIT Museum 収蔵品撮影 他。 ・歌劇 Takarazuka revue ・月刊IJ創刊、編集企画、取材、雑誌連載、コラム、他。 ・長編小説「厨師流浪」(日本経済新聞社)で作家デビュー。「花開富貴」「電光の男」(文藝春秋)その他。 ・小説のほか、エッセイ等を執筆・発表。 ・獅子文六研究。 ・インタビュー & ポートレイト誌「月刊 IJ」を企画し英知出版より創刊。同誌の企画、編集、取材、執筆、エッセイに携わる。 ・「静謐なる人生展」 ・写真集「HUMIDITY」他
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