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取材は2001年の春。いずれのカットも未発表のものだ。ボツにはボツの理由がそれなりにあり、結果がよくないため使用されなかったカットである。現在の中華人民共和国ほどではないだろうが、撮影と取材をしている背後に警察官が現れたり隠れたりし、言葉は悪いが隠し撮りのような手法で撮影している。このとき同行していた中国人の王君が「はやく、はやく」と私を青い顔で急かしていた。彼に警官がついて回る理由を尋ねたが「わからない」、「私服(警官/公安)もいる」としか答えてもらえなかった。ライカM6を使用。
煉瓦積みの上に木造家屋の二階がつくられているように見える写真は、旧城郭を半ば破壊した上に増築された家だ。都市や街を取り囲む中国の城郭だが、ほとんどが文化大革命時に跡形もなく破壊され、石材等は道路の舗装などに転用された。撮影地は自貢市からさらに奥地。たかだか十数年前ではあるが、当時、中華人民共和国でカメラを所有している人は稀だった。したがって、三峡ダム建設にともない沈んだ街を記録した写真はそう多くはないだろうと思う。
フィルムよりスキャン。
Photo by Fumihiro Kato. © 2016-
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