キッチンで手延べできる初歩の中華麺レシピ

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●強力粉 – 200g
●重曹 – 10g
● 水 – 100cc

失敗しないための知識:
中華麺の加水率は35〜40%とされているが、加水率が下がるに従い生地が硬くなり、キッチンで手延べするのが難しくなる。加水率50%は一般的なうどん生地の割合で、強力粉と鹹水=重曹の水溶液でつくった生地はうどんとは違い明らかに中華麺の歯ごたえと味になる。加水率が高いため手延べが簡単だ。

強力粉はありふれたブランドの製品でまったく問題ないが、パン用に買った小麦粉の中途半端なあまりものを使ってもおいしくできる。パン用小麦粉にはハードなパン(フランスパン)用小麦(準強力粉)や、灰分(ミネラル)分が多い小麦粉などあり、こうしたものでもまったく問題ないし、灰分が多くなると麺の色はくすむが小麦らしい風味が強くなる。

鹹水は天然ものも工場生産品も重曹の水溶液と変わらない。ベーキングパウダーも重曹であるが、水を加えたとき反応を助けよく膨張するように焼ミョウバンなどや、使う前に反応しないようデンプンが加えられているため、レシピの量では重曹分がやや足りない。しかし、まったく効果がないわけではないので所定の10gを使い、むやみに増やさないほうがよい。

重曹の働きはパンケーキに使う場合と異なり、パンケーキは水と反応した重曹が炭酸ガスになって膨らみ、中華麺では小麦粉のタンパク質と結びついてコシを強くする働きを使う。このほか重曹は、小麦粉のフラボノイドと反応して黄色い中華麺独特の色をだし、生麺の日持ちを伸ばす働きもある。

キッチン用品売り場で売られている重曹と食品売り場のベーキングパウダーの違いは、前記したようにベーキングパウダーに他のものが添加されている点だけで、重曹だから精製度が低いといったことはない。ただし、掃除用として売られているものはパッケージの成分表を見て重曹=炭酸水素ナトリウム=重炭酸ナトリウム=NaHCO3以外の物質が入っているものだけは避ける。心配なら、食品売り場で販売される「重曹」を買うのがよいだろう。現在、天然の湧き水に含まれる重曹を鹹水とした製品は存在しない。これは限られた場所でしか生産されず、品質の安定・安全のためだ。

つくり方:
軽量カップ、大きめのボール、まな板、のし棒(すりこぎの棒でもよい)、木ベラ、菜箸、フッ素樹脂加工のフライパンを用意する。フッ素樹脂のフライパンを使う理由は、重曹と金属が念のため反応しないようにするため。反応したとしても特に害はない。

面打ちに使う水の量は100g=100ccだが、重曹を10g計量するのが難しい場合は、水を200ccにして重曹を20gに変える。半量を捨てることになるが、水溶液は掃除などに使うこともできる。

計量した水と重曹をフライパンに入れ、火にかけ十分沸騰させ溶かしきる。重曹が完全に溶けてつくられた鹹水は常温に戻しておく。

ボールに小麦粉全量を入れ、ここに100ccの鹹水を加えたら、水っぽさがなくなるまで菜箸でかき回す。慌てる必要はまったくないが、ゆっくりやっても得るものはない。この段階では、水を含んで玉になっている小麦粉とサラサラの小麦粉に別れている。

まず木ベラで生地をまとめる。木ベラがないなら手で捏ねてもよい。生地がだいたいの加減でまとまりはじめたら、水気を含んでいない小麦粉を生地に押し込んだり、押し込んだところを折り込んだりしながら大きな玉をつくっていく。なかなか小麦粉全量が玉にならないかもしれないが、ここは根気よくまとめていく。このまとめる作業が捏ねにもなる。

小麦粉が1玉の生地になったら、玉を押しつぶし、広がった玉の四隅を折って再び玉にする。これを繰り返して、生地の表面が滑らかになってくれば捏ねは終了。生地を折り込んだところが割れ目になって残ると、麺を切った際に不規則にちぎれるので指で押し込んだりしながら、できるだけきれいな玉にする。

ここまですべての工程が30分程度。すでに中華麺らしい黄色、灰分が多い小麦粉ではベージュ系の色になっているはず。

丸めた生地をボールの中で寝かせる。ラップをかけて20度前後で1〜2時間寝かす。夏場の暑い時期は短時間にし、冬場は暖房のある部屋で同じ時間か寝かしを長めにする。冷蔵庫(5°)で寝かす場合は3〜 5時間程度。寝かすことで水分が均等に小麦粉に周り、やや柔らかくなることで打ちやすくなる。

麺を切る:
まな板の長辺を使って、この長さを麺一本の長さにする。強力粉200gで一般的な樹脂製まな板一枚の面積に伸びるので、粉を増量した場合は適宜分割して伸ばす。

生地をまな板に押し付けて潰したら、のし棒で長辺方向に伸ばす。一度では伸びきらないので数回のし棒を使い、生地を楕円形にする。楕円形になったら、四隅になるべく角ができるようにし、最終的には長方形を理想にする。完全な長方形にはならないが、まな板の面を使い切るくらいに伸びればよい。

平らになった生地に小麦粉をやや多めにふるい、長い方向をくるくると丸め巻物状にする。この巻物を端から包丁で切って麺にする。麺一本、2mm以内、できれば1.5mmくらいに揃えるとよいだろう。多少の幅違いを気にしないように。包丁は引いて切るのではなく、押し付けるようにする。切った麺はゼンマイのように巻いているので、優しくほぐし小麦粉をやや多めに入れたボールの中に入れていく。

切った麺に小麦粉がまとわりつき、それぞれがくっつき合わないようにしたら、ラップを掛けて冷蔵庫に入れる。二度目の寝かし時間は、短くてもよいし、このまま8時間くらいおいても変質しない。

寝かした麺は沸騰したたっぷりの湯にほぐしながら入れ、食べてみて弾力が出ていれば茹で上がり。麺の太さによって茹で時間は変わるが、このレシピの場合はほぼ5分以内で十分だと思う。太めで、歯ごたえがあり、加水率が高いため吸水しにくい麺になる。また、多少茹で時間が増えても柔らかくなりすぎない。吸水しにくいのでスープを吸っても伸びてしまうことはないが、汁麺としてはスープとなじみにくいかもしれない。汁なし担々麺など汁気の少ない料理や、伸びにくさから鍋のシメなどに向いている。好みなので、汁麺しても問題はない。

これで中華麺づくりの要領が理解できるので、加水率を低くしたり、揃った太さの麺にするためパスタマシーンを導入したり、もう二度とこりごりと撤退したり判断できるようになると思う。

Fumihiro Kato.  © 2018 –

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